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そら💫
インク
インク
そら💫
――まぶしい白。 また、同じ天井。
ゆい
額を押さえ、ゆいはかすれた息を吐いた。 ここがどこか、説明できる。 何が起こるかも、わかっている。 それでも――止められない。
ゆい
夜風が、屋上を撫でる。 何度も立った場所。 何度も告白を突きつけられた場所。 視線の圧に、ゆいの喉が鳴った。
――その中で。 ひときわ軽やかな気配があった。 インクサンズが、にこにこと笑っている。 片手には筆。 もう片方には、小さなインク瓶。
インク
ゆいは言葉に詰まった。 彼の笑顔は明るい。 でも、その瞳の奥は――どこまでも空白だった。
ゆい
周囲の視線が、突き刺さる。 逃げ場はない。
ゆい
一瞬。 インクの瞳が、子どものように輝いた。
インク
彼が筆を振る。 その瞬間、夜空が滲んだ。 赤、青、黄。 色が爆ぜ、風景を侵食していく。
フェルの怒声が、 ナイトメアの囁きが、 …みんなの叫びが―― すべて、色になって溶けた。
ゆい
インク
その声は、どこまでも無邪気だった。
インクは、ゆいの頬に触れる。 涙をすくい取り、筆先に混ぜた。
群青が、空間に広がる。
インク
ゆい
声が、震える。 でも、インクは首を傾げるだけ。
インク
気づけば、世界は真っ白だった。 床も、空も、時間さえもない。 ただ、 キャンバスと、 インクと、 ゆいだけ。
インク
筆が走る。 頬が桃色に染まり、 胸に群青が滲み、 足元に深い緑が広がる。 呼吸が、色になる。 声が、線になる。
ゆい
最後の言葉が、形を失う。 インクは、優しく微笑んだ。
インク
BAD END⑤ ― 絵の具に溶けて
インクを選んだゆいは、彼のキャンバスに閉じ込められた。 涙も声も感情も、すべてが“色”として保存される。 それは美しい世界。 だが、ゆいは二度と“人間”として戻ることはない。 彼女は永遠に、インクの作品になった。
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