レントリリー

桃赤

レントリリー

しばらく経って

青さんがハチミツたっぷりのホットミルクを出してくれた

1口すすると

暖かくて甘い味が

口に広がって

思わず微笑む

俺はホットミルクに映るしらけた自分の顔を見つめた

すると彼はそっと瞳伏せた

赤がいなくなったから青さんは

1人になってしまった

この広い家の中で

俺なんかより

青さんの方が余っ程辛いのに....

青さんは傍においてあった写真を手に取る

赤があの時

詰まったように大好きと

俺に言ったのは....

何も

何も

気づけなかった

青さんが耐えきれず嗚咽を零す

ごめんね、ごめんね

何度も謝る彼を見て

俺も涙を零す

青さんはゆっくり立ち上がると

すぐ横の引き出しを開けた

青さんが震える手で

小さな宝箱のような物を取り出す

そう言うと青さんは

俺の手を包みこむように

ゆっくりと渡した

あれから

また家まで送ってもらい

俺は死んだように眠った

夢の中で赤が

笑ったような気がした

起きたら

もう次の日の朝だった

光が優しく差し込んで

あの宝箱を照らしていた

宝箱を手を取ると

鍵の4桁のパスワードが目に入った

半信半疑で番号を入れる

すると

ガチャっと鈍い音がして

鍵が開いた

そして同時に

優しいオルゴールが流れた

''0224''

俺の

誕生日

また目が熱くなる

中には

小さな少し分厚いノートと

俺のあげた

スノードーム

夏祭りで取ってあげた

いちごのヘアピン

赤は....俺の物をこんなに....

大事に....

俺は高校の制服に付けていた星型のブローチを

握りしめた

小さなノートを開くと

それは赤の日記だった

10月2日 今日はドラマとかでよくある余命宣告？みたいなのをされた 俺はあと少ししか生きられないらしい なんでかな、悲しくはなかった もう、苦しまなくて済むのかな

10月13日 兄ちゃんは相変わらず真っ青な顔で 俺に笑いかけてくる ごめんね兄ちゃん 迷惑かけてばっかりで 兄ちゃんは俺がいないとすぐ無理するから、残して逝くのは心配だな

日記は

毎日ではなかったけど

余命宣告をされた日から始まっていた

小さくて丸っこい

確かに赤の字

11月7日 担当の先生が変わった 爽やかイケメンの黄先生 スマイルが眩しい ハロウィンパーティーでよくヒーローやってる人だって後から気づいた 一緒に頑張っていこうだって

11月26日 紫ーくん先生の授業はホントにわかりやすい 高校受験はしないつもりだっけど 紫ーくん先生が応援してくれたから 頑張ろうと思う

12月5日 余命期間を過ぎたのに まだ生きている自分がいる きっと黄先生のおかげだよって 兄ちゃんが泣きながら抱きしめてくれた 俺、まだ諦めなくていいのかな....

時間なんて忘れて

ページをめくっていると

俺の名前が出てきて

目を見開いた

4月4日 屋上で絵を描いてたらかっこいい男の子に話しかけられてびっくりした 桃ちゃんってあだ名つけてあげた 俺と同じ部屋だったからまたびっくり すっごいイケメンだったからモテるんだろうな.... グリンピース嫌いって言ったら笑われた

4月5日 兄ちゃんのこと話したら桃ちゃんは何も言わなくていいって抱きしめてくれた わがままだけど頼んだら一緒に寝てくれた 凄い優しい人だなって思った

日記には

その後俺の事ばかり書いてあった

5月24日 桃ちゃんが誕生日にスノードームをくれた。嬉しかった。 誕生日パーティーもして貰って 今までで1番楽しい日だった

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8月14日 桃ちゃんが夏祭りに連れていってくれた 少し不器用な桃ちゃん可愛かったな いちごのヘアピンありがとう 好きだって言われて凄く幸せだった 付き合うことになったけど....いつか別れなきゃいけない でも今だけこのままでいさせて

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9月9日 俺、こんなに幸せでいいのかな....

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10月20日 桃ちゃんのキスは大好きだけど本当に恥ずかしい 深い時は凄く優しくしてくれる 辛い時は一緒に寝てくれるし ギュッて抱きしめられるのも好き

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俺の好きな所

俺とした事

他にも沢山俺の事が書いてあった

2月23日 桃ちゃんが明日退院する ホントにおめでとう 寂しいとか....言えるわけないし 言っちゃダメなやつだ

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4月5日 桃ちゃんは毎晩電話してくれる 嬉しいけど体調崩して兄ちゃんにバレたら控えろって怒られた.... 悲しい....

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4月11日 今日血を吐いてしまった 念の為検査したら あと１ヶ月しか身体が持たないと言われた やだ...いやだよぅ....まだ死にたくない 桃ちゃんと出会ってから 俺は泣いてばっかりだよ

会いたい....

そこで日記は終わっていた

俺は日記を抱え

涙が枯れるまで

泣き続けた

ハッピーエンド的なおまけストーリー書くんで よろしくお願いしますm(_ _)m