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京本side
俺は、ジェシーを殺してしまった。
ついさっきまで息のあった彼は今、 俺の腕の中で冷たくなって、 もうピクリとも動かない。
後悔しても遅いことは分かっている。
でも、やっぱり後悔せずには いられなかった。
京本大我
ゲーム開始から僅か30分で、 俺はもう、基には戻れないところまで 来てしまっていた。
もし、ここから生きて出ることができても、世間は俺の事を
人殺し
そう呼ぶだろう。
それは、仕方のない事だけど、 よりによって見つかったのは ジェシーだった。
ジェシーは俺を責めなかった。 刺されて苦しいはずなのに、 あいつは笑っていた。
ジェシーに対抗されたら、 俺はきっと、力じゃ 勝てなかったと思う。 ジェシーは、それを分かって 俺に対抗しなかった。
ジェシー。 お前、最期になんて言ったか覚えてる?
ありがとう。 大好きだったよ。
俺に罪悪感を感じさせないために、 わざと大好き"だった"なんて、 過去の言葉にしたんだよな。
でも、俺は、今日この瞬間から 死ぬまで、罪悪感を抱えて生きるよ。
それが、俺がお前にできる精一杯の 償いだから。
ジェシー。 大好き"だよ"ー。
藤原side
俺は、高地くんと2人、 小部屋の隅で小さくなって、 この永遠とも思える長い時間を どうにかやり過ごしていた。
ゲーム開始から、 どれくらいの時間が経ったのだろう。
藤原丈一郎
何も起こらないことへの油断から、 大きなため息をつく。
髙地優吾
藤原丈一郎
穏やかな表情とは裏腹に 衝撃の一言を放った髙地くんを見て、 俺は思わず声が漏れとった。
京本くんが鬼でよかった?
は?それどういうことや?
喉元まで出かかった言葉をなんとか 飲み込み、俺は髙地くんを睨んだ。
髙地優吾
誤解されるような言い方をしてごめん、と、髙地くんは微笑んだ。
こんな時でも大人の対応の 髙地くんを見て、 勘違いで睨みつけてしまった 自分の幼さが、とても情けなく感じた。
藤原丈一郎
何を考えてるんや、俺は。
髙地くんが、悲しくないわけあらへん。
この場所に来てからずっと 指揮をとってくれている髙地くんは、 間違いなく皆んなの心の拠り所に なってくれているはずやから。 今くらいは、俺が髙地くんを支えな。
でも、どうしたらー。
長尾side
長尾謙杜
話し合いでペアを組むことに 反対した俺を説得し、 俺が謙杜のペアになる、と 申し出てくれた慎太郎くんに、 昨日から気になっていた 答えを尋ねて見た。
森本慎太郎
長尾謙杜
ニコニコしたいつもの笑顔で、 慎太郎くんは言った。
森本慎太郎
俺、今笑ってたんや。 きっと、慎太郎くんに釣られたんやな。
気が付かんかった。 俺、昨日から笑ってへんかったんや。
なんでやろ。慎太郎くんと 一緒におると、 自然に笑顔になれる気がする。
森本慎太郎
慎太郎くんは、ここに来てから 初めて真面目な顔をして、 俺の目を見つめた。
あぁ。わかりましたよ、慎太郎くん。 俺と、ペアを組んでくれた理由が。
俺と慎太郎くんは、 それぞれのグループの最年少同士。 俺らの役割は、今までと変わらずに グループの元気印でいることや。
そして、グループのみんなを 巻き込んで笑顔にすること。
恐怖に負けて、自分の役割を 見失った俺に、それを 伝えてくれようとしたんや。
長尾謙杜
心の中で、何かが 吹っ切れたような気がする。
俺の笑顔を見た慎太郎くんは、 自分も同じくらい笑って 満足そうに頷いた。