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晶子の家

晶子

晴人くんからLIME来た…!

晶子

「今からスーパー出ます」か…

晶子

「本当にありがとう、気をつけてね」と、送信

晶子

晶子

早く、来ないかな………

晶子

こんな気持ち、久しぶりだな…

晶子

誰かを待つのって

晶子

晶子

すごくすごく、幸せね…!

一時間後

晶子

(流石に遅すぎる)

晶子

…もしかして、何かあったとか?

さらに30分後

晶子

メッセージ、既読にもならない・・・。

晶子

さすがに、おかしいわ

晴人

応答なし

応答なし

晶子

電話にも出ない…

晶子

試しに、もう一回電話してみよう

繰り返し彼に電話をかけても、 呼び出し音が聞こえるだけ。

晶子

どうしよう・・・

晶子

晴人くん……

今は、一緒に年越しなんてどうでも良かった。 ただ、彼が無事ならそれで良かった。

どうして、こんなことになったんだっけ?

晶子

(私が、めんつゆを買うよう晴人くんにお願いして、)

晶子

(彼が、スーパーからウチに来る途中に、撥ねられて…)

晶子

晶子

つまり

晶子

私のせいで、彼は重体になった……

晶子

晶子

私のせいだ…!

晴人くんのお母さんに、何と説明して良いのかわからない。

晶子

あっ、そっか。彼のお母さんは既に、亡くなられてるんだっけ…

晶子

医師

あの

晶子

・・・・・・

医師

お姉さん

晶子

・・・・・・

医師

お姉さん!

晶子

晶子

す、すみません……!

晶子

何でしょう

医師

あなたは、ご家族の方ではないですよね?

晶子

はい、彼の家族ではありません。

晶子

…でも、彼は、晴人くんはご両親いらっしゃらないです

医師

そうでしたか

医師

彼の状況を、お話しようと思うのですが

医師

よろしいですか?

晶子

はい

まだ、頭の中は混乱しているが、

きちんと、話を聞かなければならない。

晶子

(私のせいだけれど、)

晶子

(私は、以前の私じゃ、ない)

晶子

(変わったんだから、しっかりしなきゃ)

晶子

先生、お願いします。話を聞かせて下さい

医師

分かりました

医師

彼は、事故で頭を強く打ち付けています

晶子

……はい

医師

現在、頭蓋骨を開けて脳の炎症が収まるのを待っている状態です

晶子

そ、そんなにひどい状況なんですか……?!

医師

あとは、彼の自己治癒力に頼るしかないです

晶子

そんな…何か、私に、できることはないんですか?!

医師

現時点では、あなたにできることはありません。

医師

そして、

医師

万が一、命が助かっても

医師

後遺症が出ることは覚悟して下さい

晶子

…………

医師

こういう状態ですので、彼の親戚には話をしておくべきかと思います

晶子

(どうしよう)

医師

ソーシャルワーカーもいますが、あいにく今は年始。しばらく休みを取っていますから…

晶子

(全然、先生の話が頭に入らないよ……!)

医師

役所に相談されることも、念頭に置くといいかと思います

晶子

…説明ありがとうございます。正直、今はショックが強くて、先生のお話も十分に理解できていないと思います

晶子

また後で、説明を聞いてもいいですか?

医師

もちろんです。私がいるときなら、いつでも説明します

晶子

ありがとうございます、先生

医師

私は、他の急患のところへ一度向かいます

晶子

分かりました

医師

あなたも、今日は帰って睡眠をとったほうがいいでしょう

晶子

(とても眠れる気分ではないけれど…)

晶子

……はい

返事をするだけで精一杯だ。私は。

やっぱり、私はまだまだ弱い。

晶子

(私は、彼のようには…強くは、なれないな)

それから、ほとんど病院にお見舞いに行っていた。

眠ろうとしても、長くは眠れないし、

テレビをつけたら「あけましておめでとう」なんて言ってばっかりだから。

一体、何が「おめでとう」なのか。

晶子

(ふらふらする…寝不足だからかな)

晶子

(でも、よく眠れないし……)

医師

おや?あなたは確か……

晶子

あ、救命外来の先生

晶子

こんにちは

医師

君、ずいぶん顔色悪いね。眠れてないのかい?

晶子

……はい。でも、弱音言っていられませんから。

晶子

私のせいで、彼はあんな状態になってしまった

医師

医師

あの事故は、あなたのせいじゃないよ

医師

飲酒運転した、あのドライバーのせいだ

晶子

違います!

晶子

私が、彼におつかいを頼んだんです。

晶子

そんなことしなかったら、事故には巻き込まれなかったから…

晶子

医師

(まずいな…)

医師

あなた、晶子さん、だっけ

晶子

はい?

医師

私の知り合いに、心療内科の名医がいるんだ

医師

ここの病院ではないんだけれど、穏やかで日だまりみたいな性格で…

医師

いろいろ、相談できると思うよ。

晶子

私は病気になんか、なってないですし今後も、ならないです。

晶子

今私が病んだら、彼を見る人がいなくなるので…

医師

あのね、晶子さん。

晶子

はい…?

医師

つらい時には、つらいって言わないと

晶子

医師

眠れないだけでも受診対象なんですよ。僕は別に、あなたが病気だと決めつけているわけじゃない。君を責めているわけでもない。

医師

…あの彼のために、君は心も体も快適でいたほうがいいんじゃないかな?

医師

きっと、長期戦になるから

晶子

……良くなりますか?彼は

医師

まだ、現状だと分からない。でも

晶子

でも?

医師

あなたが奇跡を信じないで、どうするの?

晶子

…そっか

晶子

そうですね、私が彼を信じなくちゃ

医師

そのためには、まず眠れるようにならないとね

医師

やることはたくさんあるはずだよ。大変かもしれないけど、僕らもできる限りのことはやるし、協力するから

そうだ 落ち込んでいても仕方ない

まだ彼は生きている

私が 彼を信じたい。

時間はかかっても、いつか良くなるって そう思いたい。

晶子

先生ありがとうございます

晶子

私、もう少し頑張ります

医師

頑張るのはおススメしないけれど、前向きになってくれたのなら良かった

医師

一応、心療内科の連絡先しまっておいてね

晶子

はい

晶子の家

晶子

ミナトさん、ただいま

当たり前だけれど、誰もいない部屋。

晶子

…ミナトさん、お願い

晶子

私は、どうなっても構わないから

晶子

晶子

どうか、彼だけは助けてあげて…!

晶子

私が巻き込んだのが悪いから

晶子

だから、お願いっ

私は何回、彼に手を合わせたのだろうか

晶子

ミナトさん、ごめんね

晶子

私、まだダメだ

晶子

前向きになろうと自分なりに頑張ったけど

晶子

なかなか上手くいかないよ…。

晶子

私、これからどうしたらいいかな

あのお医者さんに励まされた瞬間は、頑張ろうと思える。

晶子

でも、もう気力がない………

晶子

そっか、心療内科に連絡して、これからどうしたらいいのか相談したらいいんだ。

晶子

すっかりその話を忘れてた

寝不足って、怖い。

頭が回らないだけではなく、マイナス思考になるから。

晶子

明日朝イチで連絡して、受診して………

晶子

お見舞いは、午後から行けばいいか

この時の私は知らなかった

これから、 晴人くんを信じて良かったと思えること、 自分を信じて良かった、と思えることをー。

つ づ く

レモンクリームパスタ

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