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#ファンタジー
橘靖竜
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しばらくすると、街中を離れ、閑散とした広い光景が辺りに広がり始める。
とは言え、視界が良いわけではないため、見渡せるほどではないのだが。
アナウンス
バスは減速し、バス停らしきところで停まる。
バスの運転手ともなれば、いちいちバス停の位置を覚えているのだろうか。
これだけ視界が悪くても、しっかり乗客の有無を確認して、停車するのだから。
バスが停まると、女の子が乗って来た。
見送りであろう、高齢の女性に向かって手を振ると、整理権を取って、リュウセイ達と通路を挟んで反対側の席に座る。
女の子は、バスが走り出すまで、窓の外に向かって手を振っていた。
ミホ
ミホ
自分のことを話していることに気づいたのであろう。
女の子が話しかけてきた。
女の子
女の子
ミホ
ミホ
女の子
リュウセイ
そんな会話もほどほどに、バスは走り続ける。
やや傾斜がつき始めたことを考えるに、そろそろ峠に差し掛かっているのだろう。
ゆっくりとバスは走り、そして外の雨は相変わらず激しい。
ミホ
ミホ
リュウセイ
ミホ
ミホ
ミホ
リュウセイ
ふと、先ほどの女の子が視界に入る。
大事そうに持っていた整理券が手元からバスの床へと、ふわりふわりと落ちていく。
女の子
リュウセイ
リュウセイが席を立ち、通路に落ちた整理券を拾い上げた時のことだった。
ガツン……という鈍い音と同時に、激しく車体が揺れた。
何が起きたのか分からないまま、とりあえず女の子を庇うようにして、覆い被さったリュウセイ。
タイヤが悲鳴を上げながら、バスは蛇行する。
しばらく蛇行運転を繰り返した後、バスは路肩へと寄って停車する。
アナウンス
アナウンス
運転手が運転席を離れ、慌ただしい様子で外に出て行く。
一体何が起きたのか。
リュウセイはもう分かっていた。
分かってはいたが、しかし受け入れられずにいた。
こんなことがあってたまるか。
あってはならない。
――さっきまで美穂が座っていたはずの席が潰れ、大きな岩らしきものが突き刺さっていた。