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お参りを済ませて出店を一通り 見て周るころには7時を過ぎていた。

花火が上がるのは8時からだっけ?

紗良

そうだよ!

紗良

今年は特に花火の数を増やしてるって
おじいちゃん言ってた!

楽しみだな!笑
あんまり高校の近くでは花火上がらないから笑

紗良

たしかに高校の近くは住宅街が多いしね笑

(よし、花火を見終わったら必ず紗良に想いを伝える!)

紗良

…れん…蓮!
ちょっと大丈夫?

ん、あぁ、大丈夫だよ!

紗良

今日ぼぉっとしてるよ?ほんとに大丈夫?

紗良

(蓮の顔を心配そうに覗き込む)

(くはぁ、やめてくれ〜、可愛すぎる!)

大丈夫大丈夫!なんの話だっけ?

紗良

花火どこで見るって話だよー

紗良

どこがいいんだろうね

そうだな…紗良、おじいちゃんは花火どの辺からあげるって言ってた?

紗良

うーんとね、この屋台の道をずーっと歩くでしょ?そしたらさっき来た田圃の道に出るんだけど

紗良

そこの田圃の奥だって

そうすると

(告白するには人気のないところの方がいいよな)

神社の裏はちょっと山になってるよね?

紗良

うん、神社の裏は山だよ?

たぶん、花火の上がる場所があそこだとちょっと山を登ったあたりの方が見やすいと思う!

(そっちの方が告白もしやすいし)

紗良

でも山なんか浴衣で登れないよ

そんなに高くは上らないよ笑

さっきお参りした時神社の裏に道が続いているのが見えたんだ!あそこを登っていけば良いんじゃないかな?

紗良

そんな道あったっけ?

紗良

あ、もう7時50分!
時間もないし蓮の言ってくれた場所にする!

おっけー、じゃこっち!

(紗良の手を引く)

紗良

(あっ、蓮が手を繋いでくれた…)

一方、莉子と大翔は屋台道を出た田圃脇 の道路に腰掛けて、花火を待っていた。

莉子

ひぃかぁひぃ、ふたひぃはどこまでいったんひゃか…

大翔

食いながら喋るなよ笑
落ち着いて食べろって

莉子

んー、りんご飴最高!

大翔

綿あめとりんご飴よく同じタイミングで食べれるよな

莉子

甘い×甘い=甘い だから問題ないし、かの先生も言ってたよ!つぶせばゼロカロリー!

大翔

…胃の中四次元ポケットかよ

莉子

あ、はひぃまっはぁ!
ひゃなぁひぃだぁあ!

大翔

だから食いながら喋るなって!

結構道が整備されてるけど、ウォーキングコースとか?

紗良

こんな道、あったかなぁ

あ、この辺開けてる!

ここら辺はどう?

紗良

うん!

紗良

あ、蓮。花火始まったよ!

ほんとだ、綺麗だな…

祭囃子の音が遠く聞こえる中 山中の少し開けた場所で 大空に打ち上がる花火を 2人は見つめた

(夜空に花火が打ち上がるたびに明るく浮き上がる紗良の横顔を蓮は横目で眺めていた。)

「ん、なんだこの音…(小声)」

紗良

ん、どうしたの蓮?

え、いや、別に!なんでもないよ

(蓮には花火が弾ける低い響音とは別の何かが山の奥から聞こえているように感じた)

紗良

それにしても花火、とっても素敵だね…

あ、うん!めっちゃ綺麗…

あ、あのさ紗良…

紗良

(紗良がおもむろに蓮を見る)

(うわっ、めっちゃかわいい)

じ、じつは俺!

その時、山奥からの不気味な音が蓮の耳にかすかに聞こえたのだった。それは獣の唸り声のような、幾重にも重なる低い男の声のような言い表しがたい不気味な音だった。

(なんなんだ、この音…)

(紗良から目を逸らし俯き考える)

紗良

ちょっと、蓮、大丈夫?
体調悪いの?

紗良

(蓮の肩に手をかける)

あ、ごめんごめん、

(なんかの気のせいだ、花火の音だきっと)

蓮が顔を上げると紗良の背後の木々にあの乞食僧がいた。笠を目深にかぶり、ボロボロの法衣を着たあの僧だった。

一変して蓮の体は冷や水を浴びせられたように血の気がひいていくのが分かった。

(無言で紗良の手を引く)

紗良

ちょ、ちょっと蓮!
どうしたの??

紗良

ちょっと蓮ってば!

ご、ごめん、ちょっと気分が悪くなっちゃって

紗良、もう戻ろう…

(紗良の手を引き、足早にその場を離れる)

ドーン。今日一番の花火が辺りを一瞬明るくした。

2人は足早にその場を後にした。

花火も終わり、屋台も徐々に店が閉まり始めた。散々とした屋台道の最後で4人は落ち合った。

莉子

紗良〜!花火とっても綺麗だった!もう最高!

紗良

そうでしょ!田舎で街灯もないから綺麗に見えるんだよね〜笑

大翔

莉子は食べてばっかりだったろ笑

莉子

大翔うるさい!ちゃんと花火も見ましたーっての

(額を拭うとぐっしょりと濡れていた)

大翔

おい、蓮、顔色が悪いぞ?どうした、らしくない

莉子

ほんとだ、すごい汗、大丈夫?

紗良

蓮ちょっと体調悪いみたいで…大丈夫?

うん、あぁ、大丈夫、ははっ

(乾いた笑い)

(ガチガチと歯がなっているのを甚平の裾で隠す)

(なんだったんだあれは…)

(1番大きい花火の時、一瞬だけだったけどはっきり見えた、あの変な僧は1人じゃない、俺らを囲うようにして6人じっとこっちを見据えてた。どう考えても普通じゃない)

カエルが鳴く田圃道を4人は並んで歩きながら帰路についた。

この作品はいかがでしたか?

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コメント

1

ユーザー

二人が花火を見ていた場所は恐らく禁足地でしょうか それにしてもお坊様のビジュアルと演出が怖すぎました……! 日常に戻るなかで、今後なにか起きるんでしょうか 続きも楽しみにしております

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