テラーノベル
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手のひらに温もりを感じ 薄く目を開いた
高い天井にクリーム色の カーテンが見える
yan
大好きな声が聞こえて見るとそこにいた yanくんは酷く奴れているように見えた
視線が絡んで、彼はやっぱり やつれた様子で息をつく
手のひらから伝わるyanくんの温もりは 本物でどうやら私はまだ生きてるみたい
et
酸素マスクのせいでこもった声
そうだ
私、yanくんの前で倒れたんだ.....
心配かけてごめんね
徹夜で映画を見たのが悪かったのかな
貧血がひどくて、倒れちゃった
咄嗟に言い訳を並べようとした 私をyanくんが追い抜く
yan
........え?
目を見張ってベッド脇にいる yanくんを見る
大きく心臓が跳ねたのを感じた
yan
yan
et
yan
yan
眉間にシワを寄せて何かを堪えるように 言葉を並べていくyanくん
知られ、ちゃった
失うことに怯えていたyanくんに 絶対に知られたくなかった秘密を
yan
私の右手を握る力が ぎゅうっと強められる
yan
yan
違う、こんな顔させたかったんじゃない
yanくんには何も知らずに 笑ってて欲しかったのに
yan
et
yan
yan
堪えかねたように大粒の涙が yanくんの頬を零れ落ちた
et
yanくんが泣いた
事故にあって苦しんでた時 男だから泣かないって言ってた
そんな彼が......泣いたんだ
私が与えてしまった 痛みの大きさを思い知る
et
et
壊れたロボットみたいに ごめんの言葉を繰り返す
et
yanくんと過ごす日々の中で 私はたくさんの嘘をついた
自分を守るための 救いようのない嘘ばかりを
そんな自分勝手な嘘が 今こうしてyanくんを苦しめている
大好きな人を苦しめているんだ
yan
et
yan
yan
ぼろぼろと涙を流したまま
同じように視界を滲ませている 私の頭を優しく撫でてくれる
yan
全てを知って、それでも yanくんは肯定してくれるの
私の宝物である平凡で輝かしい日々が yanくんにとってもそうだって
自惚れてもいいのかな.....
et
et
yanくんが握り続けてくれている のとは逆の手で目元を拭う
今まで、何度も何度もyanくんの前で 涙を見せて来たから最後くらいは...
笑っていたいと思ったの
yan
yan
yanくんの顔が更に歪む
さよならの前にこんな姿を 見せられた事を嬉しくも思うけど
私はやっぱり君の笑顔が大好きだよ
でも、何考えてるのかわからない ポーカーフェイスも嫌いじゃない
深い真紅の瞳も
柔らかい黒髪も
逞しいその腕も
全部全部愛おしくてたまらないのに 私たちの進む道は分かれてる
et
私の命が尽きる、その瞬間まで
現実的には無理でもいい
ただ、気持ちをそばに感じていたい
口元に笑みを浮かべて言うと 目を真っ赤にしたyanくんは
yan
って呟いた
yan
yan
頼まれなくてもだって
えへへ、嬉しいな
こんな状況でも大きくなるなんて 恋心ってやつはすごい
yan
とめどなく溢れる涙をそのままに yanくんがくしゃりと笑う
私の、一番好きなyanくんだった
返事の代わりに頷くと彼は頬を緩める
yan
それこそ.....そんなの当たり前だよ
桜が散って、空がうんと高い夏が訪れる
青葉がやがて赤く染まり じきに冷たい冬が来る
ハラハラと降り積もっていた雪が 溶けたかと思えば枝先の蕾がまた芽吹く
そんな愛おしい世界を これからも生きていく君のそばに
私が、いなくなっても
姿形が見えなくなっても
ずっとずっとそばにいるから
一緒に紡いだ思い出は
私のかけがえのない 人生の物語となるから
yanくんがくれたもの全てが 永遠に私の心の中で生き続けるの
et
yan
et
et
今度は強がりじゃなく 心からyanくんの幸せを祈るよ
そして私は、君だけの天使になる___。
次回最終回
コメント
7件
「etさんの全部が嘘だとは思わない」ってプロローグで言ってた言葉ですよね!こんなところに繋げられるなんて、、、!!
次回最終回なんてあっという間ですごくどきどきします。ゆあんくんとえとさんふたりでしあわせになってほしいですねꌩ ·̫ ꌩ