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えと
えと
えと
えと
〜主な登場人物〜
えと
桧山ゆあん
蒼井えと
蒼井のあ
高尾ヒロ
小倉たま
浜名ひなこ
渡辺るな
うり
〜終わり〜
えと
雨あがりの朝が 好き
アスファルトの道路がまだ ジメジメしていたり
思わぬところで 雨粒に触れて
服が肌にピトッと吸いついてきたりするのは イヤだけど、
でも……。
この空。
新しい一日が始まるんだなって感じがして とっても気持ちがいい
私、蒼井のあ、十二歳。 毎日元気でがんばっています。
もう一度空を見上げる 本当に青く澄んだ、洗いたての空が広がっている―。
学校の坂道にさしかかると、桧山たち男子数人が前を行くのが見えてきた
高尾ヒロ
桧山ゆあん
高尾ヒロ
右に左に跳びはねながら、スレスレのところに泥を飛ばしてスリルを楽しんでいるらしい。
……まったく、いつまでたっても男子は子供なんだから
特に、桧山!
桧山 ゆあん。
同じクラスの男子で、運動が得意で、いたずら好きで、子供っぽくて、人参が嫌いで、素直じゃなくて。
それで、その……
私の彼、です。
……いやいやいや。
私は、自分に自分で照れてしまう
彼氏といっても……。
例えば、追いかけていって後ろから
「おはよう」
って声をかけるとか……、 そういうことはできない。
これが中学生や高校生のカレカノなら……。
いや、同じ十二歳でも、例えばうちのクラスのもうひと組みのカップル
のあと、高尾だったら。
「おはよー」
「おぅ」
なんて自然に言葉を交わしながら、そのままふたりで教室に向かっていくことができるんだろうけど……
私桧山は絶対に無理!
私たちがつきあっていることは、もうとっくにクラスのみんなには知れ渡っていて、偶然一緒に教室に入っただけで、
「スクープ!夫婦そろって登校!」と
ひやかされてしまう……。
うちのクラスには、そんなノリがあった。
クラス一お調子者のうりとか、 それにのっかる委員長。
さらに男子が勝手に作った新聞クラブ、放送クラブ、イラストクラブやなんかがあって、なにかというと、たちまちスクープネタにされてしまうのだ
(ちなみにのあ、高尾もひやかされているけれど、こちらはあまりに自然なカップルのため、ひやかされても比較的落ち着いている)。
問題はクラスのノリだけじゃない。
自然に振る舞っているつもりでも、教室や廊下で、たまたま桧山と至近距離になってしまったその瞬間、なぜかぎこちない会話になってしまう……
そんなふたりだったら。
だからこんな時も、他の男子がいる中、わざわざ追いかけていって話しかけることはできなくて……
私はただ後ろ姿を目で追いながら、桧山の歩いた道をなぞるようにして昇降口にたどりついていたのだった。
下駄箱には、もう桧山たちの姿はなかった。
代わりに同じクラスのるなちゃんがいて、ちょうど靴を履き替えているところだった。
蒼井のあ
るなちゃんは私に気がつくと、ふんわりと笑った。
渡辺るな
るなちゃんの視線は、私のスカートのすそに注がれている。
見ると……こんなところに、いつのまにか泥はね
渡辺るな
そう言って、るなちゃんは真っ白なハンカチをさっと取り出すと、私のスカートにあててトントンと 叩き始めた
蒼井のあ
渡辺るな
そう言って、るなちゃんは満足そうに笑った。 スカートの泥は、本当に消えてなくなっていた。
その代わり、その泥はるなちゃんのハンカチに移ってしまったのだけれど。
蒼井のあ
渡辺るな
そこまで言うと、るなちゃんはちょっといたずらっぽい顔をした。
渡辺るな
蒼井のあ
渡辺るな
私が思わず照れると、自分で行ったくせにるなちゃんも照れて、手を口元にもっていった。
でも、そのるなちゃんのカーディガンのひじにも……。
蒼井のあ
私の視線に気がついたるなちゃんも、自分のひじをみる。
渡辺るな
るなちゃんは、すぐにまた自分のハンカチをあててトントン叩きながら、クスクスと笑い始めた。
渡辺るな
蒼井のあ
るなちゃんにつられて、私も自然にと笑ってしまう。
面白いとか楽しいとかじゃなくてらるなちゃんと一緒にいると、なんだかほっこりして笑顔になってくる。
るなちゃんって、そういう子だった。
えと
えと
えと
えと
えと