第2章
大学には 行かない
どうせ生きれないから
だから 入院生活を送ることにした
もちろん康二には 病気のこと言ってないから
どこにいるとか どこの大学とかも言ってない
康二はきっと有名な大学の医学部に入ったんだろうな
渡辺翔太
5年生きられないのかな
渡辺翔太
ま、どうでもいいや
渡辺翔太
いつ死んでも変わんないし
康二と一緒に医者に なりたかった
康二と一緒にいたかった
でももう叶わないから
だから俺から離れたんだ
康二今頃何してるのかな
同級生
なぁ向井
向井康二
ん?
同級生
後でさっきの講義のノート見してくんね?
同級生
俺寝ててさ
向井康二
あぁわかった
同級生
お前講義で寝たことないよな
向井康二
普通寝ないって笑
同級生
でも 時々すっごい真剣で難しそうな顔してぼーっとしてるよな
向井康二
え?してる?
同級生
気づいてなかったの
同級生
何考えてんのかわかんないけど
同級生
悲しそうな顔して考え事してるよときどき
向井康二
あ、そうなんや
自分じゃ気が付かなかった
講義中に考え事してるなんて
でもきっと "あの人"のことを考えてるんだろうな
今頃何してるんだろうか
ちゃんと ご飯食べてるのかな
健康に 過ごしてるんだろうか
ま、俺が 口出すようなことじゃないな
だって
高3の時
向井康二
それでも翔太は俺の大切な人でいてくれる?
渡辺翔太
え、?
渡辺翔太
それは違うんじゃないかな
向井康二
大学がちがうだけだよ?
渡辺翔太
だって他のクラスメイトとは普通に別れるんだろ?
渡辺翔太
それと一緒じゃない
向井康二
え、、
向井康二
そうだよね 俺が翔太の大切な人なわけないもんね
俺は翔太の大切な人じゃなかったんだから
一方通行だったんだ
最初から
たまたまずっといっしょの
普通の友達だったんだ
同級生
ほら今も
向井康二
え?あっ
同級生
悲しそうな顔すんなって
向井康二
別にしてないけど
同級生
してるって😂
看護師
渡辺さん検査の時間です
渡辺翔太
はい わかりました
看護師
良くなってるといいですね
渡辺翔太
あぁはい
良くなるわけない
わかってるんだよ
何年か後にはもういないし
同級生
てかさー俺らもう卒業間近じゃん
向井康二
そうだねぇ 早かったなぁ
同級生
向井はどこの病院の所属になったの?
向井康二
俺? 俺目の前にある大学病院
同級生
まっじ!?
同級生
あそこガチのエリートが行くとこじゃん
向井康二
え そうなの
同級生
知らねぇの!?
向井康二
うん
同級生
ま、研修で回ったとこだし迷子にはならないか
向井康二
俺の心配そこなの?
同級生
だって病院より狭い医学部でさえ迷子になってたんだから
向井康二
あぁ懐かしいわぁ
向井康二
ってあれはお前も迷子やったやん!
同級生
え?そうだっけ おっ先ー
向井康二
あ!
先輩の医者
じゃあここが、君が所属される呼吸器外科ね
向井康二
わかりました
先輩の医者
1度研修で来てるし場所は大丈夫だよな?
向井康二
頑張って覚えます
先輩の医者
たしか君 方向音痴の子だっけ
向井康二
それで覚えてたんですか?
先輩の医者
うそうそ そこの大学の医学部のエリートって聞いてるよ
向井康二
そこまでじゃないですけど
先輩の医者
期待してるよ
向井康二
ありがとうございます
聞き覚えのある声
大好きだったあの声
優しくて泣き虫のあの声
そんな声が 聞こえた気がする