ある日の夜……
ピンポーン
糸吉
ん?…誰?母さん、ちょっと見てくるね
母
わかったわ、気をつけてね
糸吉
はーい、どちら様で…
昭吉
や、久しぶりだな
昭吉
元気にしてたか?
糸吉
………!
母
糸吉、どうした…って、…‼︎
あなたじゃない
あなたじゃない
昭吉
明子も久しぶりだな。元気そうで何よりだ
糸吉
…何しに来たんだよ!!
昭吉
なんだ?息子と妻の様子を見に来るのは悪いことなのか?
母
い、糸吉も落ち着いて。
あなたも、ここに来るなんてどういう心変わり?
あなたも、ここに来るなんてどういう心変わり?
昭吉は俺の父親。だが、俺が生まれてすぐに若い女と夫婦になり、 俺と母さんを捨てた。母さんはたった1人で俺をここまで 育ててくれた。だから、こうして機嫌がいい時しか近づいてこない 父親を、俺は嫌っている。
昭吉
俺は昔から変わっちゃいねえよ、明子と出会ったときからな
糸吉
…るっせえよ!
俺と母さんに近づくな!
俺と母さんに近づくな!
糸吉
俺の親と名乗っていいのは、母さんただ1人だ!
昭吉
ふ、その威勢の良さ、若い時しか出ねえもんな
昭吉
あ、糸吉にとっては義理だが弟ができたぞ。
見に来てもいいからな
見に来てもいいからな
そう言って、あの男は去っていった
母
…大丈夫よ。私は、糸吉さえいればいいのだから
糸吉
…でも…。
母さんの言っていることが嘘っていうこともバレバレだ。母さんの 握った拳は、汗をかいて震えている。
そんな父親を潰すためなのか、俺はネットの世界にのめり込んでいった







