先生
櫟
珠樹
……?
先生
お前そろそろちゃんとやらんと大学とか行かれへんぞ
珠樹
……そーですか
先生
あんなぁ…
先生
自分のことやぞ…
珠樹
分かってます
珠樹
………
先生
……なぁ、親から離れたいんやろ
珠樹
…はい
先生
…じゃあ…
先生
ここなんやけどさ
脇に抱えてたパンフレットを私の目の前に差し出された
珠樹
これは…
先生
県外の大学
珠樹
!……
珠樹
………
先生
まだ間に合う
先生
良かったら考えてみてくれ
珠樹
分かりました
珠樹
…ありがとうございます
珠樹
(県外……か)
その日の夜
私はいつも通り時間を潰して、公園で先生から貰ったパンフレットの大学をスマホで調べていた
珠樹
ふーん…
珠樹
寮もついてる…
珠樹
ええな、ここ
何年もの片想いも叶うはずないし、特に夢なんてないし、それなら、大学に行ってバイトしながらやりたい事見つけた方がいいか…なんてスマホを見つめながら考えていると
佳奈
なーにしとるん?
珠樹
!…佳奈…
珠樹
……別に…
佳奈
…それ…
傍にあったパンフレットを取って表紙を読み始めた
佳奈
…県外…行くん?
珠樹
…まだ決めてない
珠樹
ちょっと読んどるだけ
佳奈
…へぇ…
佳奈
早いんやね
珠樹
まぁ、早めにーって言われたからな
珠樹
私は佳奈みたいに頭良くないしな
珠樹
…高校卒業したらお別れやな
佳奈
は?なんでそんなこと言うん!
珠樹
…あんたと私じゃ住んでる世界がちゃうねん
珠樹
…優等生は帰る時間やで
佳奈
む……
佳奈
珠樹のアホ!
珠樹
な…っ
珠樹
急に大声出すなや…
胸元をグッと掴まれて佳奈は涙目で拗ねた顔で怒っていた
佳奈
ずっと一緒って言っとったやん!
珠樹
……
珠樹
…先に離れたんはどっちやねん
トンっと肩を押して立ち上がった
珠樹
はよ帰り
珠樹
もう私の事は放っておいてや
佳奈
!
佳奈
ちょっと、珠樹!
スタスタと公園を後にした
珠樹
…………
珠樹
アイツこんな時間になんで外におったんや…?
数十分前
佳奈
…電気ついてない…
カーテンの隙間から隣の家の珠樹の部屋を覗いて電気がまだついてないのを確認する
佳奈
……どこ行ったんだろ…
苦手な夜道を歩いて公園の前を通りがかると、彼女が座っていた
佳奈
!
佳奈
(珠樹……っ!)
気づいたら彼女を探してしまう これは昔からの癖
彼女が居ないとソワソワしてしまう
彼氏が隣に居る時も、、