――天ノ弱(三話)――
🐯
……あ
🐯
……雨だ
ぽつぽつと雨が降ってきた
🐯
傘、ない……
🐯
走って帰ろう……
――自宅――
🐯
……間に合ったぁ
🐯
でも服濡れちゃった……
🐯
あーもう何もしたくない!
僕がずっと前から思ってることは
浮気していないと信じていた気持ちだった
🐯
……もう寝よ
🐯
疲れた……
色々な意味で、疲れた
僕のことを救ってくれるのは真夜中の深い空だった
🐯
……おやすみ
――朝――
🐯
う、うーん?
🐯
もう朝……?
🐯
眠い……
ふと横を見ても
🐯
……やっぱり今日も居ないかあ
グガが居るはずがなかった
🐯
……前は隣に寝てたのに
🐯
寝顔も可愛くて
🐯
寝る時はドキドキしてたなぁ
そんな事考えてもグガが来るはずなんてない
🐯
友達に戻れたらこれ以上望まないのに……
🐯
僕嘘つきじゃん……
🐯
……暇だなぁ
🐯
お願い……グガ、会いに来てよ
🐯
今日もまた行ってみよ!
僕はなんだか浮気するグガを見て楽しくなってしまった
――街――
🐯
ふわぁ……
🐯
来てみたけど居ないなぁ……
🐯
てか来たのはいいけど何しようかな……
🐯
うーん
🐰
ふんふんふーん……
🐰
さーてと、指輪あげないと
🐯
えっ……?
🐯
指、輪……?
一瞬頭が真っ白になった
🐯
誰にあげるんだろ……
🐯
昨日の女の人かな……
僕に指輪なんてくれない癖に
女の人にはあげるんだ
🐯
やっぱり僕遊び相手みたいなもんだよね……
🐯
あれ、欲しいなぁ……
🐯
グガから欲しい……
🐰
……あ、ヒョン。
🐰
どうしたんですか?
🐯
え、あ、グガ?!
🐯
別になんでもないよ!
🐰
そうですか……
🐯
う、うん!
頭がこんがらがってまともに話せない
🐰
じゃあ僕は行きますね
🐰
それじゃ
🐯
うん……
🐯
指輪、綺麗だったなぁ
🐯
……笑っている顔久しぶりに見た
復縁という感情が両手から零れそうなほどあった
🐯
こんな事していいのかな、僕
🐯
嫌われるんじゃないかな…
より一層被害妄想が増えた。
🐯
……僕が知らないだけで
🐯
本当は勘違いなのかな……?
🐯
ちょっとだけ、ちょっとだけなら
🐯
耐えられるはず
もう少し頑張ってみよう。
そういう勇気が出た
🐯
暗くなってきた
🐯
えーと、家どこだっけ
🐯
やばい道に迷っちゃった…
🐯
……綺麗な空だなぁ
🐯
……んへへ、一人って楽しい
誰にも振り回されない。まさに今の自分の"理想"だった。
🐯
でも
🐯
迷ったし家分かんないや……
🐯
どうしよう
まだ自分も来たことがない所だったから
ここの事なんてびた一文知らない
🐯
どこかに泊まれるところないかなぁ
🐯
なるべく安い所……
🐰
あれ?
🐯
ふぇっ?!
🐯
グガ?!
🐯
ど、どうしたの?
🐰
ああ、家に帰るところだったんですけど……
🐰
ところでヒョンはなんでここに
🐯
あ、えと、その……
迷ったなんて言えない
🐯
なんでもない
🐰
……ヒョン
🐰
……もしかして道に迷ったの?
🐯
……(コクン)
🐰
ははーん、そういう事ですか
ちょっとだけグガはニヤついた
🐰
じゃあ泊まっていきましょうよ
🐯
……いいの?
🐰
はい、どうせもうすぐ家の近くですし
🐰
久しぶりに話しましょう!
🐯
う、うん
――🐰宅――
🐰
それにしても久しぶりですね
🐰
こうして話すのは
🐯
そうだね……
🐰
今までなんかしてたんですか?
🐯
う、ううん
🐯
特に何もしてないよ……!
🐰
そうですか……
🐰
ヒョン。
🐯
何?
🐰
……やっぱりなんでもないです笑
🐯
そっか
🐰
はい。
🐰
あの……
🐯
?
🐰
……一緒に寝ませんか?
🐯
……!?
🐰
あはは、そりゃ驚きますよね笑
🐯
え、あ、いや、全然いいよ!
🐰
本当ですか?
🐯
うん
🐰
ありがとうございます。
グガの笑っている顔をまじかで見るのは久しぶりだった
🐰
ヒョン……
🐰
おやすみなさい……
🐯
おやすみ
そういうとグガはすぐに寝てしまった
🐯
……はぁ
🐯
どうすればいいんだろ
復縁という感情が一気に侵食してくる
こんな感情が綺麗なのか汚いのかが分からない
🐯
……っ
🐯
ううっ……
僕は
'弱虫だ'
🐯
こんなに幸せな時間も朝になると終わりか……
🐯
寂しいなぁ……
🐯
ちょっとぐらい、抱き締めてもいいよね……?
🐯
……
この愛を誰に譲ろう
僕にはいらないんだ
その優しさも
その気遣いも
🐯
まだここに居たいなぁ
🐯
……グガ
🐯
もういいかい?
――天ノ弱(三話)――
――END――