復讐は悲しみしか生まない
そうわかっているのに
僕は怒りを抑えられなかった
知近
なぁ、父さん
父
どうした?
知近
母さんってさ
父
あぁ
知近
どうして死んだんだっけ
父
...交通事故だな
知近
...それ嘘だよな
父
...なんでだ?
知近
俺さ、調べたんだよ
父
.....。
知近
質問を変えるよ
知近
なんで母さんを殺した?
父
.....。
知近
なぁ、なんか言えよ
父
どうやって調べた?
知近
親戚に聞いて回ったんだ
父
...そうか
父
それでどうするんだ?
知近
父さん、死んでくれよ
父
...わかった
父
...殺せ
知近
...じゃあな!殺人鬼!
ザクッ
父
心臓を一突きか...
父
...よく聞け
知近
何?
父
父さんが死んだ後
父
必ず父さんの部屋に行け
知近
なんで?
父
これかを聞けないなら
父
お前は母さんを裏切ることになる
父
いいな?
知近
...わかったよ
父
ならいい...
数分もせずに父は死んだ
父に言われた通り
父の部屋に向かった
そこには僕宛ての手紙があった
知近
なんだこれ?
知近へ
これを見てるということは
私を殺したのだろう
ならば、ここでは
母さんの死んだ時の話をしよう
母さんは交通事故で死んだ
それは揺るぐことのない事実だ
昔お前が道路に飛び出した時に
お前を救うために飛び込み死んだんだ
母さんはお前は
真実を知れば自分を責めて
死ぬかもしれない
だからこの事実を隠して
と父さんに頼んできたんだ
これが真実だ
親戚にも聞いてみなさい
みんな同じことを言うだろう
そして、最後に
父さんらしいことをしてやれなくて
本当にすまない
お前を苦しめてしまって
すまない
父さんはお前をずっと愛している
昔も今もそれは変わらない
後悔はするな
後悔の先に道なんてない
幸せに生きてくれ
父さんより
知近
なんだよ...これ...
知近
なんで...
知近
なんで...黙ってたんだよ...!
知近
...うわぁぁあ!
母さんが大好きだった
だから
母さんを殺した父さんを
俺は許せなかった
だけど、全て
俺の早とちりだった
復讐は何も生まない
それを改めて知った日だった