あべちゃんside
いつぐらいだろう
嫌がらせが始まったのは
毎日のようにメールや手紙で
悪口を言われ
冷たい目で見られるようになった
テレビに出たあとに
「阿部亮平」がトレンドに入っていると
前は嬉しかったはずなのに
次第にその嬉しさは恐怖へと 変わっていった
見たくもないのに手は勝手に動いて
いつしかアンチを見るのが
日課となっていた
俺は日に日に周りの目が怖くなっていって
テレビでは上手に笑えなくなっていった
雑誌撮影では
「阿部くんもっと笑顔で」
と言われることが増え
メンバーにばれないようにするので
必死だった
笑わなきゃ、笑わなきゃ
自分でもわかってる
でも、無理だった
周りの目を気にし出してから
体への負担は増え
下痢、嘔吐、腹痛、頭痛
体調面でもあやしくなっていった
あんなに大好きだったメンバーでさえ
怖くなっていった
メンバーに名前を呼ばれるだけで
俺の心拍数はどんどん上がっていって
みんな笑ってるはずなのに
目が怖い
何を思ってるのか、思われているのか
考えただけで怖くなる
みんなを信じてないわけじゃない
でも、怖くてしょうがない
そう思い始めたら止まらなくて
メンバーの前でも、 作り笑いをするようになっていた
精神的にも辛くなって
悩んで悩んで
出した結果がジャニーズを 辞めることだった
あの頃の俺は多分
もう壊れる寸前で
メンバーにも、ファンのみんなにも
悪いとは思わなかった
ただただ逃げ出したかった
アイドルになるには
こんなこと当たり前だってことも
ちゃんとわかってた
メンバーだって戦ってることも
でも、俺はそんなに強くないから
精神的にきてたんだ
だから、辞めるという判断をした
引き留められて、 考え直そうとした時もあった
でも聞いちゃったんだ
クイズ番組に出た時に
スタッフさんが
「あの阿部ってやつ 全然答えられてなかったな」
「他の人の足引っ張んなよな」
「風の噂で聞いたんだけど、 やめようとしてるらしいよ、あいつ」
「まじwでもやめたほう がいいんじゃない」
「メンバーも迷惑してるだろうし」
その言葉を聞いた瞬間
全部がどうでも良くなった
悩むのも、悲しむのも嫌になって
何も考えないまま
事務所に向かい
辞めることを伝えた
多分あの時の俺の目は 死んでたんだろうな
滝沢くんは精神科を教えてくれた
考えるのも馬鹿らしくなって
滝沢くんの言われるがままに動いた
気づいた時には知らない部屋にいて
そこから治療がはじまった
その治療の間にSnowManの動画を見た
いくつかの動画が上がってて
俺の名前が消えてないことに気付いた時は
涙が止まらなかった
自分勝手な俺に呆れて 怒ってると思ってた
気になって色々調べたら
音楽番組でも、俺のメンバーカラーの 緑を入れてくれてた
恐る恐る、「阿部亮平」と調べてみた
そしたら
「あべちゃん早く戻ってきて」
「あべちゃんがいなくて寂しいよ」
「こんなことしか言えなくて情けないけど あべちゃん頑張れ!」
そんな暖かい言葉に溢れていた
今まで冷たくて、凍りそうだった俺の心は
すごく嬉しかったけど
ものすごく暖かくなった
応援してくれてるファンの子は たくさんいる
スライドしていくうちに あるコメントが目にはいった
「阿部っていうやつメンバーに 迷惑かけすぎ」
「辞めるんならちゃんとやめろよ メンバーどうしたらいいかわかんなくて 困ってるぞ」
…
正論すぎて悔しくもなかった
確かに俺は退職届を出していない
メンバーも困っただろうな
どうしたらいいかわからず
活動休止にするべきなのか
やめたことにするべきなのか
めんどくさいって思ってる メンバーもいるだろうな
せっかく人気も出てきて
たくさんのテレビ番組に 読んでもらえるようになったのに
俺なんてお荷物だよな
そう考え出したら申し訳なくなって
辛くなって
俺はメンバーに手紙を出すことにした
でも、書こうって思った時に 一瞬頭にふっかの顔が浮かんだ
デビューが決まった時
ふっか
ふっか
あべちゃん
あべちゃん
ふっか
ふっか
あべちゃん
あべちゃん
あべちゃん
ふっか
ふっか
あべちゃん
そう病院帰りのタクシーの中で 少し涙目になりながら話した
今思い出した
俺は約束を破ったんだ
ふっかとの約束を
でもごめん
俺もう無理だ
そう決心し、俺は手紙を書き始めた
俺が今どんな状態なのかも
申し訳なくなってるっことも
辛いってことも
俺のことは忘れて欲しいこと
みんな納得してくれるかな
みんながどう思うかはわからないけど
わかって欲しいな
みんな本当にごめんね
コメント
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お時間あれば是非この話の続きを書いていただきたいです!