一覧ページ

LINE1186

第1話 - あ

2023年09月27日

#恋愛

結城　真矢

ミカ

マチ！

ミカ

ねえ、同窓会のお知らせ見た？

ミカ

メールに来てたと思うんだけど

マチ

あ、うん

マチ

見たけど

ミカ

今のところ来る感じ？

ミカ

同窓会が終わったあと、みんなで2次会も行こうか、って話してて

ミカ

お店予約指定から人数確認してるところなの

マチ

そうなんだ

マチ

同窓会も、2次会も行くつもりだよ

ミカ

おっけー！じゃあ、しっかり身なり整えて当日、来てね

マチ

ちゃんと着るドレスも用意したから、大丈夫だけど

ミカ

マチがどんな服着てくるのか、調楽しみなんだけど～

ミカ

小学校、中学校一緒だったけどさ、

ミカ

小学校の時、毎日同じ上着着てきてたじゃん！

マチ

そんなの、昔の話でしょ

ミカ

どうせ、今もそんな感じなんでしょ？

ミカ

そんな数年で、人って変わらないでしょ

ミカ

しかも来てた上着、なんかシミがあるやつだったし、

ミカ

到底女子が着るものだとは思えないんだけどな～

マチ

あの時は、新しい服を買える余裕がなかったからだよ

ミカ

中学校に上がってからも同じだったでしょ

ミカ

しょっちゅう穴が履いてる靴下、履いてきてたじゃん

ミカ

クラスのみんなに見つかった時、めっちゃ笑われてたよね～

マチ

だから、そんなの中学生の時の話でしょ

マチ

なんで今そんなこと、掘り返す必要があるわけ？

ミカ

だって、面白いんだもん

マチ

は？何？どういうこと？

ミカ

私はパパがアパレルブランドの社長だから、

ミカ

しょっちゅう新しい服、買ってたでしょ？

ミカ

マチの着てた服と比べると、なんか面白くてさ～

ミカ

なんか、住む世界が違ったよね

マチ

そんなマウント取って、何が面白いの？

マチ

全然理解できないんだけど

ミカ

別に、理解してもらえなくても、いいけどね～

ミカ

まあ、大人になって、ちょっとは稼げるようになったんでしょ？

ミカ

プチプラのドレスくらいは買えるようになった？

マチ

ドレスくらい、買えるよ

ミカ

当日、会うのが楽しみだな～

ミカ

ほぼみんな来るから、絶対に来てよ

ミカ

途中でみんなに会う自信なくなったからとかで、キャンセルするのなしだからね

マチ

そんなこと、しないけど

ミカ

じゃあ、2次会までちゃんと来てね～

ミカ

ちゃんと人数にカウントしておくから

～同窓会1か月前～

ダイチ

マチ！久しぶり！

マチ

ダイチ君じゃん

マチ

どうしたの？

ダイチ

今度の同窓会のことでさ、ちょっとお願いがあるんだけど...

マチ

え？何？お願いって...？

ダイチ

俺さ、まだ着ていく服が決まらなくてさ...

ダイチ

あっ！やべ！上司に呼ばれた！

ダイチ

ごめん、またあとで電話していい？

マチ

うん、もちろんだよ

ダイチ

ありがと！

ダイチ

じゃあ、またね

～1週間後～

ミカ

マチ～？

ミカ

今度の同窓会の前にさ、

ミカ

当日来れない子たちを集めて、飲み会やるんだよね

ミカ

同窓会来れる子たちとも会えたらいいと思って、いろんな子に声かけてるんだけど

ミカ

マチは来る？

マチ

それって何日？

ミカ

え～と、今週の土曜日かな

ミカ

イタリアンレストランで、5000円のコース取る予定！

マチ

ごめん、土曜日は用事があるから行けないんだ

ミカ

そっか、残念だね～

ミカ

でも、用事とか適当なウソついておいて、

ミカ

本当はお金がないから来れないだけでしょ？

マチ

は？違うけど！

マチ

用事があるから、本当に都合が合わなくていけないだけ

ミカ

それ以上の理由なんて、別にないけど

ミカ

じゃあ、その理由教えてよ！

マチ

それは...言えない

ミカ

え？なんで言えないの？

ミカ

言えないような、やましい理由でもあるの？

マチ

違うけど、でも今はまだ癒えないの

マチ

だから、その土曜日の飲み会には行けない

ミカ

とかなんとか言っちゃって、

ミカ

本当は5000円のコースが高いな～とか思って、

ミカ

ぼった食られるかもしれないから、とかビビッて入りたくないだけでしょ？

マチ

そんなんじゃないから！

マチ

別の用事なの

ミカ

別に、マチがいてもいなくても、そんなにみんな困らないけどね

ミカ

マチだけ誘われてない、なんてことがあとで分かったら、

ミカ

傷つくかな～と思って

ミカ

それで誘ってあげてるだけだし

ミカ

1人だけ仲間はずれなんて、可哀そうでしょ？

マチ

は？今頃何？

マチ

小学校、中学校で散々私のこと、貧乏なこと言いふらして仲間外れにしたがったじゃん

ミカ

別に、仲間外れにしたかったわけじゃないよ

ミカ

同じ上着きてるのも、穴が開いた靴下はいてるのも、

ミカ

破れかけた鞄を使い続けてるのもさ...

ミカ

全部、気づいたことを言葉にしただけじゃん？

マチ

それが人のこと傷つけてる、って分からなかった？

マチ

ミカは楽しんでたのかもしれないけど...

マチ

私はかなり、傷ついてたんだよ

マチ

ミカはそんなこと、どうでもよかったんでしょ？

ミカ

別にそんなこと思ってないよ？

マチ

その態度、全然変わらないね

マチ

じゃあ、私仕事戻らなきゃいけないから

ミカ

そっ

ミカ

ちなみに、今はどんな仕事してんの？公務員とか地味職？

マチ

アパレルブランドで働いてるよ

ミカ

え？うそでしょ！？服のセンスゼロだったマチがアパレルとか受けるんだけど！

ミカ

どのブランドで働いてるの？教えてよ！

マチ

もうすぐ分かるよ

ミカ

は？そんなもったいぶる必要ある？

マチ

とにかく、同窓会で多分わかると思うからもう少しだけ待ってて

ミカ

まあいいや！

ミカ

少しでもビフォーアフターしてたら、褒めてあげてもいいよ～

ミカ

私は今日はオフだから、これからカフェにお茶でもしに行こうっと

～同窓会当日～

ミカ

マチ、もう同窓会始まってるけど

ミカ

まさか、本当にみんなに会って今日のワンピース見られるのが恥ずかしくなったとか？（笑）

ミカ

もうここまで来たんだから、着てるダサいドレス、お披露めしちゃいなよ

マチ

私も、今すぐにでも会場に行ってみんなに会いたいな

マチ

私が作ったこのアパレルブランドのパーティードレス

ミカ

は？何言ってんの？

マチ

私がどこの会社で働いてるのか、すごく気にしてたから教えてあげる

マチ

ミカ、自分のお父さんがアパレルブランドの会社の社長で、自分はおしゃれ番長気どりしてるのに、

マチ

ライバル企業については疎いんだね

マチ

私、最近自分でアパレルブランド立ち上げて、起業したの

ミカ

は！？ちょっと待って！どういうこと！？

マチ

どういうことって...そのままの意味だけど

マチ

私、ミカに馬鹿にされて悔しくて、高校から少しずつ服の勉強してたんだよ

マチ

卒業後は、専門学校に通って服飾の勉強してたんだ

マチ

去年まで、ヨーロッパにファッションの勉強で1年留学してたんだよね

ミカ

嘘...

マチ

それで、つい最近パリコレクションに出展することが決まったんだ

マチ

今、同窓会の下のロビーにいるんだけど、ここでミカのお父さんに祝福してもらったよ

マチ

パリコレクションに出展すること

ミカ

パリコレとかウソでしょ？

ミカ

起業したてのアパレルブランドがいきなりパリコレとか...あるわけないもん...

ミカ

どうせ、詐欺にヨーロッパまでの旅費をだまし取られようとしてるんだよ！

マチ

詐欺なんて、そんなわけないよ

マチ

だって、出展するブランド名簿に、私が立ち上げたブランドの名前、

マチ

しっかり載ってるから

ミカ

ありえない！だってあのマチでしょ！？

ミカ

あんなシミがついた上着ばかり着てきてたマチが...いきなりアパレルブランドの社長とか...

ミカ

私は信じないから！

マチ

じゃあ、今ミカが腰に巻いてるベルト、見てみて

ミカ

え？ベルト？

ミカ

あっ、それから、

マチ

今日、多分同窓会に来てるダイチ君のスーツも

マチ

私が立ち上げたブランドは、オーダーメイドのスーツなんだけど、

マチ

ダイチ君の着てるスーツ、私の会社で作ったものなんだよ

ミカ

え？うそ！？

ミカ

あのボルドーのスーツ...？

マチ

そう、似合うでしょ？ダイチ君にぴったりだな～って思ったの

マチ

イタリアンレストランに行けなかったのは、仕立てのミーティングをダイチ君としてたから

マチ

それから、ミカのベルトも私のブランドで作ったものだよ

ミカ

え？そんなわけないでしょ！？

ミカ

これはパパから同窓会の前につけるように、プレゼントでもらったものだもん！

マチ

そのミカのパパが、私のブランドに発注してくれたの

ミカ

え？そうなの...

ミカ

どうりで...なんか地味だと思った！

ミカ

パパからもらったからつけないと悲しまれるだろうな、と思ったからつけてたけど...

ミカ

こんなの、今すぐはずすし！

マチ

え？さっき、ミカのパパから聞いたら、

マチ

「直接渡した時に飛んで喜んでましたって言われたけど...」

ミカ

う...それは、演技だし！

マチ

え？そうなんだ～

マチ

あっ！それで、もう１つ...

ミカ

今度は何！？

マチ

今度、東京の駅前の高級ブランド店が並ぶ通りに、

マチ

第１店舗を出店することになったの

ミカ

え！？

ミカ

でも、あそこはブランドを立ち上げてから出展するまでには、平均５年はかかる

ミカ

って言われてるところでしょ

ミカ

それは、さすがに信じないから！

マチ

だから、本当なんだってば

マチ

実は、ブランドを立ち上げることが決まって雑誌取材された時、

マチ

ミカのパパに有名しか並べないその通りに店を出してみたら？って...援助されたの

ミカ

え！？パパが！？

マチ

そうだよ

マチ

さすがに、最初は断ってたんだけど...

マチ

ミカのパパがすごい私の理念に共感してくれて、

マチ

「私のこと信じて応援してくれる人を、頼ってみようって思えたんだよね」

マチ

だから、ミカのパパと今後は関わること、増えると思う

ミカ

私は、パパの味方だけど、マチの見方ではないから！

マチ

別に、私は自分の理念に共感してくれたり、考え方が同じような人としか関わらないから

マチ

「向上心を持って仕事に取り組む」

マチ

これが私の理念なの

マチ

過去のことをいつまでも引きずって、人の自信なくさせようとするようなミカとは、

マチ

今後関わるつもりないから

ミカ

私こそ、ないから！

マチ

じゃあ、ミカがオーナーを務める販売店舗には、

マチ

私の会社でつくる小物とか、売らないようにするね

ミカ

は！？なに？マチの会社で作るものを売るって...

マチ

あれ？自分もオーナー務めるくせに、聞いてないの？

マチ

ミカのパパに、「ぜひうちの店舗でもコラボしてベルトとか小物を売って欲しい」

マチ

って言われたの

マチ

私のお店の宣伝にもなるし、私の事業を応援してくれたミカのお父さんへの恩返しとして、

マチ

売り上げの一部を、その店舗の売る上げにするんだよ

マチ

ミカの店舗だけ、売り上げ下がることになるね

ミカ

マチの力を借りなくても、私は自分の力で売り上げ、上げてみせるから！

マチ

ふーん

マチ

できるんだ

マチ

まあ、それ以前にミカのお父さんは、

マチ

自分が応援してる会社のこと、のけ者にすることに対して良いように思わないんじゃない？

ミカ

またそんなこと言って、私に強制的にブランド立ち上げに協力的に慣れ、って言うんでしょ

マチ

別に、そんなこと言ってないし

マチ

私は、これからも自分のブランドを成長できるために必要なことだけしていくから

マチ

じゃあ、エレベーター来たから今から会場行くね

～後日談～

マチ

会場についてみると、多くの人が私の企業について知っていたらしく、

マチ

すごく祝福してくれていい気分でした

マチ

パリコレへの出展も成功し、出展までのドキュメンタリー映像を撮影して放送する、

マチ

というオファーももらっていて今後、事業拡大に大きく影響を与えそうです

マチ

これからも、日本のトップアパレルブランドに入れるように日々頑張っていきます

この作品はいかがでしたか？

0件

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう！

結城　真矢

プロフィール

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

LINE1186

第1話 - あ

作者の他の作品すべて見る

#恋愛の新着小説
一覧

関連するタグ

LINE1186

第1話 - あ

作者の他の作品すべて見る

#恋愛の新着小説一覧

関連するタグ

#恋愛の新着小説
一覧