大橋和也
………………
生活の一部となっていた。
そんな生活が
腫れ物に触ったかように、
痛みが増して、触れることはできなくなってしまった。
大橋和也
………………
桃乃さん
……………
席が隣という嫌な空気。
それを壊すことが、
自分には出来ないことだった。
〇〇
愛梨。ちょっと
桃乃さん
なに、
〇〇
いいから
バタン
教室は決して静かではない。
むしろうるさいくらい。
でもその音が、自分の耳にはハッキリ
静寂の中なのではと言うほど聞こえた
後をつけたらきっと………
でも、欲を抑えることはできなくて
つい。後を追ってしまった
桃乃さん
で、なに
〇〇
なんかあった?
桃乃さん
何も?
〇〇
嘘。
〇〇
なんかあったでしょ
桃乃さん
〇〇には隠せないや
〇〇
で?
桃乃さん
離れた。
〇〇
大橋から?
桃乃さん
うん。
桃乃さん
変なことになる前に。ね
〇〇
………そっか。
〇〇
そうしたんならいいんじゃない?
桃乃さん
思っ…
〇〇
いるでしょ、大橋
大橋和也
!!!
桃乃さん
…………え
〇〇
で、つけてきたと?
大橋和也
………はい。
大橋和也
そうです………
〇〇
はぁ〜😩
〇〇
どうする?
桃乃さん
………………
桃乃さん
なんで来たの
桃乃さん
関わらないで。って言ったよね?
大橋和也
………………
大橋和也
…………なんで関わってはいけないの
大橋和也
なんで?
大橋和也
僕、………嫌なことした?
怖かった
急に突き放されて。戸惑って。
自分はとても驚いて、怖くて。
でもそれ以上に、
とっても、"理由"が知りたかったんだ
大橋和也
嫌な事したなら……肝に銘じるけど
大橋和也
そうじゃ無いなら、
大橋和也
まだ、桃乃さんと近い距離にいたい
桃乃さん
…………………
桃乃さん
〇〇。一旦席外れて
〇〇
ん。
桃乃さん
あのさ。
桃乃さん
そんな一回に沢山喋らないで
桃乃さん
読み取るの難しいし疲れる
大橋和也
…………ん?
桃乃さん
本当に疲れるから辞めて。
桃乃さん
……………
桃乃さん
あ〜もう
桃乃さん
これだから言わないといけないじゃん
桃乃さん
言いたく無かったのに。
大橋和也
…………ごめん
桃乃さん
何?自信持ってよ
桃乃さん
私さ。
桃乃さん
耳が、聴こえないんだ。
桃乃さん
中1に事故にあってそっから
桃乃さん
〇〇と話せるのは
桃乃さん
…………〇〇の声だけは
"聴こえるから"
知らない場所で
知らない人達に囲まれる日々。
ようやく慣れたと思ったのに。
なんでまた、
知らないものが、出てくるんだろう。
自分は思考を停止してしまい、
整理時間を求めた。