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冥界の守護者

第17話 - 謹慎処分

162

2025年05月13日

#司類

#冬彰

#寧々えむ

#こは杏

#瑞類

あかまる🍓🐾໊

トウヤ

ﾊｯ…ﾊｧ…

司

…お前、何故まだ立っていられる？

司

もう何度も致命傷を与えているはずだが。

トウヤ

(あぁ……懐かしい感覚だ。)

トウヤ

(苦しくて、苦しくて、目を閉じてしまいたい感覚…)

司

…何故笑っているんだ？気味の悪い。

トウヤ

ふっ…すまない。懐かしくてつい、な。

トウヤ

(王の力…たしかに、計り知れない強さだ。)

トウヤ

(だが…まだ、経験が足りないな。)

ザシュッ！

司

っ！？

司

ぐ…っ、化け物か…？その状態で、そんな動き…

トウヤ

司のことは、なるべく傷付けたく無かったが…

トウヤ

やられっぱなしは癪だ。フェアにいこう。

司

…面白い。

ガキンッ！！ギンッ！

司

……今まで、加減していたのか。

トウヤ

死神同士の争いは御法度だからな。それに、司を傷つけたくは無かった。

トウヤ

だが、そっちがその気なら、もう加減する必要もない。

素早く隙を突き、司の肩から斜めに剣を振り下ろした。

司

ぐ……っ！

ザシュッ！

トウヤ

っ…！

一進一退の攻防戦。状態的に不利なのは俺だ。

トウヤ

(だが……まだ、全然いけるな。)

司

…化け物め、

トウヤ

そう呼ばれるのも、実に1000年振りだ。

司

…そろそろ、終わりにしよう。

司が手を開き、何かをしようとした。

ルイ

司くんっ！！

司

？！

トウヤ

！！

ルイ

バカ！！何してるんだい！！

司

ルイ…？

司

ﾌﾗｯ…

ルイ

わっ…司くん？

ルイ

……寝ちゃった、

トウヤ

(ﾎｯ…)

アキト

トウヤまで……お前ら、何してんだよ。

トウヤ

アキト…

ルイ

2人とも、すごい怪我じゃないか…！

アキト

ルイさん。あの悪霊、葬送して下さい。トウヤと司は俺が見ておくんで。

ルイ

あ、あぁ。分かったよ。

司

ﾊﾟﾁｯ

司

む……医務室？

司

(また…オレは悪霊との戦闘で、深手を負ったのか…？)

ルイ

……司くん、おはよう。

司

あぁ、ルイ！…痛ｯ、

ルイ

動かないで！君も重症だから。

司

「も」？

ルイ

……本当に、何も覚えてない？

司

ん……？？

司

え、えっと…？

ルイ

そうか…

ガチャッ

トウヤ

あぁ、司。起きたのか。

司

おぉ、トウ……って、その怪我は？！

アキト

おい、こら！トウヤ！！絶対安静だって言ってんだろうが！

トウヤ

あぁ、アキト。司が起きたんだ。

アキト

！

司

トウヤ…その怪我、何があったんだ？！

司

あっ……もしや、オレが悪霊にやられている間に、トウヤも…？！

司

本当にすまない！！オレが、オレが弱いばっかりに……！！

アキト

…それ、本気で言ってんのか？

司

え？

トウヤ

司、俺の怪我なら大丈夫だ。悪霊にやられたわけじゃない。

司

え……？な、なら、何故そんな怪我を…？

トウヤ

そうだな…

トウヤ

…少し、話そうか。司。

司

？

司

は……？

司

お、オレが……？トウヤに、そんな怪我を…？

トウヤ

ちなみに、司の怪我は俺がやった分だ。すまないな。

司

い、いやいやいや！！今の話を聞く限り、トウヤは正当防衛だろう！！

司

いや……え？本当にオレが…？？

トウヤ

やはり覚えていないか。

司

あ、あぁ……全く…イマイチ信じられんし…

司

オレが、そんな独裁的な…

司

(独裁的な、王……？)

トウヤ

……何か、心当たりが？

司

……関係あるか、分からないのだが…

司

その、トウヤが話したオレの様子…生前に演じたことのある、冥界の王の役柄と似ている気がする。

トウヤ

演じた？

司

あぁ。オレの生前は俳優でな。えっと…俳優は分かるか？

トウヤ

あぁ、大丈夫だ。役者だろう。

司

そうだ。

司

それで…一度演じた舞台で、冥界の王の役をやったんだ。

司

その冥界の王は、圧倒的な強さと支配力を持った、独裁的なヴィランでな。

司

トウヤの話してくれたオレの様子が、その時の役に似ている気がするんだ。

トウヤ

それは……

トウヤ

えっと…どういう事なのだろうか…

司

オレも分からん…

トウヤ

まぁ…こういう時は、本物の王に聞くべきだな。

カイト

ふむふむ……うん、なるほどね。

司

えっと…何か分かりますか？

カイト

そうだな……君の生前のことも、少し調べたよ。

カイト

君は役者の中でも、憑依型と呼ばれるタイプだったらしいね。

司

憑依…あぁ、はい。そうです。

カイト

そして、過去に演じた冥界の王の役…役作りに苦労した事から、思い出深いものなのだろう？

司

はい、そうです。

カイト

なるほどね…

カイト

……結論から言うなら、王の力が暴走した…という感じかな。

司

ぼ、暴走？

カイト

あぁ。魂を操るときに大事なのは「イメージ」だって言ったよね？

司

は、はい。

カイト

司くんは王という役になりきることによって、魂を操るイメージが上手く出来るようになっている。

カイト

だからきっと、王の力を自在に使えていたんだろう。

司

な、なるほど…

カイト

ただ…司くんのその状態は、とても危険だね。

司

う…

カイト

……一応ね、君はこれから謹慎処分ってことになるんだ。

司

え？！き、謹慎処分？！

カイト

司くんの意思じゃなかったとしても、トウヤくんに怪我を負わせたからね。

カイト

本来なら監獄行きだったんだけど、トウヤくんも君に反撃したお陰で、謹慎処分で済んだんだよ。

司

(と、トウヤが…オレの処分を軽くするために、反撃してくれたのか？)

カイト

君が謹慎を受けている期間、ルイくんには1人で仕事をしてもらうことになる。

司

？！？！

カイト

ただでさえ、人手不足だからね。そうなってしまうんだ。

司

な……っ

カイト

もうルイくんには事情を説明してあるから、大丈夫だよ。

司

ルイは……何か、言ってましたか？オレに幻滅したでしょうか…

カイト

それは、本人に直接聞かないと分からないな。

司

…

カイト

謹慎期間、この敷地内から出るのを一切禁止するよ。無断で出たことが分かれば、期間が延びるから気を付けてね。

司

分かりました…

司

あの、謹慎って、いつまで…？

カイト

本来なら、100年くらいになるんだけど…

司

ひ、100年？！？！

カイト

それを決めるのは僕なんだ。だから、司くんは…そうだな。

カイト

僕が復帰してもいいと判断するまで、かな。

司

か、カイトさんが…

司

(つまり…カイトさんに判断されなければ、100年以上謹慎の可能性もあるのか…)

カイト

今日は一旦、部屋に戻って。まだ怪我も治ってないだろう。

司

……分かりました、

ルイ

…あっ、司くん、

司

ルイ…

司

……すまない。本当に…また、お前を1人で戦わせることになってしまった。

ルイ

…

司

(幻滅…されたか。いや、流石に嫌われたか…)

ルイ

…気にしないで。1人で戦うのには慣れてるんだ。

司

…っ

ルイ

トウヤくんに感謝だよ。彼じゃなかったら、きっと君は監獄行きだったさ。

ルイ

またお礼言いにいこうね。

司

トウヤは……怒ってないか？アキトにも…嫌われてしまっていないだろうか？

ルイ

嫌う？まさか。2人とも君を心配してたよ。

司

で、でも…オレは、トウヤに酷い怪我を…

ルイ

あれは司くんだけど、違ったんだろう？みんなそれは理解しているから、大丈夫だよ。

司

……

司

(優しい…全員がそうだからこそ、自分が許せない。)

司

…オレは、どうすればいいんだろうか、

司

全く記憶がないし…どんな時にそうなってしまうのかも、分からない。

司

オレは……誰も、傷付けるのは嫌だ…

ルイ

…うん、

ルイ

分かってるよ、大丈夫。でも…どうすればいいかは、僕にも分からない。

司

…

ルイ

大丈夫。色々考えちゃうかもしれないけど、大丈夫だよ。

ルイ

今日はもう休もう。君も怪我してるし、疲れてるだろう。

ルイ

僕も、隣にいるから。

司

ルイ…

翌日

司

あの…カイトさん。呼びましたか？

カイト

あぁ、うん。呼んだよ。

司

本日は何用で…

カイト

その、冥界の王様と、僕もお話がしたくてね。

司

…え？

カイト

どうしたら出てきてくれるのか、分かるかい？

司

い、いえ……全く、分かりません。

カイト

ふむ…なるほど。じゃあ、色々試してみるね。

司

……え？？

カイト

(ふむ……なるほどね。)

カイト

(どうやら、王の力を使いたいと、心からそう思った時に出てきてしまうらしい。)

カイト

君が、冥界の王…だったかな？

司

あぁ。

司

いずれは会いに行こうと思ってたんだ。まさか、そちらからオレに会おうとするなんてな。

カイト

えっと、君は王様になりたいんだっけ？

司

いいや、オレが王だ。冥界に2人も王はいらんだろう。

カイト

そうか…なるほどね。

カイト

君の言いたいことは何となく分かったよ。

カイト

あまり、王様を舐めないで欲しいな。

カイト

"頭を垂れろ"

司

っ？！ぐ……っ？！

カイト

君が王？笑わせないで欲しいね。

カイト

君はまだ、王の力を十分には発揮出来ていない。幼子のようなものだよ。

司

く……っ

カイト

(今の状態の彼は危険だけど、王の力を使うことが出来る。)

カイト

(理想としては、司くんが王の力を使いこなせればいいんだけど…憑依しなければ使えないのなら、仕方ない。)

カイト

僕が、君を王に相応しく教育してあげよう。

司

……っ

数時間後

ルイ

カイトさん。お呼びです…

ルイ

？！

ルイ

(へ、部屋が……破壊されてる…？！)

カイト

あぁ、ルイくん。司くんを部屋まで持って帰って欲しくてね。

ルイ

え…？

司

Zzz…

ルイ

おや……

ルイ

……えっと、何をしていたんですか？

カイト

冥界の王を名乗る"彼"に、ちょっとばかし教育をね。

ルイ

！

カイト

"彼"が冥界の王の力を使うに相応しくなったと判断できれば、司くんの謹慎は解こう。

ルイ

なるほど…分かりました。

ルイ

ちなみに…どうでしたか？

カイト

中々、苦労しそうだね。

カイト

"彼"はプライドも高く、自己中心的だ。王の力を持たせるには危険だね。

ルイ

そうですか…

ルイ

(この部屋の荒れ具合…その"彼"が暴れたのかな？)

ルイ

(司くんであって、司くんじゃない"彼"…)

司

うぅ、ルイ…

ルイ

！

ルイ

(…寝言か、)

司

やさいをくえ…

ルイ

どんな夢見てるのさ…

ルイ

失礼するよ。

トウヤ

あぁ、ルイさん。

ルイ

ちょっと話したいんだけど、いいかい？

トウヤ

もちろんです。そこにお掛け下さい。

アキト

じゃあ、お茶持ってくるんで。

ルイ

ふふ、ありがとう。

ルイ

トウヤくん、怪我は大丈夫かい？

トウヤ

はい。仕事にも支障ないほど、回復してます。

ルイ

それは良かった。

アキト

お茶です、どうぞ。

ルイ

あぁ、わざわざありがとう。

ルイ

改めて、トウヤくんにお礼を伝えたくてね。

ルイ

本当にありがとう、トウヤくん。君のお陰で、司くんが謹慎で済んだ。

トウヤ

あ、頭を上げてください。大したことはしていませんから。

ルイ

いや、大したことだよ。君の判断力と頭脳には、いつも感心してしまうね。

トウヤ

勿体ないお言葉です。

ルイ

また謙虚だねぇ…

ルイ

だけど…実際、あの時司くんといたのが、トウヤくんで本当に良かったよ。

ルイ

エムくんやネネ、シライシくんやアズサワくんなら…きっと、あの司くんに反撃すら出来なかっただろうから。

ルイ

僕だって、司くんに攻撃できるか分からないし…監獄行きにさせてしまっていたかもしれない。

ルイ

だから、本当にありがとう。

トウヤ

…はい。どういたしまして。

トウヤ

本当は、俺が司に怪我をさせられなければ良かったのですが…すみません。

ルイ

い、いやいや…謝らないでくれ。

トウヤ

あの状態の司の強さは、計り知れませんでした。ルイさんより強かった可能性もあります。

ルイ

ふむ……

ルイ

(それに反撃して、いい勝負してたトウヤくん…やはり、流石としか言いようがないね。)

トウヤ

司の様子はどうですか？怪我は？

ルイ

あぁ、怪我はもう大丈夫そうだよ。まだ完治ではないけど、十分動けるくらいには回復してる。

トウヤ

良かった…

トウヤ

司…自分のこと、責めていませんか？

ルイ

それは…

ルイ

…

ルイ

司くん…優しいから、

トウヤ

…そうですか、

トウヤ

ルイさんは大丈夫ですか？また1人で仕事行ってるんでしょう。

ルイ

あぁ、大丈夫だよ。慣れているしね。

アキト

…腹部、怪我してますよ。

ルイ

ｷﾞｸｯ

トウヤ

ルイさん…………怪我は隠さないでくださいと、あれほど…

ルイ

た、大した怪我じゃないよ。放っておけば治る、かすり傷だから。

アキト

深度5cmくらいが？

トウヤ

5cm…？

ルイ

な、何で分かるの…？！

アキト

動きとか視線、発汗とか、経験で。

ルイ

君、結構怖いよね…敵には回したくないな、

トウヤ

ルイさん、怪我してるならちゃんと手当下さい。

ルイ

は、はい…

この作品はいかがでしたか？

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2件

続きが楽しみです！

死神は生前と関係があるものがあるのかな？、、、続き楽しみにしてます！

あかまる🍓🐾໊

プロフィール

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