吸血姫
やめろ!!
氷翠
…ザクッ
吸血姫
ギャアアアアッ
夜桜蘭奈と出会ってから4年。
葉兎音氷翠は16歳になっていた。
そして、立派な永遠乃鬼姫菖蒲隊の隊員になっていた。
氷翠
…残酷なものね
氷翠は1人つぶやく。
???
吸血姫と人が仲良くできれば
良いのにね…
良いのにね…
どこからか声がした。
才華
こんにちは、お嬢さん
氷翠
…誰?
才華
私は玉響才華
才華
お嬢さんは永遠乃鬼姫菖蒲隊の子かしら?
氷翠
…そうですけど
才華
氷翠さん
才華
刀を構えなさい
氷翠
…は?
才華
私はあなたの敵よ
氷翠
…人間の気配がする
才華
人間なら敵じゃないってことかしら?
才華
甘ったるいお嬢ちゃんだわ
才華
チョコレートみたい
氷翠
…何なの?あなた
才華
答えたじゃない
才華
玉響才華
氷翠
そういうことじゃない
才華
じゃあどういうことかしら?
才華
教えてくれないとわからないわ
玉響才華は目の前に現れていた。
氷翠
…!?
反応が遅れ、才華の刃が氷翠の頬を掠る。
才華
あらあら
才華
反応が鈍いのね
吸血姫
…う…
氷翠
え…
氷翠
嘘、倒したはず…
才華
あはははっ!!
生き返った吸血姫に気を取られ、氷翠は才華に隙を見せてしまった。
狂ったような笑い声が聞こえる。
氷翠
あ…
今までにない失敗に、氷翠は呆然と、刀を下ろして立ちすくんだ。
才華
…永遠乃鬼姫菖蒲隊も、落ちたものね
才華
それとも…
才華
落ちたのは、夜桜蘭奈かしら?
氷翠
っ…
悔しい。
永遠乃鬼姫菖蒲隊を、馬鹿にされた。
師範を、馬鹿にされた。
氷翠
…ふざけないで
氷翠は必死に腕に力を入れ、刀を構える。
才華
…ニヤッ
才華
面白いわ…
氷翠
…
莉佳
氷翠…
氷翠
…莉佳
才華
数の暴力じゃなくて?
氷翠
…
才華
ふふっ。それじゃあまたね
玉響才華はどこかからか狐の面を取り出し、顔につけて消えた。
氷翠
ボーッ
悔しい。
氷翠はずっとそれだけを考えていた。
時に刀を振って訓練をし、行き場のない怒りを訓練用の的にぶつけ、ひとしきり暴れたあと、部屋で1人、ボーッとしていた。
蘭奈
…入りますよ
氷翠
…師範
蘭奈
氷翠、いらっしゃい
どうしたらよいのか戸惑っていると、蘭奈が抱きしめてきた。
氷翠
…師範?
蘭奈
何かありましたか?
氷翠
…
蘭奈
言えないのなら、言わなくていいですよ
氷翠
…玉響才華
氷翠
知っていますか?
玉響才華の名を口にすると、蘭奈は顔色を変えた。
蘭奈
…氷翠
蘭奈
会ったんですか?
氷翠
はい
氷翠
吸血姫を倒していたら、現れました
蘭奈
…そう
蘭奈
話さなければいけないわね
蘭奈
…
蘭奈
玉響才華と、私の関係







