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同時刻――上野原高校教員室
ホソヤ
校内放送を聞いた体育教師のホソヤ先生が、教員室から飛び出そうとする。
体格と名前がこれほどに相反している人も珍しい。
イガラシ
イガラシセイヤはホソヤの腕を引っ張って引き止めようとするが、しかしホソヤはそれを振り払う。
ホソヤ
ホソヤ
キョウトウ
イガラシ
ふと、ブラインドから外を覗いた女性が、顔を真っ青にしながら口を開く。
フワ
新人教師のフワだった。名は体を表すとはよく言ったもので、まだ学生気分が抜けていないのか、どこかフワフワとした印象のある教師だった。イガラシから見れば、属性的にはまだ生徒達のほうが近い。
オオタ
自身のスマートフォンを手にしながら呟く女性はオオタ。彼女は養護教諭――保健室の先生というやつだ。ホソヤと名前が逆だったらいいのにと、イガラシは普段から思っているが、そんなことは絶対に本人達には言えない。
キョウトウ
テレビ
見慣れた景色がテレビに映る。生放送だろう。
テレビ
テレビ
テレビ
ホソヤ
ホソヤ
ホソヤ
ホソヤ
ホソヤ
ホソヤは憤慨した様子で教員室を出て行ってしまった。
止めようとは思ったが、その剣幕にイガラシは圧倒されてしまった。
オオタ
イガラシ
キョウトウ
イガラシ
イガラシ
キョウトウ
現在、校長が不在なため、有事の判断は教頭の責任になる。だから、焦った勢いでイガラシに八つ当たりしているのだろう。
イガラシは小さく溜め息を漏らすと、教頭を含め、教員室にいる人間を安心させるために、あのことを話すことにした。
イガラシ
イシカワ
状況を黙って見守っていた、同期のイシカワが口を開いた。
彼とは波長が合い、プライベートでも飲みに行ったりする仲だ。
そんなイシカワにさえ話していない過去が、イガラシにはあった。
イガラシ
キョウトウ
イガラシ
イガラシ
イガラシ
教員室が息を飲んだかのように静まり返った瞬間。それを狙ったかのように放送が響いた。
校内放送
校内放送
校内放送
校内放送
イガラシ
フワ
テレビ
テレビの中でキャスターが指示を出し、屋上にカメラが寄る。
そこには、軍服のよう格好でガスマスクを被り、手には銃器らしきものを構えた人影がふたつ映る。その人影が構える銃口の先には――。
イガラシ
校長の姿があった。
校内放送
校内放送
テレビには不安げな表情を浮かべる校長の顔が、ドアップで映し出されていた。