君になりたくて

ガララと保健室に入る。

先生がパーテーションの中から顔を出す。

光はテーピングを棚から出す。

陽真のすわる正面に光は椅子を持って座り込んだ。

光はテーピングをしながら口を開く。

光は陽真から手を離す。

陽真はニコッと笑った。

光はギュッと陽真の手を握った。

光はカッと顔を赤くさせた。

陽真と光はガララと体育館の扉を開けた。

その時、相手チームのスパイクが日坂のコートに叩きつけられると同時に

ピッピー…

というホイッスルが鳴り響いた。

23対25

日坂は負けた。

光の頭は真っ白だった。

もしかしたらキャプテンはこの試合で引退してしまうかもしれないのに

最後の試合がこんな、

こんな終わり方なんて＿＿

陽真は引きつった笑顔を見せた。

光の心はズキンっと痛む。

「「「ありがとうございました」」」

選手たちは整列を終え、コートから立ち去るために荷物を片付けていた。

なにか言おうと黙り込んでいる光の肩にポンと手を置いた。

明里は静かに首を横に振った。

同じバレー部の部員だけど

選手とマネージャーであって

こんな辛い負け方をした選手たちの気持ちを完全に理解できることは無い

そんな人からの言葉なんて

ただの耳障りでしかないんじゃないかな

明里の目には涙が溜まっていた。

泣いちゃダメ…っ！