秘密

スマホを見ようと届く範囲に手を伸ばす

何か色々と違和感がある

寝る時は絶対何かを着るのに

私が服を着ていないなんておかしい

それに、やけにベッドの左側にいる

どうやらすぐ隣に、何かあるのだ

いや、、この場合は「いる」という方が合っているのか…？

布団も自分がいない位置なのに膨らんでいて

何か、人がいる、みたいな…

朝は何故か恐怖心が消える

まあただ単に眠気が恐怖心などを上回っているだけだろうけど

そして私は、ちょっと布団を開く

そこには、

私と同様に裸の、友達がいた

全く声が出ない

なぜどっちも裸なの？

コイツにはちゃんと彼女がいる

え、 う、う、浮気？

かんぱーい！

と、3人の声が響く

私達は入社順はバラバラだけど本当に仲がいい

全員それぞれ個性があって、本当にいい友達を持ったと思う

この中で1番ビール大好きな人の声が耳に届く

未来が1番先輩で、その3ヶ月後に私が入ってきた

沙彩はその1年後に入ってきて、私と未来はまだ近いが、一応全員入社時期は違う

でもある取引で私と沙彩でタッグを組み、その事業を大成功で収めた

そこから私達も距離が縮まり、お互いが「戦友」と呼び合うようになった

まあいわゆる相方だ

そこから元から仲がよかった未来も入れて3人で遊ぶようになってから

この3人が定着した

今ではこの3人が1番心地いい

あてるーとは 松嘉輝という沙彩と同期の子で

ローマ字にした時の 「MATSUKATERU」 の最後の5文字から取って呼ばれている

性格も良く、元気で、なおかつ顔も良いから社内でもとても人気だ

そんな人には彼女がいて

それが、沙彩だ

未来は酔う前に帰って、私と沙彩だけになって…

そうだ、ここまで記憶はある

沙彩も酔いが回り始めたっぽい頃で

それと同時に沙彩のガードが弱くなった頃だ

そこでキスして、また呑んで……

ベッドに移動してからまた呑んで…

目を開いた沙彩と目が合う

バサァッとすごい勢いで沙彩は上半身を起こした

涙目の沙彩

日本語が浮かばない

頭が真っ白で本当に何もかも浮かばない

ただ申し訳ない、そういう考えだけが私の脊髄にあった

ここから始まったのだ。

私達の絶対に人には言えない

「秘密」が。