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現場へと向かってサイレンを撒き散らすパトカーの車内。
ハンドルを握る中年の男と、助手席には老年の男。
無線からは現場の状況が垂れ流されているが、いまいち要領を得ない。
無線
無線
ヒグラシ
彼ことヒグラシユキトは一言だけ返すと、さらにアクセルを踏み込んだ。
無線
ヒグラシ
セイノ
セイノ
助手席の男にたずねると、実に面倒くさそうに顔をヒグラシの方へと向けてくる。
ヒグラシ
セイノ
セイノ
彼がこの土地に赴任してきて、まだ半年ほどしか経っておらず、こうして分からない言葉が出てきたりする。
地方特有の方言ならまだしも、無線の隠語にさえ地域性が出るのは勘弁して欲しいものだ。
無線
無線
セイノ
セイノ
ヒグラシ
【3D事件】
夏休みの登校日という名目で、ある担任教師が自分のクラスの生徒を集めて監禁した事件である。
事件は辛うじて解決を迎えたが、多くの若い命が失われてしまったことで、当時はマスコミを中心に大騒ぎされた事件だった。
犯人の動機などが世の中に明らかになるにつれ、ある社会問題に対しての議論が巻き起こったほど、影響力の強い事件だった。
事件が発生した教室が3年D組だったことに加えて、夏休み中の事件だったということをかけて【3D(サンデー)事件】と呼ばれるようになった。
セイノ
ヒグラシ
セイノ
ヒグラシ
ヒグラシ
現場が徐々に近づいてくる。
まだ現状が把握できていないため、指示があるまでは校内へは入れないだろう。
今頃、捜査本部が慌てて立ち上げられているだろうが、ヒグラシ達はあくまでも様子見という意味で現場に向かっている。
セイノ
セイノ
ヒグラシ
セイノ
セイノ
ヒグラシ
ヒグラシ
セイノ
ヒグラシ
ヒグラシ
セイノ
ヒグラシ
ヒグラシはそう返すと、ついにはアクセルをベタ踏みにした。
令和7年7月1日 午前10時30分――。
すでに校舎はパトカーに囲まれ、多くの捜査員が待機をしていた。
セイノ
ヒグラシ
パトカーを降りると、見慣れた女性が駆け寄ってきた。
ニッタ
ヒグラシ
セイノ
セイノ
ニッタ
セイノ
ヒグラシ
ヒグラシが彼女ことニッタアユミに問うと、彼女は首を傾げながらも口を開く。
ニッタ
ヒグラシ
セイノ
セイノ
セイノ
ニッタ
ヒグラシ
セイノ
ヒグラシ
セイノ
ニッタ
ニッタ
ちらりとニッタが視線をやった先には、カメラを持ったテレビクルーらしき姿が見受けられる。
本当ならば規制線を張って、マスコミの介入を防ぐべきなのであろうが、こちらも特に指示がないまま集められた形であるため、どうすべきか判断に迷う。
と、その時のことだった。
気持ち良いほど澄み渡る青空にスピーカーのハウリングのようなものが轟いた。
校内放送
その声は加工をされた合成音声だった。
ヒグラシ
校内放送
セイノ
ヒグラシ
校内放送
ニッタ
校内放送
校内放送
校内放送