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伊織
伊織
伊織は「春秋堂」と書かれた、何かが入っているであろう小さめの紙袋を片手で抱えていた。
伊織
その紙袋の中には、和菓子が入っていた。
伊織は春秋堂の常連であり、よく神社を抜け出しては和菓子を買いに行っている。
だからかそこの看板娘とはもう顔見知りだ。
そこの和菓子屋は、店主の「橘 村雨」、そこの看板娘の「橘 あかね」と「橘 佐保」、2人の母親で、店主の妻の「橘 小梅」が営んでいる。
ここの和菓子屋はとても絶品であるが、あまり、知られていない。
何故ならそこの店主「村雨」が、宣伝嫌いであるからだ。
理由はよくわからない。
伊織は先程澪の目を盗んで和菓子を買いに行っていたのだった。
伊織
そう言い、伊織は本堂周辺の建物の裏に行った。
伊織
伊織は高を括り、和菓子の入った袋を開けた。
伊織
伊織
伊織はふたつの和菓子を取り出した。
それは羊羹で、味は抹茶で、栗が入った羊羹だった。
伊織
伊織はそう呟いた。
すると、後ろに何らかの気配を感じた。
伊織
伊織は後ろを振り向き、そう言った。
すると
幽霊
そこには、リボンを付けた幽霊がいた。
伊織
幽霊は基本何も言わない。
けれど、同じ幽霊同士や妖怪や神、妖神には何を伝えたいのかがだいたい伝わるのだ。
幽霊
幽霊は何か物欲しそうな目をしている。
伊織
伊織
幽霊
伊織
伊織
そう言い、伊織は羊羹のひとつを、幽霊に手渡した。
幽霊は包み紙を丁寧に剥がし、口に持っていった。
幽霊
伊織
伊織はそう微笑み、自分も、羊羹を口に入れた。