静かな夜
虫の音が遠くで鳴いている
芙梛は一人、灯りも付けずに床に座り込んでいた
手には、まだ禰豆子の温もりが残ってる気がした
けれど、どうしても心の中の葛藤は消えなかった
芙 梛
芙 梛
そこへ、静かに戸が開く音がした
聞き慣れた声
でも今日は少しだけ低い声
無一郎だった
芙 梛
時 透
芙梛はふっと笑う
芙 梛
芙 梛
時 透
無一郎は部屋に入り、芙梛の正面に腰を下ろす
蝋燭も灯さず、月の光だけが二人を照らしていた
時 透
時 透
芙 梛
無一郎は少しだけ息を吸って そして真剣な目で芙梛を見つめる
時 透
時 透
その言葉で、芙梛の心臓がドクンと音を鳴らし 全身が一瞬だけ硬直した
無一郎に言われるとは思っていなかった
自分が鬼だってことを伝えたが、 改めて言われてしまうと心に矢が刺さった気がした
芙 梛
芙 梛
時 透
時 透
無一郎の声は震えていた
時 透
時 透
時 透
時 透
時 透
芙梛は言葉を失った
無一郎が、こんなにも苦しんでいるとは思わなかった
芙 梛
時 透
時 透
時 透
時 透
時 透
芙梛の瞳に、静かに涙が溜まっていく
でも、それは悲しみの涙ではなかった
芙 梛
芙 梛
芙 梛
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