オオカムズミ　――御神木物語――

しばらくして

女の子が目を覚ますと、あたりはすっかり暗くなっていた

窓から入ってくるほのかな光に照らされた辺りに目を凝らすと……

しかし、それなら室内にいるのはおかしい

よく見るとどうやらベッドの上に寝ているらしい

誰かがここまで運んでくれたのだろうか？

だが……

室内にまったく明かりがないし、どうやら部屋もかなり荒れているらしい

さらに、もうひとつの異変に気づいた

素っ裸でベッドに寝かされていたらしい

気を失っている間に服を奪われたのだろうか

あわててまわりを見渡してみるが、服はおろか下着すら見当たらない

誰か入ってこないか待っていたが、しばらくたっても誰も来る気配がない

誰か来たら来たで、恥ずかしいし、怖い気もするのだが……

しかたないのであたりの様子をもう少し探ってみることにした

どうも、自分のいる場所は病室に似ているような気がした

なんで自分はこんなところに……

服はないけれど、こんなところでじっとしているのも怖い

女の子は、意を決してベッドのある部屋から出ることにした

女の子は、手探りで壁を探しながらゆっくりと進んでいくことにした

路に出て、少し先にすすむと階段があり、上下に向かって伸びていた

出口は下にあるはず

階段は途中で崩れていたりすることもなく、 無事に下の階に降りることができた

何があるかわからないので、音をたてないようにそっと歩く……

そこには、ガラスが割れて半分しか閉まらなくなったドアがあり、 すきまから外が見えた

女の子はそこから外に出て行った

ここから家まで、裸で帰らないといけない

幸い、遅い時間なのか、人通りはまったくなく

かに見られる心配もなさそうだったので、女の子は裸のまま走りだした

そのころ……

メキシコの邪悪な妖精が解放されてから数日後

弓野真夜は早くも異変に気づいていた

ただ、彼女は引越して来たばかりでこの街の地理に疎く、 なかなか場所を特定できずにいた

神木桃香と協力すればもっと早く事は運んだだろうが、 彼女のプライドがそれを拒んだ

そしてようやく、邪悪な気配が街の廃病院を中心に 活動していることを突き止めた

鳴弦呪法に使う弓を背負い、彼女は廃病院へと向かった

一方その頃

人形遣いに指定された場所に行くと、ワンボックスカーがとまっていた

中にはいると、たくさんのモニターがつまれていた

そういうと人形遣いはモニターの電源をつけ、何かの装置を操作しはじめた

モニターの画面が何度か切り替わり、弓を構えた弓野真夜の姿がいろいろな 角度から映し出された

続く