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御曹司さま、私かわいくないんです

第1話 - 御曹司さま、私かわいくないんです第1話

805

2020年11月01日

#大人ロマンス

#恋愛

#オフィスラブ

#TL

愛梨

新堂マユミ

課長、お預かりしていた資料

新堂マユミ

日本語版が完成しました

課長

もう終わったの？

課長

手抜きしてんじゃない？

新堂マユミ

そんなことありません

課長

クレーム来たら君の責任だよ

新堂マユミ

…はい

課長

まったく、女性社員なのに

課長

愛想がなくてイヤだね、君

新堂マユミ

…………

部長

──全員ちょっといいかい！

部長

来年度に入社予定の新人が

部長

今日からバイトとして

部長

研修勤務することになった！

鷹野イツキ

初めまして、鷹野イツキです

OL1

やだ、イケメン！

OL2

かっこいい…

部長

彼は大学院卒業を控えていて

部長

研究の都合で出社が不定期だが

部長

まあ、いろいろ教えてやってくれ

全員

はい！

新堂マユミ

（イケメン…ね）

新堂マユミ

（たしかにキレイな顔だな）

新堂マユミ

（でも私には関係ない…）

この時の私は、そう思っていた…

廊下の角

鷹野イツキ

君、すごく髪がきれいだね

鷹野イツキ

くん…いい匂いだ

OL1

ひゃわわわわ…！

OL1

は、恥ずかしいよ鷹野くん…！

新堂マユミ

（人がいるとも知らず）

新堂マユミ

（廊下でいちゃつくなんて）

新堂マユミ

（なんて人なんだろう…！）

エレベーターホール

鷹野イツキ

よかったら荷物持とうか

OL2

えっ、…あ、ありがとう！

OL2

そ、そうだ！お礼しなきゃ…

鷹野イツキ

いいの？…じゃあ、君の唇で

ちゅっ

OL2

こっ、こんなことじゃ！

OL2

お礼にならないでしょ…！？

新堂マユミ

（社外の人が来たら）

新堂マユミ

（どうすんのよ…！？）

倉庫の扉前

鷹野イツキ

届かないなら僕が取るよ

OL3

イ、イツキくん

OL3

密着しすぎだよぉ…

鷹野イツキ

ごめん、いやだった？

OL3

…大丈夫

OL3

もっとさわっても、いい、よ

鷹野イツキ

嬉しいな

OL3

あんっ

新堂マユミ

（コピー用紙取りに来たら）

新堂マユミ

（またこの展開…！？）

新堂マユミ

（仕事進まないでしょうが！）

給湯室前の廊下

？？？

あんっ、そんな…！

鷹野イツキ

君の脚、とても魅力的だ…

新堂マユミ

（またいちゃついてる…）

新堂マユミ

（もう何人目…っ！？）

？？？

脚だけで、いいの…？

鷹野イツキ

その奥まで、って言ったら

鷹野イツキ

…どうする？

？？？

んっ、はあ…上手…

？？？

服の上からじゃいやよぉ…

新堂マユミ

（服の上から、って…？）

鷹野イツキ

脱ぎたい？

？？？

まさか、私だけ脱ぐの…？

鷹野イツキ

…僕も、だよ

新堂マユミ

（脱ぐ？脱ぐって言った？）

新堂マユミ

（いやいやいやいや）

新堂マユミ

（流石にダメでしょ！？）

新堂マユミ

（と、と、と、…）

新堂マユミ

（止めなくっちゃ！！）

新堂マユミ

…あ、あのっ！！

？？？

きゃ！？

新堂マユミ

（なにが『キャ』なのよ！）

新堂マユミ

（脱ぐ前じゃなかったの？）

新堂マユミ

（もう半分脱いでるーっ！）

鷹野イツキ

…えっと、新堂さんだっけ

？？？

こんなとこ邪魔するなんて…

？？？

デリカシーってものは

？？？

新堂さんにはないわけ！？

新堂マユミ

あなたに言われたくないです

新堂マユミ

カスミさんっ…

新堂マユミ

ここは会社ですよ！

新堂マユミ

早くボタン閉めて

新堂マユミ

仕事してくださいよ…！

鷹野イツキ

まあまあ新堂さん

新堂マユミ

あなたもです、鷹野さん！

新堂マユミ

社内の風紀を乱すようなら

新堂マユミ

私が直接上に掛け合います

新堂マユミ

いい加減にしてください！

カスミ

フン

カスミ

あなたの言葉を聞く上司が

カスミ

どこにいるっていうのかしら

新堂マユミ

…………

鷹野イツキ

落ち着いて、カスミさん

鷹野イツキ

僕たちが悪かったんだ

鷹野イツキ

謝っておこう

カスミ

鷹野くんっ…！

鷹野イツキ

続きは、会社のあと…どう？

カスミ

そう、ね…

鷹野イツキ

今夜は眠らせないよ

ちゅっ

カスミ

た、楽しみにしてるわ…

新堂マユミ

（この新人…）

新堂マユミ

（さ…最低だ…）

翌朝

カスミ

イツキくんったらすごいの…

OL1

ホントにホテルいったの！？

OL2

うらやましいー！！

新堂マユミ

（ダメ社員同士が）

新堂マユミ

（無事くっついたみたい）

新堂マユミ

（…まったく）

鷹野イツキ

すみません、新堂さん

新堂マユミ

…はい？

鷹野イツキ

ちょっと質問いい？

新堂マユミ

…………

OL1

…！

OL2

え…？

カスミ

っ…！！

新堂マユミ

（視線が痛い！）

新堂マユミ

…な、なんで私に聞くの？

鷹野イツキ

ダメだった？

新堂マユミ

せめてもうちょっと

新堂マユミ

バツの悪そうな顔とかできないんですか？

新堂マユミ

昨日の今日なんですけど？

鷹野イツキ

そんないじわる言わないでよ

新堂マユミ

（いじわる、なのかな）

カスミ

…………

新堂マユミ

（カスミさんの目が怖い）

新堂マユミ

聞きたいことがあるなら

新堂マユミ

カスミさんに聞いてください

新堂マユミ

付き合うんでしょう？

鷹野イツキ

違うよ

鷹野イツキ

ワンナイトラブとお付き合いは

鷹野イツキ

別物だからね

新堂マユミ

（──最低だッ！！）

鷹野イツキ

君のことが知りたいんだ

鷹野イツキ

仲良くしてくれると嬉しい

新堂マユミ

（…頭がおかしいのかな？）

新堂マユミ

（無理に決まってるでしょ！）

鷹野イツキ

…ちりとりの場所を知りたいだけなんだけどね

鷹野イツキ

…今は

新堂マユミ

…私に関わると

新堂マユミ

あなたの評価まで落ちるよ

鷹野イツキ

あなたは優秀な女性社員だって

鷹野イツキ

僕は思ってるんだけどな

新堂マユミ

ちりとりは廊下の掃除道具入れ

新堂マユミ

わかったらもう関わらないで

鷹野イツキ

…はぁ

数日後・お気に入りのカフェ

新堂マユミ

私の安心できる時間は

新堂マユミ

お昼休みにここに来た時だけ

新堂マユミ

ホント…なんでなのかなぁ

新堂マユミ

なんで鷹野くんは毎日毎日

新堂マユミ

私にばっかり声かけてくるのか…

ただでさえ日陰者だった私は

先輩や上司たちにも

カスミさんたちにも

今まで以上に目を付けられて

とても居心地が悪い…

新堂マユミ

今日のランチセットも美味しい

新堂マユミ

もぐもぐもぐ…

新堂マユミ

…ん？

ふと窓越しに目に付いたのは

オフィス街の通りのすみで

昼間からべたべたいちゃつき合う

若い男女の姿だった

新堂マユミ

（…って！！）

新堂マユミ

（また鷹野くんなのぉ…！？）

彼のこういうシーンに

繰り返しはち合わせてしまう

自分の不幸がとても悲しい

新堂マユミ

（あんな…あんな…）

新堂マユミ

（唇…貪られて…）

新堂マユミ

（やだ、もう…）

新堂マユミ

（こんなの映画でしか見たことない…！！）

やがて私服の若い女性を

ぐいとむりやり押しやって

彼は長い長いキスを終えた

…女性の方から迫られたように見えなくもなかったけど…

新堂マユミ

（こら私！！）

新堂マユミ

（偶然とはいえ見すぎでしょ！）

新堂マユミ

（…あんな手荒く押し退けて）

新堂マユミ

（女たらしのくせに酷い男！）

動揺しているらしい彼が

何故かこちらを振り向いた

新堂マユミ

（どうしてこのタイミングで）

新堂マユミ

（目が合っちゃうの！？）

新堂マユミ

（最低男なんて）

新堂マユミ

（無視よ無視…！）

鷹野くんはそのうち

女性の手を引くと

走ってその場から逃げていった

新堂マユミ

（ホテルにでも行ったのかな…）

新堂マユミ

（はぁ、なんでこんなに鷹野くんに会っちゃうんだろ…）

御曹司さま、私かわいくないんです

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