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館の奥から響いた振動は、 ゆっくりと—— 確実に、近づいていた。
……ドン。
……ドン。
床が、微かに揺れる。
さとみ
ジェル
ころんは、 息を整えようとした。
でも、 胸の奥がざわついて、 うまく吸えない。
さっきまで下がり続けていた 一致率は——
表示されていない。
代わりに、 端末の画面には
【存在ログ:再構築中】
見慣れない文字。
ころん
ぷちひなは、 床に転がったまま。
けれど。
その黒い目だけが、 まだ“生きて”いた。
ぷちひな
二人分の声が、 わずかにノイズ混じりで重なる。
ぷちひな
ころん
でも、 目は逸らさない。
ころん
ころん
一瞬。
ぬいぐるみの目が、 細く歪んだ。
——笑った。
ぷちひな
さとみ
ジェル
その時。
端末が、 一斉に強く震えた。
【緊急アナウンス】
【ゲーム構造に重大な歪みを検知】
【フェーズを強制変更します】
空気が、 凍りつく。
さとみ
次の瞬間。
館中の照明が、 一斉に落ちた。
——真っ暗。
誰かの息。
誰かの足音。
そして。
ころんのすぐ後ろで——
「……近い」
低い、 知らない声。
ころん
振り向いた瞬間。
照明が、 バチッと戻る。
そこには——
誰もいない。
ジェル
さとみの顔色が、 明らかに変わっている。
さとみ
ぷちひな
その声は、 さっきまでより はっきりしていた。
ぷちひな
ぷちひな
ぬいぐるみの口が、 ゆっくり裂ける。
ぷちひな
その瞬間。
ころんの端末に、 新しい表示が叩き出された。
【新フェーズ解放】
【不安定存在:ころん】
【生存条件:未達成】
ころんの喉が、 ひくりと鳴る。
ころん
さとみ
ジェル
画面が、 さらに書き換わる。
【条件提示まで:残り60秒】
館の奥から、 さっきより近い振動。
……ドン。
……ドン。
ぷちひな
黒い瞳が、 ゆっくり細まる。
ぷちひな
一泊。
ぷちひな
ころんの背中に、 冷たい汗が伝った。
“人狼”でも、 “人間”でもないまま。
このゲームに、 切り捨てられる。
そんな予感が、 はっきり形になっていた。
残り時間は——
【59】
静かに、 カウントが始まった。