テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
546
209
35
#さしすせ組
コメント
1件
うわあ……冒頭から鳥肌立ちました。乙骨くんの「僕が死んだ方が良かった」って台詞が、いつも優しい彼の激しい感情を知ってるからこそ胸に刺さりますね。翠先輩の「耐えられないんだよ」も、自分の痛みより相手の傷を選ぶ強さと優しさが滲んでて、編集者的に言うと、この二人の関係性の描き方がすごく丁寧で素敵でした。次が気になります!
闇に潜んでいた呪詛師が放ったのは、暗殺に特化した極細の『呪毒針』。 音もなく、気配すら殺して放たれた紫色の針は、無防備な乙骨の首筋へと一直線に迫っていた
乙骨憂太
肌を刺すような致命的な悪寒。乙骨がハッと息を呑み、振り返ろうとしたそのコンマ一秒前――
神代翠
押し出されるような衝撃。翠が乙骨の胸元を強く突き飛ばし、自らの身体を割り込ませるように抱き寄せて庇い込んだのだ。
グシャッ―――!!
鈍い、嫌な音が静寂を切り裂く。 紫色の呪毒針は、乙骨を庇った翠の左胸から肩にかけて、深く、容赦なく突き刺さっていた
乙骨憂太
地面に倒れ込みながら見上げた乙骨の目に映ったのは、絶句する翠の顔だった
神代翠
一瞬で翠の顔から血の気が引き、紙のように真っ白になる。 針から放出されたのは、肉体の組織を内側から破壊し、神経を焼き尽くすほどの致死量の呪毒。激痛と悪寒が、一瞬にして翠の全身を駆け巡る
膝から崩れ落ちそうになる翠。しかし、彼女は震える歯を死ぬ気でくいしばり、右手を自身の左胸――針の刺さった傷口へと叩きつけた
神代翠
神代翠
因果の奔流が反転する。 翠の肉体を蝕んでいた紫色の毒と破壊の傷跡が、まるで時間を巻き戻したかのように瞬時に消え去っていく。そして、翠が受け止めた『致死量の激痛と呪毒の因果』が、そのまま数十メートル先の暗闇へ向かって全開放された。
ギャアアアアアアアッ―――!!!!
闇の中から、耳を裂くような断末魔の絶叫が響き渡る。 隠れていた呪詛師の左胸が、自らの解き放った毒と破壊によって内側から激しく破裂。男は血を吐きながら床へと崩れ落ち、二度と動かなくなった。即死だった
神代翠
傷そのものは反転術式によって完治した。 しかし――ほんの数秒間とはいえ、特級クラスの致死毒と、肉体が崩壊するレベルの激痛をダイレクトに脳と神経で受け止めた代償は、あまりにも大きすぎた
脳細胞にかかった強烈なオーバードーズ。視界がグニャリと歪み、翠の口元からツーッと赤い血が垂れ落ちる
神代翠
立ち上がることができず、崩れるように膝をつく翠。 その華奢な体を、震える腕が強引なほどの力で抱き寄せた
乙骨憂太
乙骨の声は、今まで聞いたこともないほど激しく揺れていた。 その顔からは一切の余裕が消え去り、瞳には深い絶望と、狂気すら孕んだ激情が黒く渦巻いている
乙骨憂太
神代翠
翠は歪む視界の中で、後輩を安心させようと、いつも通りの軽い笑みを浮かべようとした。
だが――それが、乙骨の感情の破片を完全に弾けさせた
乙骨憂太
高専に入ってから一度も聞いたことがないような、乙骨の激しい怒号が暗い工場内に響き渡る。 乙骨は翠の肩を痛いほどきつく抱き締め、彼女の口元から流れる血を、自分の白い制服の袖で必死に、何度も何度も拭った
乙骨憂太
乙骨憂太
乙骨の叫びに呼応し、彼の背後の空間が歪む。 主の溢れ出る激怒と絶望に引きずられ、顕現した『リカ』が禍々しい殺気を周囲に撒き散らした。工場のコンクリート床がバリバリと音を立てて亀裂を生み、空気が目に見えて歪んでいく
乙骨憂太
神代翠
翠は荒い息を整えながら、そっと腕を伸ばし、自分にしがみついて涙を流す年下特級の背中を、優しく撫で下ろした
神代翠