唯夏
お母さん
唯夏
ただいま
蘭華
おかえり、唯夏。
蘭華
瀧…今日も元気だった?
唯夏
うん
唯夏
お兄ちゃん…すごく元気だったよ
唯夏
お兄ちゃん、塁斗って言う子と仲がいいんだけど
唯夏
その子とすごく楽しそうに笑ってた
蘭華
そう…よかったわ
蘭華
私がやったこと、少しは意味があったかしら…。
唯夏
わからない
唯夏
だけど…刺激にはなったはずだよ
蘭華
ふふ。ありがとう。
唯夏
そういえばお母さん。た…じゃなくて、お兄ちゃんにさ
唯夏
・・
私が病気で記憶を全部忘れちゃうって言ったよ
私が病気で記憶を全部忘れちゃうって言ったよ
蘭華
そう…
唯夏
お母さん、心配しないで。
唯夏
私…お母さんと同じようにしようと思うの。
蘭華
同じように…?
唯夏
…お兄ちゃんね
唯夏
塁斗くんといる時以外寂しそうな顔をして、笑ってくれないの
唯夏
だから
唯夏
さらにさらに私が心を開かせる
唯夏
記憶を、『全て』忘れたフリをして。
蘭華
…唯夏。
蘭華
あなたはそんなことしなくていいって言ってるでしょ?
唯夏
やりたいの
唯夏
やらせて、お母さん。
唯夏
た…じゃなくてじゃなくて、お兄ちゃんのためにやりたい
蘭華
…唯夏
蘭華
瀧は…あなたからは忘れたフリをされたくないと思うわよ。
唯夏
お兄ちゃんはすごく家族思いだよね
唯夏
だけどさ
唯夏
私がやらなきゃ、ほかに誰がやるの?
唯夏
全てやり終えたら
唯夏
私は瀧に手紙を書く。
唯夏
お母さんのことも、私のことも、瀧の過去についても伝える
蘭華
唯夏!
蘭華
やめなさい
蘭華
あの子に過去を思い出させるつもりなの⁈
蘭華
どうして?どうしてそんなことをしたがるの
蘭華
何度言えば分かってくれるの⁈
唯夏
お母さんはなにも分かってない!
唯夏
私の気持ちも…分かってよ
唯夏
瀧…きっと思い出したいはずだよ!
唯夏
モヤモヤした気持ちのまま生活してるの、私はみてられない‼︎
唯夏
お母さんだって…瀧には笑っててほしい
でしょ?
でしょ?
蘭華
えぇそうよ。
蘭華
だからこそ過去を思い出させたらダメなのよ
蘭華
唯夏こそ瀧の気持ちを全然考えてないじゃない!
唯夏
私は考えてるわよ!
唯夏
お母さんなんかよりもずっと!
だって…
お母さんには言えないけど…
瀧のこと好きだから
いつもそばにいるから
誰よりも…誰よりも瀧のことが大好きだから
家族としてじゃなくて、恋人として。
唯夏
今の瀧を1番知ってるのは…私だもん
私の目から
涙がこぼれた
瀧
今日の唯夏のあの表情、何だったんだ…?
俺は唯夏の今にも泣き出しそうな表情が頭から離れなかった
いじわるをしたわけでもないし、何か気に触ることを言ったわけでもない
…はず。
だけどあの顔は…
悠河
瀧
悠河
また悩みがあんのか?
瀧
…何でいつも父さんはわかるんだよ
悠河
そりゃあ、瀧とずっと一緒に過ごしてるからなぁ
悠河
瀧が悩んでる顔なんて、すぐにわかるさ
悠河
それに…
悠河
(今まで、嫌ってほど見てきてるからな…)
瀧
それに、なんだよ?
悠河
いやっ…まぁとにかく、父さんに聞かせなさい
瀧
はぁ…
瀧
実はな?
瀧
今日、学校でなにもしてないのに突然唯夏が泣きそうな顔をしてたんだ
瀧
それで…俺何かしたかなって、思い返そうとしてた
悠河
そうか
悠河
…唯夏ちゃん家にもいろいろ事情があるんだろうな
悠河
だけど瀧!
悠河
そんなに心配しなくても大丈夫だ
悠河
ほら、病気のことが怖いのかもしれないぞ?
悠河
急に辛くなる時があるとか聞くしな。
瀧
それならいいんだけど…
何か、不吉な予感がする
唯夏…
隠し事、してないだろうな?
瀧
(…やっぱり唯夏に直接聞くしかないか。)
瀧
なぁ唯夏
瀧
ちょっといいか?
瀧
話したいことがあって。
唯夏
いいよー。
唯夏
どうしたの⁇
瀧
あのさ…
瀧
単刀直入に聞くけど、
瀧
唯夏、俺に何か隠してないか?
唯夏
(…嘘⁈もしかして…ばれてる⁈)
唯夏
何も隠してないけど…
唯夏
だ、誰かから何か聞いたの⁈
瀧
(焦ってる…?)
瀧
いや、特には。
唯夏
じゃあ、何で…?
瀧
その…違ってたらごめん
瀧
あのさ…今日一回泣きそうな顔してたから
瀧
病気のことで何か怖いこととかあるのかなって思ってさ
瀧
ごめんな変なこと聞いて。
瀧
(絶対に何か隠してる)
瀧
(だけど何を?)
瀧
(どうして隠すんだ…?)






