善悪が混濁する裏社会で生きる関西極道

自分は孤児院で生活しとった 生まれつき肺に穴が空いとって 再発の可能性が高いから 実の親に捨てられたんやって

ひとりで静かに本を読んどったから 他の子供らから避けられ 周りからは【変な子】そう呼ばれとった けど…1人だけ絡んでくる奴が居った

天王寺組が世話になっとる闇医者 刺刀要やった

左:蛍原凪咲、右:刺刀要

自分がどんなに無視しても 要はずっと絡んできた

色んな質問をしてきて正直 鬱陶しいと思っとった

常に無表情だった自分と 対比するように常に笑っている要 素朴な疑問だった

自分には理解出来ないこと" 幼いながら考えついた結果やった だけど少し要に興味が湧いて 少しづつ関わるようになった

きっと単なる偶然や 要と出会ったんも持病持ちなんも …この時までそう思えた

いつの間にか自分と要は 常に一緒に居るようになって お互い、信頼出来る関係になってった

けど…そんな普通"の日々も 長くは続かなかった

要は自分自身の好奇心から 1人の子供から“光を奪った”

唯一"要と分かり合えたこと 破損した人間の一部分、 きっと普通"なら綺麗なんて思わない

きっと孤児院側が自分たちを 制御することは出来ない そう判断したんやと思う

ものの数日で里親に出された

自分を引き取った人は常に笑顔で 優しい声をした男の人だった

なぜかは分からないけど この人は信頼出来る、直感した

今まで見た嘘をつく人間と違う 自分のことを子供として見ない人

百鬼さんが作る料理には 肉や魚が一切なかった まぁ、別にどうでも良かったけど

この人は…父さんは 人を否定することは一切なかった だから自分のことを理解してくれとる そう思い込んで心を開いた

“三つ編みは魔除けになる” それが父さんの口癖やった

けれど数年後、 自分が15歳になった日父さんは ひとつの置き手紙を遺して 突然、失踪"した

手紙には 15歳になったのを祝うと共に 天王寺組に入れという文 そして…“いつか迎えに行く” そう直筆で書いてあった

いま思えば異常なほど 父さんに執着しとったと思う 唯一、自分の本心を見てくれたから

そこからの行動は早かったと思う 組に入って死なないように 自分で自分自身を守り続けた

ただ死なないように 自己防衛を繰り返していただけ それが評価されいつの間にか 組長直属部隊まで上り詰めた

やけどそれを良う思わん奴は いくらでも居る

嫌がらせを受けることもあった けど自分は別になんとも思わんかった きっとそれが気にくわなかったんやろな

そう言われた

1人で生きとるだけで“異常者” 普通に生きとっても“異常者” どう生きても“異常者”

お望み通り異常者になろう" そう思うたら体が無意識に動いた

調べた結果…間欠性爆発性障害以外に カフェイン過敏症・光過敏性発作 てんかん・色覚異常.T型

単なる偶然"

それで済ませれるわけが無い 偶然やなくて必然や 自分は異常者"なんやから

いつ症状を起こすかわからない これだけの病を抱えとる以上、 組に残るんは難しい、そう思っとった

身勝手やってわかっとる けど…自分は親父の優しさに甘えた ここで組を辞めても後悔しかしない そう思ったから…

父さんが迎えに来るからちゃう 天王寺組と…親父たちと 離れるのが嫌やった

苦しくても、異常者と言われても 天王寺組に居場所がある限り 自分は…幸せ者"やと思うわ