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⚠️︰こちらの物語を読む前に、 通り雨が運んだモノ。を 先に読むのをオススメします。

今回は雫sideです。

霧雨高校の通学路、

此処を見守る担当である 雨の妖精は、水溜りになって、 通る生徒達を見守っていた。

何人かの生徒が自分にジャンプ してきたり、踏んできたりする。

痛くはないが、 決していい気持ちではない。

雨の妖精

(…仕方ない、いつものこと。)

雨の妖精

(これも仕事だから…)

ーそんなことを思いながら、 今日も水溜りとなっていたある日、

???

あ!水溜りが出来てる!!

???

せーので飛び込もうよ!!

???

ちょ、ちょっと待って!

???

??

???

いや、その…

???

え…どしたの亜芽?

雨の妖精

(…この子、亜芽(あめ)って
言うんだ…。)

???

こ、こんなこと言ったら、
バカバカしいとか、思われるかもなんだけど…

???

もし、私がこの水溜りだったら、
ふ、踏まれたら、嫌かなって…

???

…そっか。

???

亜芽って、
そういうとこ優しいよね。

???

くっそー!!
だから私と違ってモテるのかー!!

???

ちょ、待って待って!!

???

モテてないから!!

???

嘘つけこの美少女ー!!!

???

うわあああん!!!

???

ちょ、加波!!
落ち着いてよー!!

雨の妖精

(…楽しそう、だな…)

雨の妖精

(…いいなぁ…)

雨の妖精

(僕がもし人間だったら、
「亜芽」と仲良くなれたのかな。)

雨の妖精

(……………)

僕がどれだけ水溜りとなって 彼女の前に現れても、

絶対に彼女は、 僕を踏もうとはしなかった。

不思議だった。

僕は人間から見たら、 ただの水溜りなのに。

どうしてそこまでー

そんなある日

僕ら雨の妖精をまとめている 雨の神様が、風の神様に 告白してフラれた。

雨の神様は大泣きして、 妖精たちが元気づけようとするが、 一向に泣き止まない。

よっぽどショックだったんだな…

そんなことを考え、 心の中で少し同情しながら、

慰めている妖精たちとは 少し離れたところで、

いつの間にか日課になっていた、 「あの子」見守りをしていた。

水溜りが出来ていると 不自然な日には、 雲の上から人間を見守るのだが、

僕はずっと、 あの子しか見ていなかった。

何故自分がそんなにあの子に 惹かれているのか、 全く分からなかったけど…

雨の神様が大泣きしている 影響で、

地上は、一時的な大雨だった。

…と、その時、

亜芽が、傘を持っていないのが 見えた。

どうやら傘を持っている友達は、 帰り道が逆方向らしい。

ー今なら…

雨となって、地上に降っていけば、 あの子を助けられる。

一人離れている僕が 居なくなっても、 きっと今なら誰も気が付かない。

助けたい気持ちは もちろんあったが、

ー会いたいー

不思議なことに、 その時はそのことしか考えて いなかった。

無事地上に降り立ったは 良いものの、

流石に妖精の服では怪しまれるー

どうしようかと考えていたところ、 いつも水溜りである僕がいる道を 通っている、

霧雨高校の男子生徒の服を 思い出した。

同じ学校の男子の制服なら、 亜芽もきっと怖がらないー

そう思って、毎日見たあの制服を、 頑張って思い出して、 身に纏わせた。

僕は妖精だ。 これぐらいなんてことないー

雨の妖精

今一番大変なのはー

僕は、ずっと会いたかった あの子の元へ、

必死で飛んで行った。

あの子を助けるのは、僕がいい。

誰かに助けてもらう前に、 あの子が自分でどうにかしちゃう 前に、

僕が行って、助けてあげたいから。

無事たどり着いて、キミに 声をかけようとした時、

宮下 亜芽(みやした あめ)

今日は最悪の日だー!!

…なんて、キミは叫んでたよね。

何があったのかは分からないけど、

雨の妖精

こんな夜方に1人で叫んでどうしたの?

って聞いた。

とりあえず話しかけれた。 でもまだこれからー

宮下 亜芽(みやした あめ)

Σ(゚Д゚)ヒッ

宮下 亜芽(みやした あめ)

ど、どちら様ですか…??

名前を言わなきゃ…!

え、でも、僕って…

「雨の妖精です」だなんて、 口が裂けても言えないし、

僕の…名前…

ーあ、

雨の妖精

僕の名前は雫(しずく)。

雨の妖精

傘あるよ、入る?

え? なんで思いついたのかって?

亜芽のカバンに、 綺麗な雫のストラップが 付いていたから。

雫(しずく)

キミ、雨好き?

思わず口をついて出てしまった。

宮下 亜芽(みやした あめ)

…え?

宮下 亜芽(みやした あめ)

…雨?

ヤバい、困らせちゃったー!

ごめん、何でもないよ。 ーそう言おうとした時、

宮下 亜芽(みやした あめ)

嫌いじゃ、ないよ。

そう返ってきて、思わず

雫(しずく)

ホントに!?

…って、すっごくはしゃいじゃって。

ーなんか、僕のことを好きって 言われたみたいで、 すっごく嬉しかったんだ。

ー可笑しいよね。 普通の女の子に、 「雨が嫌いじゃない」って 言われただけなのにー

宮下 亜芽(みやした あめ)

こうやって雫くんと話せてるのも、
雨のおかげだし!

そう言われて、雨の神様には 悪いけど、

フラれてくれて、 ホントにありがとうって、 思っちゃって…

そんな感情を、

雫(しずく)

ポジティブだねw

なんて言って、誤魔化した。

時間はあっという間だった。

雨ー 雨の神様は、結構早く泣き止んで、

お別れの時が来た。

ーホントは、 よっぽどの理由がない限り、

人間界には来ちゃダメなんだー。

泣き止んだとなれば、今まで 神様の所に集まっていた 妖精たちは、

恐らくそれぞれの持ち場に戻る。

そうなれば、誰かが、 僕が居ないことに 気付くかもしれない。

だから、すぐそこの曲がり角を 見つけて、

雫(しずく)

じゃあ僕、こっちだから。

ーなんて、言いたくもなかった お別れを、自分から言った。

宮下 亜芽(みやした あめ)

うん!今日はありがとう!!

宮下 亜芽(みやした あめ)

本当に助かったよ〜(❁´꒳`❁)

そう言って、 微笑んでくれるのを見ただけで、

来た甲斐があった、と、 心の底から思えた。

雫(しずく)

ううん、僕も!

雫(しずく)

楽しかったよ!

最後に、紛れもない本心を、 彼女に伝えれた。

宮下 亜芽(みやした あめ)

うん!それじゃあ、

「「またね!!」」

…なんて、きっと無いんだろうな。

「雨の妖精」に戻った僕は、 いつも通り水溜りとなって、 みんなを見守っていた。

きっと、今まで生きてきた中で、 一番幸せだった、

あの時に心を馳せてー

ーすると、

雨の妖精

(…亜芽だ…。)

いつも通り、亜芽が通った。

しかし、いつもと違う。

雨の妖精

(…僕を覗き込んで、どうしたの?)

宮下 亜芽(みやした あめ)

…雫、くん…?

雨の妖精

(…!!!!)

雨の妖精

(亜芽…??)

雨の妖精

(な、なん、で…)

宮下 亜芽(みやした あめ)

……………

宮下 亜芽(みやした あめ)

…!!

宮下 亜芽(みやした あめ)

…そっか、そういうことだったんだ。

宮下 亜芽(みやした あめ)

…ねぇ、また、会えるよね?

彼女がどこまで気づいたのかは 分からない。

けど、

雨の妖精

(絶対、また会いに行くからー!!)

そんな思いが、届くように。

僕は、精一杯水溜りを揺らした。

雨の妖精

今度は、亜芽のあのストラップにでも変身しようかな?

雨の妖精

…なーんて。

💧〜ℯꫛᎴ〜☔

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