コツコツ
トコトコ
今日も人影のない一本道を一人で歩いてゆく。
カランコロン♪
いつもの様にドアのベルが鳴る
「あぁ、この音好きだなぁ」
いつも思うこと
店長
店長
店長の低くて響く声
好きだなぁといつも思う
店長は二十年以上も前からこの店を経営しているそうだ、
少し高齢なお方だ
澤野清美
澤野清美
私はいつものように「いつものください」と言う。
店長
澤野清美
澤野清美
澤野清美
店長
店長は黙ったままだ
実は私はこれになれてる
昨日も同じこと言ったもん。
澤野清美
澤野清美
店長
店長
澤野清美
昨日とおんなじこと言ってる
店長、飽きないのかな?
昨日のことを忘れてるとか?
澤野清美
店長
お客も店員も1人ずつしかいないのに
店長
澤野清美
同じものは出せないって
昨日と変わってない味。
澤野清美
店長
澤野清美
澤野清美
店長
澤野清美
カランコロン♪
澤野清美
澤野清美
店長
澤野清美
あの店は私が1番の常連客だと思う。
誰にも教えたくないくらいだもん
ピロピロピロリン♪
ピロピロピロリン♪
電話の音
清美の父親
澤野清美
清美の父親
澤野清美
清美の父親
澤野清美
清美の父親
プーップーッ
本当はこの後、
気軽に買い物でも行きたかった
澤野清美
うちの門限は厳しくて
外出したら1時間以内には帰宅しなければいけないというルールがある
澤野清美
ってあれ…?
お父さん……
澤野清美
他の女性と遊びに行ってるんだ
澤野清美
ま、1人の方が落ち着くけどね
私のお母さんは
私が中学生の頃自殺してしまった。
原因は不明。
もしお母さんがまだ生きてたら
あたたかな家庭を築けてたんだろうな
ガチャッ
清美の父親
見知らぬ女性
お父さんと見知らぬ女性が部屋に入ってきた
私は考える間もなく
小ダンスの裏に隠れこんだ
背中が少しはみ出るけど
まぁ見つからないだろう
見知らぬ女性
見知らぬ女性
清美の父親
見知らぬ女性
見知らぬ女性
清美の父親
清美の父親
清美の父親
見知らぬ女性
見知らぬ女性
清美の父親
見知らぬ女性
見知らぬ女性
きっと私のことだ
家を追い出されるのかな…?
清美の父親
見知らぬ女性
清美の父親
清美の父親
見捨てられた
完全に見捨てられた
私なんてきっと邪魔なんだろうに
見知らぬ女性
清美の父親
ここにいるっ!
でも、声も出なかったし
体も動かなかった
十分後
しばらくすると
2人が部屋から出ていった
澤野清美
私は小ダンスから体を出し
ため息を付いた
澤野清美
澤野清美
一瞬、母と居たときのことを思い出した
澤野清美
澤野清美
澤野清美
澤野清美
今まで心の中にあった言葉が
口から出てしまっていた
一人暮らし、家出は考えていたし、
言われることもちょっぴり分かってた
あの人たちから言われる前に
この家を去ろう_。
その時だった。
あの店長とのいつもの会話が頭に浮かんだ
澤野清美
店長
あの言葉には、
何か意味があるのだろうか_?
コメント
17件
いいよね…雫ちゃはこういうストーリー出せて…