俊樹
なーんで俺らはくじ運悪いかね
秀明
それなほんと
秀明(ひであき)たち3人は暗がりの道で愚痴を言っていた。
秀明
そもそも俊樹(としき)が
秀明
「俺が3人分クジひいてやるよ! 」
秀明
って調子乗ったのが悪いんだろ
泰二(たいじ)は持っていたペットボトルのお茶を飲みつつ
話に加わった。
泰二
肝試しを男3人でやっても
泰二
何も楽しくねえよ
俊樹
だからごめんって
秀明
はーあ
秀明
どうする?
泰二
たしかこの先にある寺にある札だっけ?
泰二
それとれば終わりだし
泰二
さっさと…
俊樹
いやちょっと待て!
秀明
なんだよ急に
俊樹
これで帰るのも楽しくねえしさ
俊樹
後から来る奴ら脅かそうぜ
秀明
確かにいいかもな
泰二
どうせなら楽しくやるか
俊樹
よっしゃ決まり!
秀明
…でそれはいいけど
秀明
どうやって脅かすんだよ
俊樹
えーと…
泰二
出たよ…
泰二
考えなしに言いやがった
秀明
これだから俊樹は…
泰二
ほんと俊樹だよな…
俊樹
やめろぉ!
俊樹
バカを見るような目で俺を見るな!
秀明
そうなると目を閉じないといけない
俊樹
遠回しにバカって言うな
泰二
おいバカ
俊樹
だからやめろって!
秀明
はーあ…俊樹が頭良かったらな
秀明
もしかしたら女子と一緒に
秀明
肝試しで手ぐらいつなげたかも
泰二
…想像するのは自由だけどな
俊樹
現実って厳しいんだぞ?
秀明
ひどくね!?
いつものようにバカ話をしていると
泰二が左手の小指をさすった。
秀明
どした?
泰二
ああさっき飯カレー作った時にさ
泰二
切っただろ?
泰二
そこがかゆいんだよ
秀明
今暑いし蒸れるよな
泰二
触ってたら絆創膏落ちたしさ
俊樹
大丈夫か?
泰二
血は止まってるし
泰二
別に痛くもないから大丈夫だ
秀明
それでどうする?
秀明
どうやって脅かすんだ?
俊樹
とりあえずどこかに隠れるのがいいかな
俊樹
それで後ろからワーッって
泰二
それぐらいしかないかな
秀明
そうだな
俊樹
とりあえず肝試しで
俊樹
浮かれてる奴らを脅かそう
俊樹
男同士で組まされた
俊樹
悲しい俺たちの思いを
俊樹
奴らで発散させてやる!
泰二は「ヤレヤレ」といった感じで
拳をあげて秀明もそれにならう。