テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
舞海@不定期更新…
コメント
5件
お話を読んで泣きました…泣くことって少ないんですが こうやって消えていくのは見たことがなくて、この展開は大好きです

初めて泣きました…こういう入れ替りって見たことがなかったのでありがとうございました。がんばってね!
⚠ATTENTION⚠
・旧枢軸国+現枢軸国 ・全員男性 ・センシティブなし ・なんでも許せる方向け
⚠️戦争賛美、政治的な意図、政治思想、思想的な主張は決してございませんのでご了承ください ⚠️史実とは一切関係ありません ⚠️史実ネタでもございません ⚠️すべて、私の妄想です
では、どうぞ⬇
秋
イタリア
玄関の扉が勢いよく開く。
ばたばたと騒がしい足音が廊下を駆け抜け、そのままリビングへ飛び込んできた。
イタリア
ドイツ
ソファで書類を読んでいたドイツが眉を寄せる。
イタリア
ドイツ
イタ王
明るい声がキッチンから飛ぶ。
イタ王だ。 エプロン姿のまま、大鍋をかき混ぜている。
トマトと香辛料の匂いが部屋いっぱいに広がっていた。
イタ王
イタリア
イタリアは満面の笑みでイタ王に抱きつく。
イタ王
そう言いながらも、イタ王は楽しそうに笑っていた。
ドイツは呆れたように溜息をつく。
ドイツ
イタリア
ドイツ
その様子を見ながら、ナチスが静かにコーヒーを口元へ運ぶ。
ナチ
ドイツ
ドイツが返すと、ナチスは小さく笑った。
窓際では、日本と日帝が向かい合って座っている。
湯呑みから立ち上る湯気。 夕暮れの柔らかな光。
日本
日本が静かに言う。
日帝は窓の外を見たまま、小さく
日帝
と返した。
赤く色づき始めた木々が風に揺れている。
秋だった。
季節は少しずつ変わっていく。
けれど、この家の空気は何も変わらないように見えた。
イタ王
イタ王が皿を運び始める。
イタリアがぱっと笑顔になる。
イタリア
イタ王
得意げに胸を張りながら、イタ王は最後の皿を持ち上げた。
その瞬間。
つるり、と。 皿が指から滑り落ちた。
甲高い音。 白い破片が床へ散らばった。
一瞬、部屋が静まる。
イタリア
イタリアが慌てて駆け寄った。
イタ王自身も少し驚いたように床を見下ろしている。
イタ王
珍しい。 料理を落とすなんて。
イタリアはしゃがみ込み、慌てて破片を拾い始める。
イタリア
イタ王
イタ王も笑いながらしゃがみ込む。
その時、日本の視線が止まった。
床へ伸びたイタ王の指先。
夕陽に透けて、 ほんの一瞬だけ。 向こう側が見えた気がした。
日本は目を細める。
だが次の瞬間には、もう元通りだった。
日帝
日帝の声に、日本ははっと顔を上げる。
日本
気のせいだろうか。
そう思おうとして、 何故か胸がざわついた。
食卓に料理が並ぶ。
湯気。 笑い声。 皿の触れ合う音。 いつも通りの夕食。
イタリアは幸せそうにパスタを頬張っていた。
イタリア
イタ王
イタ王が笑う。
けれど。 日本は気づいてしまった。
イタ王が、 一口も食べていないことに。
冬
異変は、少しずつ増えていった。
最初に気づいたのはドイツだった。
深夜。 仕事を終えてキッチンへ向かうと、明かりがついていた。
ナチスが一人、テーブルに座っている。
冷えたコーヒーを前にしたまま。
ドイツ
ナチスは薄く笑った。
ナチ
ドイツ
ナチ
静かな声だった。 だが、ドイツは眉を寄せる。
ドイツ
ナチスは答えない。
代わりにコーヒーを一口飲む。 その手が、 微かに透けていた。
ドイツの表情が凍る。
ドイツ
ナチスは少し困ったように笑った。
ナチ
ドイツ
ドイツの声が低くなる。
ドイツ
しばらく沈黙が落ちた。
やがてナチスは静かに口を開く。
ナチ
その言葉を、 ドイツは理解できなかった。
理解したくなかった。
ドイツ
ナチ
淡々とした声だった。 まるで、 最初から決まっていたことを話すみたいに。
ドイツ
ドイツが机を叩く。
ドイツ
ナチスは怒らない。 ただ静かに、 ドイツを見る。
ナチ
ドイツ
ナチ
ドイツは何も言えなくなる。
否定したかった。 この男の思想も、 過去も、 全部。
でも。 それでも。
父親だった。
イタリアが異変に気づいたのは、その数日後だった。
イタリア
料理中。 イタ王の指先が赤くなっていた。
フライパンで火傷したのだろう。
けれど本人は平然としている。
イタ王
イタリア
イタ王
その言葉に、 イタリアの動きが止まった。
イタリア
イタ王は少しだけ困ったように笑う。
イタ王
冗談みたいに言う。
でも。 イタリアは笑えなかった。
イタリア
声が震える。
イタ王は誤魔化すように頭を撫でた。
イタ王
いつも通り明るい声。
でも。 その手は、 少しだけ透けていた。
日本は、最初から気づいていた。
日帝の湯呑み。 机に置かれる音が、 日に日に軽くなっていく。
ある夜。
日帝の指先から血が落ちた。
包丁で切ったのだろう。 けれど本人は気づいていない。
日本は静かにその手首を掴む。
日本
日帝
日帝は自分の手を見る。
そして、 どうでもよさそうに呟いた。
日帝
日本の指先が微かに震える。
日帝はその反応を見て、 静かに目を伏せた。
日帝
低い声。
日帝
日本は何も言わない。
言えない。
分かっていた。
ずっと前から。
日帝
静かな声だった。 冬の夜は、 酷く冷たかった。
最後の夜。
六人で食卓を囲む。
イタ王が料理を作り、 ナチスがコーヒーを淹れ、 日帝がお茶を入れる。
いつも通り。 本当に、 いつも通りだった。
でも。 親世代は、 ほとんど食べていなかった。
味が分からない。 空腹もない。
それでも食卓に着くのは、 家族だからだった。
イタリア
イタリアが笑う。 イタ王も笑う。
その笑顔が、 少しだけ掠れていた。
ドイツが俯いたまま言う。
ドイツ
静まり返る食卓。 ナチスは小さく目を見開き、 それから静かに笑った。
ナチ
ドイツ
ドイツの声が震える。
ドイツ
ナチスは少し黙った。
それから。 本当に小さく笑った。
ナチ
その瞬間。 ドイツの目から涙が落ちた。
誰もすぐには言葉を出せなかった。
その沈黙の中で。 日本が、静かに湯呑みを置く。
小さな音。 そして、 ゆっくり日帝を見る。
日本
日帝は顔を上げる。
日本は少しだけ迷うように視線を伏せた。 それから。
日本
静かな声だった。
ドイツとイタリアが顔を上げる。
日本は続けた。
日本
そこで一度言葉が止まる。
そして、 ほんの少しだけ声が掠れた。
日本
日帝は何も言わない。 ただ静かに、 日本を見つめている。
日本は俯いたまま、小さく続けた。
日本
日本
その瞬間。 日帝の目が、 僅かに揺れた。
ずっと静かだった男が、 初めて言葉に詰まる。
やがて。 日帝はゆっくり日本の頭へ手を置いた。
もう温度も、 感覚も、 殆ど残っていない手。
それでも。 確かに父親の手だった。
日帝
日帝
日本が目を閉じる。
日帝は小さく笑った。
日帝
日本は何も言えなかった。 ただ、 その透け始めた手を、 離せなかった。
春
朝。 静かな家。
親世代はもう居なかった。
ただ。
イタ王のエプロン ナチスの軍帽 日帝の湯呑み だけが残されていた。
イタリアは泣きながら朝食を作っている。
イタリア
鼻をすすりながら、 それでも手を止めない。
ドイツは無言でコーヒーを淹れる。
気づけば、 六人分のカップを出していた。
その手が止まる。
ドイツ
しばらく見つめて。 結局、 片付けなかった。
日本は静かにお茶を淹れる。
窓の外。 春風が揺れる。
その時、ふと。
日本
声が聞こえた気がした。
日本は振り返る。
誰も居ない。
けれど。 ほんの少しだけ、 笑った。
日本
春だった。
新しい時代が、 静かに始まっていた。
… THE END
⚠リクエストは締め切りました
旧枢軸国と現枢軸国でした!🇮🇹🇩🇪🇯🇵
ちょっと長すぎましたね…(反省)
では、リクエストありがとうございました!✨