鏡に入った途端、砂の匂いを運ぶ風が少しずつ強くなり、気温も上がり始める。
リオル
……砂漠か。暑いのはあまり得意じゃねえんだが。
ティッカー
ピピッ!
リオル
……ここがスカラビアか。オクタヴィネルとはまるで雰囲気が違うな。
スカラビア寮の中央広場では、賑やかな笑い声が響き渡っている。広場の中心には、陽気な声で仲間たちと水を分け合っている明るい男の姿があった。
陽気な男
ははは!お前ら、ちゃんと水分取ってるか?砂漠は油断するとすぐにやられるからな!
リオル
……あいつが寮長か?随分と陽気なやつだな。
男がリオルに気づくと、笑顔を浮かべて手を振りながら駆け寄ってくる。
カリム
おおっ!お客さんか?スカラビアへようこそ!オレはカリム・アルアジーム、この寮の寮長だ!何か困ってるならオレに言ってくれ!なんでも手伝うぜ!
リオル
……ああ、助かる。俺はリオルだ。熱砂の国について話を聞きに来た。
カリム
そうか、熱砂の国の事ならオレたちに任せろ!
なあ、ジャミル!
少し離れた場所で雑務をこなしていたジャミルが呼ばれ、近づいてくる。
その目はリオルを冷静に観察し、少し警戒している様子だ。
ジャミル
カリム、いきなり呼ぶなよ……。それで、この人は誰なんだ?
カリム
コイツはリオルっていうんだ!熱砂の国の話を聞きたいんだってさ!
ジャミル
熱砂の国ね……それを聞きに来た理由を聞いてもいいか?
リオル
深い理由を話してる暇はねえ。俺には俺の目的がある。それだけだ。
ジャミル
目的を話さないのに協力しろって?
リオル
別にお前たちに迷惑をかけるつもりもない。
カリム
おいおい!2人とも難しい顔はやめようぜ!その話ならオレたちスカラビアに任せてくれ!
ジャミル
……お前、また勢いで話を進めてないか?準備も何もなしに案内なんてできるわけないだろ。
カリム
いいじゃないか!お客さんが来たんだから、ちゃんともてなさないとな!早速寮に入ろうぜ!
リオルが古代航路の地図を取り出し、広げる。地図は古い文字や模様が刻まれており、独特なデザインが目を引く。
リオル
この地図についてだ。どうやら古い航路を示しているんだが、俺にはこの記号や文字が解読できない。
カリム
おお!面白いな、これ!
……ん、この模様、どっかで見たことあるような……
リオル
本当か?どこで見た?
カリム
オレの家の宝物庫にたしか、似たような模様が入った古い地図みたいのがあったような……
リオル
……そこにこの地図の手がかりがあるのか?
古代航路の地図に刻まれた謎。スカラビア寮での出会いと手がかりが、リオルを新たな冒険へと誘う。