コンコン。
緊張で息を詰めていた 僕を落ち着けるように、恭平は 一定のリズムで優しく、皆んなが 待つ部屋の扉を叩いた。
藤原丈一郎
丈くんの声が、 いつもより少し固い。 扉の向こうの緊迫した雰囲気が 伝わってくる。
大西流星
高橋恭平
大きく喉を鳴らした僕を振り返り、 恭平が小さく呟いた。
よく見ると、恭平の手も震えていた。 恭平。ありがとう。 僕、頑張ってみるわ。
大西流星
ガチャ。
どれだけの間、 ボーッとしていただろう。
コンコン。
この音を合図に、俺の意識はやっと、 こちら側へ戻ってきた。
今、この扉の向こうに流星がいる。 早く、流星に会いたい。
俺の頭は、強い欲望で支配されていた。
ガチャ。
扉が開く音と共に、恭平の姿が見えた。いつもより少しだけ正気の 薄い恭平の後ろに、 小さく縮こまった流星はいた。
さっき会ったばかりなのに、 もう何日も会えていないみたいな 気分だった。 それほど強く、 本能が流星を欲している。
高橋恭平
大西流星
恭平の後ろでカタカタと音が鳴りそうな ほどに震えている流星を 無性に抱きしめたくなった。
ぎゅっ
大西流星
なんとかして流星を守ってあげたくて、 俺は流星を優しく抱えた。 ごめんな。わがままで。 りゅちぇのことを守りたいのも ほんまやけど、俺は、 りゅちぇに触れたくて仕方がなかった。 もう、彼氏やないのに…。 嫌やんな。ごめんな。
ぎゅっ。
西畑大吾
流星は、 優しく俺の背中に手を回していた。 どうして、別れたんにまた、 抱きしめてくれるん? 俺のことが嫌いになったんとちゃうん?
大西流星
流星は、俺に抱きついたまま 話し始めた。
大西流星
流星の腕に、体に。 流星が話すたびに力が入っていく。 苦しいくらいに抱きしめられて、 流星の体が前よりずっと 細なってることに気づいた。
どうして、気づかへんかったんやろ…。 りゅちぇの、一番近くにおったんは、 きっと俺やのに。
道枝駿佑
長尾謙杜
混乱する最年少2人の肩を、はっすんが 優しく叩いた。
大橋和也
流星には 聞こえないくらいの 小さい声でつぶやくはっすんの表情は、 驚くほど程暗かった。 いや、表上ではニコニコしている、 ように見えるかもしれへん。 でも、目の奥が全然笑ってへん。 真っ暗やった。 もちろん、今明るい表情を しているメンバーはいない。 でも、はっすんの表情は、 俺が苦しくなってまうくらいに 落ち込んでいる。
大西流星
藤原丈一郎
1年ー。 そのあまりに短い、残された時間で 俺たちには、何ができるやろう? 流星に、何をしてあげられるんやろう?
大西流星
流星はそれだけ言うと、 あの日と同じようにまた、 扉から出て行こうとした。
でも。 流星、大ちゃんを舐めるなよ。 2度も、大好きな流星を 離すなんてヘマはせん。
西畑大吾
俺は必死に流星の腕を掴んだ。 何があっても、もう絶対に離れないと いう覚悟を決めて。 なあ、流星。 流星は流星やで。 病気があっても関係ない。 流星が少しでもアイドルを、 なにわ男子を続けたいと 思っているのなら、 俺たちはそれを全力で応援する。
西畑大吾
大西流星
大西流星
大西流星
流星は、唸るように尋ねると、 俺の胸に強く顔をうずめた。
西畑大吾
大橋和也
藤原丈一郎
高橋恭平
大西流星
道枝駿佑
長尾謙杜
流星のなにわ男子残留が決定し、 俺たちは皆んなで 抱きしめあって喜んだ。
大西流星
その後、たくさん沢山話し合って、 流星の病気は、ファンの皆んなには 公表しないことを決めた。
更にー。
俺たちなにわ男子には、 5つの新しいルールができた。 1,流星を病人扱いしないこと 2,なにわ男子全員で、 東京ドームでのライブを 成功させること 3,今まで以上に楽しい思い出を 沢山作ること 4,どんなことがあっても 全員で乗り越えていくこと 最後は。 5,もし、流星がいなくなっても、 6人でなにわ男子を続けることー。
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