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後編で一括りにしたかったけど長かった...
そこまで読み、私は日記を落として口を押さえた
まだ日記には続きがあったと思う
しかし、その先を知る勇気は私には無かった
村尾
えづく私に構わず、村尾は平坦な声でこんな話をした
村尾
村尾
村尾
私
私
村尾
村尾
村尾は飲み込んでいた言葉をそのまま口にした
村尾
村尾
村尾
村尾
村尾
村尾
村尾
そこまで言うと村尾はベッドを立ち、私に一瞥も向けず部屋の出入口へと歩いた
私は慌てて駆け寄り、村尾の手を掴んだ
私
村尾
村尾
と答えて扉のドアノブを回した
そして最後
村尾
村尾は首だけをこちらに回して言った
村尾の両目は左右の黒目が別々の方向を向いていた
喉の奥から短い悲鳴が漏れ、腕を掴む手が緩んだ
村尾は束縛から抜け出すと、聞き取れない独り言を息継ぎもなしに言いながら、 ふらふらと廊下に出ていった
私は千鳥足の村尾を呆然と見送った
けどこのまま行かせる訳にはいかない
固まる身体を奮い立たせ、私は彼の後を追って廊下へ出た
出ると廊下の上下左右、全方位から子供の笑い声が響いていた
その中を村尾は、首をぐらぐらさせ、奇声を漏らしながら、時折両方の壁にぶつかりながら進んでいる
向かう先には突き当たりの部屋があった
風もないのに、ぱたぱたと扉が動いている
まるで手招きをしてるみたいに
そして開いた扉の部屋は、村尾と私のいる方へと迫ってきた
音もなく ゆっくりと"突き当たりの部屋が近づいてきた"のだ
ここまで来たらもう他人を案じている余裕は無かった
部屋に飲み込まれようとしている村尾を助けようとすれば、きっと私も助からない
もう学園を出てたすけを求めるしかないと思った
私は出たばかりの部屋に戻り、バッグで思い切り窓ガラスを叩き割った
そして窓から中庭に降り、校舎を回ってグラウンドへ出た
そのままグラウンドを突っ切り、校門を走り抜ける
わき目も降らずトンネルへと向かった
門さえ出てしまえばトンネルまでの距離はさほどない
そしてトンネルの外なら電波がつながる すぐに助けが呼べる
私は細い林道を一心不乱に走り、ついにトンネルの手前まで来た
全長五十メートル程の短いトンネル
駆け抜けてしまえば十秒もかからない
そして幸いなことに、トンネルの向こうには動く人の影が微かに見えた
帰りの遅い私達を案じて、村人が捜しに来てくれたのかもしれない
助かった、と思った
そう思ってトンネルの中を走った