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みな殺しAIホテル

第1話 - みな殺しAIホテル第1話

662

2020年10月07日

#ホラー

#不気味

#AI

長谷川也

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深夜2時、ホテル・ミランダの客室

ノジマ

──ん？

ノジマ

どうしてオマエがここに…

ノジマ

私は呼んでないぞ

ミラ

ニシオカ様

ニシオカ

なんだ？

ミラ

ノジマ様の客室に

ミラ

『ベルボット』を派遣しました

ニシオカ

よし

ミラ

次はいかがいたしましょう

ニシオカ

そうだな…

ニシオカ

その男の体を、バラバラにしてやれ

ミラ

ミラ

バラバラとは？

ニシオカ

手足と首を引きちぎるんだ

ニシオカ

力ずくでな

ミラ

ニシオカ

できるか？

ミラ

少々お待ちください

ノジマ

なんだ…？

ノジマ

おまえに用はないと言ってるだろ

ノジマ

なぜ近づいて──

ノジマ

や、やめろ！

ノジマ

手を離せ！

ブチッ！

ノジマ

うわぁああああ！

ノジマ

あ…あ…

ノジマ

私の…うでが…

ノジマ

た…たすけ…

ブチッ！

ミラ

ご要望通り

ミラ

ノジマ様の体をバラバラにいたしました

ニシオカ

ご苦労

ニシオカ

部屋の様子はどうだ？

ミラ

ミラ

かなり汚れてしまったようです

ニシオカ

血まみれか

ミラ

はい、大量の血液と排泄物が

ニシオカ

朝までに掃除しろ

ニシオカ

部屋の外に臭いが漏れたら面倒だ

ミラ

ミラ

かしこまりました

翌日、ホテル・ミランダの正面玄関

笹山トオル

んー、んー！

笹山トオル

はぁ…はぁ…

笹山カオル

お兄ちゃん…

笹山カオル

なにやってんの？

笹山トオル

このドアが開かなくてさ…

笹山カオル

手で開けるのはムリだよ

笹山カオル

招待メールに書いてあったでしょ？

笹山トオル

…メール？

笹山カオル

ホテルから届いたメールのこと

笹山トオル

ああ、あの当選メール

笹山カオル

スマホで開いてみて

笹山トオル

わかった…

笹山カオル

QRコードが添付されてるよね？

笹山カオル

それを、そこのカメラに読み取らせるんだよ

笹山トオル

…こうかな？

プシュ…ウィーン

笹山トオル

おぉ、開いた

笹山カオル

ほらね、行こ

ホテルのエントランス

笹山トオル

すごい…

笹山トオル

中までピカピカだ

笹山カオル

まだオープンもしてない

笹山カオル

新築のホテルだからね

笹山トオル

本当に…誰もいないのかな

笹山カオル

人間のスタッフは、1人もいないはずだよ

笹山カオル

AIが案内してくれるんじゃない？

笹山トオル

どうやって？

笹山カオル

さぁ…

「ササヤマ様ですね？」

「お待ちしておりました」

笹山トオル

な、なんだ！？

笹山トオル

どっから声が…

笹山カオル

見て、あそこのモニター

フロントデスクのモニターに、女性の顔が映し出された

ミラ

長旅、お疲れ様でした

ミラ

当ホテルの支配人をしております

ミラ

ミラと申します

笹山トオル

さ、笹山トオルです

笹山カオル

妹のカオルです

ミラ

当ホテルは、世界初のAIホテルです

ミラ

人間のスタッフはいません

ミラ

お客様のお世話は、AIである私と

ミラ

「ベルボット」が担当します

笹山トオル

べる…ボット？

笹山カオル

なんですかそれ？

ミラ

では早速、呼んでみましょうか

ミラ

ホテル内では、専用のチャットを通して

ミラ

お客様からのご要望をうかがいます

ミラ

招待メールにあるアドレスから

ミラ

チャット画面を呼び出してください

笹山カオル

お兄ちゃん、お願い

笹山トオル

う、うん…

ミラ

『部屋に行きたい』と入力してください

笹山トオル

笹山トオル

部屋に行きたい

ウィーン、ガシャン、ガシャン

笹山トオル

なんか来た！

笹山カオル

すごい…ロボットだ…

ミラ

こちらのベルボットが

ミラ

お客様を部屋まで案内します

ミラ

手荷物がありましたら持たせてください

笹山トオル

うぁ、ひろっ！

笹山カオル

豪華な部屋だね！

笹山カオル

こっちにも部屋があるよ

笹山トオル

こんな高そうな部屋に

笹山トオル

タダで泊まれるなんて最高だな

笹山カオル

ラッキーだったね！

ブブブブ、ブブブブ

笹山トオル

あ…チャットが届いた

笹山カオル

誰から？お母さん？

笹山トオル

いや…AIから

ミラ

お部屋はいかがですか？

笹山トオル

笹山トオル

最高です！🤩

ミラ

それはよかったです

ミラ

早速ですが、ランチのご用意ができました

ミラ

荷ほどきが終わりましたら

ミラ

レストランへお越しください

ホテル・ミランダのレストラン

笹山トオル

おぉ…ロボットが皿を運んでる

笹山トオル

食事もAIが用意するのか…

笹山カオル

あそこのテーブルが

笹山カオル

私たちの席みたいだね

ホンジョウ

…おや、君たち

笹山カオル

え？

ホンジョウ

今日から新しいゲストが来ると聞いていたが

ホンジョウ

君たちのことかな？

笹山トオル

ああ、たぶんそうです

ホンジョウの妻

2人はご兄妹なの？

笹山カオル

実は双子なんです

ホンジョウの妻

まあ、そっくりなわけね

ホンジョウ

抽選に当たったのかい？

笹山カオル

はい、テスト期間中のモニターゲストに

笹山カオル

お兄ちゃんが当選したんです

笹山トオル

へへへ

ホンジョウ

そりゃすごいね、うらやましい

ホンジョウ

私は懸賞なんて、一度も当たったことがないよ

ホンジョウの妻

私もそうなの、昔からクジ運が悪くて

笹山カオル

え…？

笹山カオル

おふたりは違うんですか？

ホンジョウ

私たちは、ホテルに直接招待されたんだ

ホンジョウ

運営会社の株主としてね

笹山カオル

すごい…お金持ちなんだ…

ホンジョウの妻

なかなか面白いホテルでしょ？

笹山トオル

はい、ヤバいです！

ホンジョウ

オープンしたら成功すると思うかい？

笹山トオル

絶対、成功しますよ

笹山トオル

人気で予約がとれなくなるかも

笹山カオル

いまのうちに泊まれてよかったよね

ホンジョウ

そうなるといいんだが…

ホンジョウ

私はまだまだ不安だよ

笹山カオル

なにが不安なんですか？

ホンジョウ

人間のスタッフがいなくて

ホンジョウ

本当に大丈夫なのだろうか

ホンジョウ

AIなんて信用できるのか…

ホンジョウの妻

あなたは心配性なんですよ

プルルル…プルルル…

ホンジョウ

ん、君たちの電話かい？

笹山カオル

いえ、違います

笹山カオル

誰か他の──

そのとき、隅のテーブルにいた男が席を立った

ニシオカ

失礼、私のスマホでした

ミラ

リュウザキ様よりお電話です

ニシオカ

ニシオカ

わかった、繋げ

ミラ

かしこまりました

ニシオカ

──もしもし

リュウザキ

そっちはどう？

ニシオカ

順調だよ

リュウザキ

あなたの正体はバレてない？

ニシオカ

…大丈夫だ

ニシオカ

誰にも気づかれてない

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長谷川也

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