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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

メラ

わっ…きれー……

ミュール

ふふ…っ、あははっ、花火みたい、ですね

アメリア

本当…手が滑ったとか、そんなしょうもないミスするかよ…?

アメリア

…くっ……

アメリア

ふははははっ、あはっ、あははははっ!!

アメリアは吹き出し、笑い出す

アメリア

は─────ほんとにバカらしい、アホ、アホ!

そして、ドサっと寝転んだ。

その体からは、血液が溢れ出している。

アメリア

最強の殺し屋である私にこんなに傷をつけるとは…やるなぁ

サミュエル

はぁ〜あ……

サミュエルもその場で身を投げ出し、倒れ込む

サミュエル

…いったいなぁ……俺が尻尾も翼も弱点なの知ってて…手ぇ出すんだから

サミュエル

ひどい人たちだよ、ほんと

メラ

つ、かれた…っ、もう、動けない〜〜

メラもまた同じように、そして

ミュール

あーあ…幸せだなぁ

ミュール

私やっぱり、あなたたちが大好きです

サミュエル

じゃあなんで一緒にいようとしないんだよ…っ

ミュール

ごめんなさい。私なりに…あなたたちを想った結果なの

ミュール

アメリア様、メラ、サミュエル、テヘルさん、アイザックさん…

ミュール

私はみんな…離れたって仲間だと想ってる。それくらい、愛してる

ミュール

愛を、感情を教えてくれてありがとう。

テヘル

しんみりしすぎだろ!

テヘル

俺たちらしくなさすぎねーか?

テヘル

俺はさ────

テヘル

意味わかんねえくらい明るくて考えなしでバカで

テヘル

突っ走って真っ正面から乗り越えていくお前らといるの…

テヘル

結構楽しかったぜ

テヘル

殺しはやっぱ好きにはなれねえけどさ

テヘル

お前らに観える世界を…俺にも魅せてくれて、教えてくれて嬉しかった

テヘル

お前らといる時間…楽しかったんだ

アイザック

俺も〜

アイザック

冒険ってあんまししたことなかったし

アイザック

いい経験だったなー…

アイザック

でももう…そろそろ疲れたね

アイザック

俺たちは…走りきったよね

アイザック

─────ね…?

一行は、星空を見上げる。

今、全員の視界には──空のみが映る。

アメリア

…ああ

アメリア

納得できたか、サミュエル

サミュエル

…うん

サミュエル

もう、これ以上どうしようもないよ

サミュエル

俺たちは───勝負できない、勝負がつかない

サミュエル

どうしても仲間で味方で…みんな強いんだ

サミュエル

…っだから、納得…させるよ

サミュエル

それでも俺は一生みんなでいるのが一番の幸せだし

サミュエル

きみたちみたいに清い心はないから!

サミュエル

俺は絶対変わんない

サミュエル

言った通り、これから一人になっても…殺しはし続けるよ

サミュエル

命のためだから。

メラ

メラ…アメリア様がメラの前から消えるくらいなら死んだ方がマシだよ

メラ

でもね、もし、あなたが生きててさえくれるなら…

メラ

──次に逢ったとき、あなたに認めてもらえる人間になれるように

メラ

あなたが…今度こそ目が離せない、むしろ、憧れて追っかけるくらいの───

メラ

そんな存在に、なってみせる。

メラ

もちろんアメリア様以外も…また逢って、ときには一緒に過ごして

メラ

今度は殺しの強さじゃなく…人として、成長したいの

メラ

…だから

メラ

ねえ、アメリア様───。どうか、どうか…

メラ

死なないで。

数日後、王宮付近────

その日の夜は大きな月が辺りを照らした。

そう、この日は。

 

新しい王の誕生
だ!!!!

 

時代に節目を!!平和な時代を!!!

 

悪者は処罰しろー!!

アメリア

…すごいなぁ、人が、たくさんだ

静かに。

アメリア

…すみませんね、王様

王座についたのは、昔々にアッシャーたちの家系と別れた──

もう一つの血筋から生まれた男だ

その男はなんでも人格者らしく、王になるのに支援は絶えなかった。

そして実際に均衡を崩しつつあったこの国の指揮を少しずつ取り、回復する見込みもあった。

アメリア

(ごめんな、メラ)

アメリア

(でも分かってたはずだ。私が止まるわけないって。意志は変わらず──)

君は処刑を待つ間すごくおとなしかった

アメリア

(償うつもりだってこと。)

それほどに罪を重く受け止める君が、何故殺しなんてしていたんだ?

アメリア

はは、罪人の気持ちまで汲むのかお前は

お前とは…無礼だぞ

アメリア

そうだが…どうせもう死ぬのだから。

…それもそうか

アメリア

(生きた理由はきっとあった。仲間のアイツらが、それを観ていた)

アメリア

(きっとはじめから…こういう運命だったのだろう。)

アメリア

私は、何をしようにも結局…

アメリア

殺しのある世界でしか、生きられなかったんだよ。

アメリア

…だからな、王よ

アメリア

──…平和な国に、してやってくれ

アメリア

誰も取りこぼすことないように

アメリア

可哀想な子どもも、大切な人を亡くしてしまったやつも

アメリア

悩み彷徨っている者たちも、たとえ異端者であっても

アメリア

…救ってやれる国で…あってくれ

多くを求めるのだな

だがまあ…承った

アメリア

…もう、その時が来たのか

ああ

アメリア

少しだけ───…最期に。

───ある女の名を、アメリアといった。

名字はない

金さえ渡せば、どんな人間でも痕跡無く殺すと言われた女である。

アメリア

…さよなら。

1発の銃声

空高く舞う、弾丸。

黒い銃は煙を靡かせ、コトンと置かれる。アメリアが一生涯、世話になった銃。

紛れもない…アメリアの銃。

アメリア

…ふー……

アメリア

(死ぬことは、不思議と怖くない)

殺し屋に心はいらないと、誰かが言った。

アメリア

(…確かにそうだった、かもしれない)

アメリア

(それでも私は───)

アメリア

(心を得られて、確かに幸せだったよ。)

殺し屋という職を背負った以上

任務を、全うすることができなければ意味がない。

そのとき、見慣れたオレンジ色の姿がアメリアの瞳に映る。

アメリア

(...ああ、みんな、いるなぁ)

アメリア

(ありがとう。)

アメリアは緩く微笑んだ

時間だ

アメリア。齢24。罪状──…殺人、他。

XX年X月X日───死刑、執行。

スパン、とアメリアの首が飛ぶ。

その拍子に長かったアメリアの後毛も切れ、宙へ飛ばされていく。

アメリア

…ふふ

ある女の名を、アメリアといった───。

彼女の存在はこの国に大きな変化を与えた。

それでも殺し屋アメリアの、その一生涯を語り継がれることはない。

彼女の人生は…

今日ここで、平和の始まりを告げるため

思い出とともに散りゆくのだった。

【完】

銃口の先のエンディング

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