学校の帰り道

おじさんが塀の穴をのぞいていた。

やんでオレやねん……。

……

……

おじさんは無反応だ。

相方に手招きされ、オレは元いたところへ引き返した。

❤❤ 👄

おっさんはものすごい形相でにらみつけた。

ぷｯ

ぷはははははは

おじさんの片方の目は まるで羽子板の罰ゲームのように黒丸がついている。

二人でおじさんを蹴り飛ばした。

壁に開いた穴は、のぞいてくれと言わんばかりに、丁度いい高さにあった。

二人してごくりと生つば を飲んだ。

オレはついカッコつけてしまった。

相方がのぞく。

ぷっ

オレは恐る恐る穴をのぞいた。

見えたのは──

白い肌……

露出した女の足だ。

しかも真っ赤なペディキュアまで塗ってある。

足がトントンと規則正しく足踏みをしている。

洗濯もんでもしてんのか?

スカートをめくり

すべるような肌が露出している。

顔は

穴の加減で見えない。

ｷﾞ ｨ 　ｲ

二人は顔を見合わせた。

塀の木戸がわずかばかりに開いたのだ。

相方があごでしゃくる

二人して木戸をそろりとのぞく

……

くくった黒髪からうなじが見える。

スカートを太ももまでたくしあげた女がうどんを踏みつけていた。

もう少しよく見ようと木戸を開ける。

木戸が大きく開き

オレたちは内側にすっころんだ！

ギャーと誰が発したかわからぬ悲鳴。

スカートの中が一瞬見える。

白い足は半分だけだ。

あれ…うどん粉かぁ…???

あとの半分は

たぷたぷのしわがれた太もも???

振り返った女の顔がこれまた しわしわだ！

ハゲ散らかしたうどん屋の店主が木戸の前に立っていた。

うどん包丁を振りかざして烈火のごとく怒っている。

殺される！

オレたちは転げるようにバタバタと逃げ帰った。

おばあさんはそう言いながら、

塀の穴にせっせと墨汁を塗ってましたとさ。