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保月が犬飼を最初に見たのは 、 一年前のオフ会の集合ロビーだった 。
落ち着きなく視線を泳がせる少年 。
大人の会話に無理して合わせる声 。
その姿が 、過去の自分に重なった 。
██ 年前 。
保月もまた 、追い詰められていた 。
家庭は冷え切り 、 成果だけ求められる日々 。
「失敗は許されない」
その言葉が 、首のように彼を縛っていた 。
一度だけ 、彼は不正をした 。
小さなズレだった 。
だが 、バレれば終わる 。
それを知った同僚がいた 。
最初は優しかった 。
だが 次第に 、
その言葉が鎖になった 。
脅し 利用 孤立
最終的に 、保月は自分で全てを被った 。
同期は無傷 。
保月だけが部署を追われた 。
外資系企業へ転職したのは 、 その「やり直し」のためだった 。
だから 。
犬飼の震える声を聞いた時 。
犬飼 ( いぬかい )
その言葉が 、深く刺さった 。
糸瀬が倒れている部屋 。
犬飼は壊れかけていた 。
犬飼 ( いぬかい )
その目は 、助けを求めていた 。
保月は理解する 。
ここで警察に突き出せば 、 少年の人生は終わる 。
ネットは残酷だ 。
未成年だろうと晒される 。
家族も巻き込まれる 。
そして何より 、 彼は自分を守れない 。
あの頃の自分と同じ 。
誰も守ってくれなかった 。
だから 、
保月 ( ほうづき )
それは衝動だった 。
合理的ではない 。
だが 、止められなかった 。