君は今何を想っているのだろう
あの時、大好きな君に告白された日
あの日のことを何度も思い出す
奏汰
私は、君が好き
奏汰
ずっと前から好きだったの
想汰
あ、えっ?
想汰
えっと、僕も奏汰さんのこと...
奏汰
でもね
奏汰
私もう長くないの
想汰
えっ?
奏汰
私ね、血液の病気なの
想汰
えっ...?
奏汰
そうは見えないでしょ?
奏汰
でも、本当なの
想汰
治療は出来ないの...?
奏汰
完治は難しいって
想汰
...っ!
奏汰
だから、気持ちだけ伝えたかったの
想汰
そんな...
奏汰
ごめんね...
想汰
...
あの時僕は彼女に何も言えなかった
励ましの言葉も
心配の言葉も
何一つとして出てこなかった
あの時彼女は何を思って
僕に病気のことを告げたのだろう
いくら考えても出てこない
ただ
ただ
僕は彼女に伝えられなかった
「好き」という二文字の言葉を
たった二文字の簡単な言葉を
想汰
ねぇ、君は今何を想っているの?
想汰
なんで病気のことを僕に教えたの?
僕は初めて神様を恨んだ
出来ることならまた君に会いたかった
君が死ぬ前にもう一度
もう一度会いたかった
ずっと遠くから見てた
君の笑顔をもっと近くで見たかった
想汰
僕も、君のことが好きだよ
夕焼けの綺麗な日の教室で
一人の少年がそう呟いた
その目から透明な水滴がこぼれ落ちた