TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

優しいあなたの殺し方

一覧ページ

「優しいあなたの殺し方」のメインビジュアル

優しいあなたの殺し方

第12話 - 第12話

426

2024年03月06日

#文スト

#芥敦

#敦愛され

#太宰治(文豪ストレイドッグス)

#中原中也(文豪ストレイドッグス)

緑川羊右

シェアする

この作品はいかがでしたか？

426

緑川羊右

プロフィール

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール

テラーノベルのスクリーンショット

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

ホーム

検索

通知

本棚

数時間前。

泉鏡花

敦を、救いたい……？

泉鏡花

それは、一体どういうこと？　あなたは、ポートマフィアの人じゃないの？

泉鏡花

　鏡花の訝しげな視線が芥川に刺さる。

芥川龍之介

……然り。

芥川龍之介

だが、今の僕はポートマフィアとしてではなく、一人の男、奴の恋人として頼んでいる。

泉鏡花

こ、恋人……！

芥川龍之介

……奴の中では、別れていることになっているがな……というのはどうでもよいのだ。

芥川龍之介

貴様も貴様の仲間も敦を助けたいのだろう。

芥川龍之介

ならば、好機だ。このポートマフィアの手を使い、敦を助けに征くのだ。

芥川龍之介

普通に乗り込むより、幾分と早い。

芥川の目は覚悟に満ち溢れていた。

その眼差しは鏡花の覚悟でさえも固めた。

泉鏡花

わかった。今すぐ、国木田さんに連絡を入れる。そうしたら、すぐに敦に向かう

芥川龍之介

然り

太宰治

芥川さん！　私たちを裏切るのですか！

太宰の声に芥川は頷くでもなく首を横に振るでもなく、たった一言、

芥川龍之介

僕は奴の望みを叶えに来たのだ。

芥川龍之介

幹部が足りぬのなら、太宰、貴様が担えばよい。

と。

森鴎外

芥川くん……君は救いようのない裏切り者だ！

谷崎潤一郎

異能力、細雪！

谷崎の異能がかかる。芥川が消えた。

芥川龍之介

……敦、こっちだ

芥川の声に連れて行かれた。

首領室から人が戦う音が聞こえる。

みんなが敦のために戦ってくれている。

嬉しくて、それこそ狂ってしまいそうだった。

芥川は武器を持つ部下たちを払いのけ、敦の体をひょいと持ち上げ、

芥川龍之介

敦、歯を食いしばれ！

中島敦

えっ……

と、窓から飛び降りた。

物事が一気に進むがゆえに、敦は脳内で処理ができていなかった。

だが、今見えるものが現実であることはわかった。

芥川は人通りの少ない路地裏で敦をおろした。

芥川龍之介

ここからは、貴様一人で逃げろ。貴様はもう探偵社の一員だろう。早く自身の家に帰るがいい。

中島敦

……あの、どうして、僕を、僕を助けに来たの……？

つい聞いてしまった。芥川が鳩が豆鉄砲を喰らったような表情をしていた。

芥川龍之介

なぜ、か……それは、僕が貴様を愛していたからかもしれぬな

目を、見開いた。まさかそんなことを言うだなんて思ってもみなかった。

芥川龍之介

もっといえば、貴様に死んでほしくないのだ。貴様を殺すのは僕と決まっているのだから。

敦の目には涙が浮かんでいた。

どんな理由であれ、芥川の中に自身が残っていたことが嬉しかったのだ。

中島敦

芥川……龍、龍は、僕のこと、好き？

またもや、芥川は驚いた顔をした。そして少しだけ頬を赤らめ、

芥川龍之介

愚者め。二度も言わねば理解できぬか。

芥川龍之介

……僕は貴様を愛している。この世界の誰より、貴様を愛おしく思っている。

留めていた鮮やかな感情が触れだす。好きという感情がまた強く根付く。

芥川龍之介

これで満足か？　満足したなら、貴様は自分のあるべき場所へ帰れ。

中島敦

い、嫌だ！

気がついたら、口を突いて出ていた。

中島敦

僕は龍と最後まで一緒にいたい！

中島敦

僕だけが逃げるなんて、そんなことをするくらいなら死んだ方がマシだ！

芥川龍之介

……重畳。それなら、最期まで付き合ってもらおうか

芥川は敦の手を引き、戦闘体制に入り、追ってくる者を昔のように戦った。