不葉
……
不葉
不思議な人だったなぁ…
銀木犀
不葉?
不葉
はーい
銀木犀
入ってもいい?
不葉
うん、いいよ
銀木犀
失礼しま〜す
銀木犀
よっ!不葉
不葉
さっきも話したでしょ…
銀木犀
えへ
不葉
銀木犀は困るとそれで誤魔化すよね…
銀木犀
え、そうなの?
不葉
少なくとも僕はそう思っているけど
銀木犀
ふ〜ん
銀木犀
覚えておくことにするよ
不葉
別に覚えなくても良いけど…
銀木犀
それで?今日はなにする?
銀木犀
もう正直やることないけど…
不葉
…君の世界について
不葉
教えて貰えたりしない?
銀木犀
……私の世界について?
不葉
うん
不葉
勉強になるでしょ?
銀木犀
う〜〜ん…
銀木犀
別にいいけど…
銀木犀
そんなに面白くないよ?
不葉
大雑把にでもいいから!
銀木犀
ん〜
銀木犀
それなら…
銀木犀
私の世界はね、沢山の大陸があるんだよ
銀木犀
私の友人が主の「八大陸」
銀木犀
私の国の「死から離れた国」
銀木犀
あとは特別な目を持つ人達が産まれてくる「世界から愛された国」
銀木犀
そこの主も私の友人だね
銀木犀
最後に「人間の国」
銀木犀
正真正銘人間しかいない国だよ
銀木犀
でも「世界から愛された国」と「人間の国」はできたばかりで上手く運営されているの不安だけどね…
不葉
…銀木犀、王様だったんだ
銀木犀
向こうでは「銀の姫」とか呼ばれてるよ
銀木犀
ほら、髪が白というか銀色っぽいから
銀木犀
ネーミングセンス終わってるよね
不葉
自分の国民に対して辛辣だね
銀木犀
いやもう少しいい名前なかったのかって思わずにはいられない
不葉
じゃあなんで他人に名前付けさせたの…
銀木犀
いや〜そっちの方が面白いかなって…
銀木犀
結果大失敗だけどね
不葉
なにしてるの…
銀木犀
それで?まだ聞く?
銀木犀
もう少しなら喋れるよ
不葉
なら…お願いしてもいい?
銀木犀
もちろん!
銀木犀
聞いていて飽きないのか心配だけど…
不葉
大丈夫だよ
不葉
続き聞かせて
銀木犀
ん〜何から話そうか…
銀木犀
まず「八大陸」について
銀木犀
私の友人が主なんだけどね
銀木犀
その名の通り8つの大陸があるの
銀木犀
雲の神の使いの大陸
銀木犀
風の神の使いの大陸
銀木犀
大地の神の使いの大陸
銀木犀
星の神の使いの大陸
銀木犀
月の神の使いの大陸
銀木犀
雪の神の使いの大陸
銀木犀
夢の神の使いの大陸
銀木犀
それと住民の人が住んでる大陸だね
銀木犀
この8つから構成されて主は雲の神の使いの所に住んでる
銀木犀
この「八大陸」最大の特徴は
銀木犀
「神の使い」と呼ばれる人が産まれること
不葉
神の使い?
銀木犀
実際は神の使いと言うより「神の卵」だね
不葉
卵?
銀木犀
神になれる素質を持っている人達を「神の使い」と呼んでいるの
銀木犀
たった1人でも神になれたらその人は永遠とも言える寿命を手に入れ死ななくなる
銀木犀
らしいけど本当かどうか知らないんだよね
銀木犀
友人から聞いたんだけど曖昧だったから鵜呑みにしない方がいいよ
不葉
ふ〜ん…
不葉
「神の使い」ってかっこいい名前だね
銀木犀
きっと世界も好きなんだよ
不葉
へー
銀木犀
うっわ興味無いね君
不葉
次〜
銀木犀
はいはい…
銀木犀
次は私の国、「死から離れた国」についてだね
銀木犀
名前は周りの人がそう呼び出しただけで私がつけた名前じゃないよ?
不葉
だろうね…
銀木犀
まぁ…その前に
銀木犀
吸血鬼は眷属を作ることが出来るんだよね
不葉
よくファンタジー小説で読むやつね
銀木犀
不葉本好きだね…
銀木犀
まぁそんな感じ
銀木犀
私の世界には眷属化のやり方が2種類あって…
銀木犀
1つはある特定の人物だけを眷属化するやり方
銀木犀
もうひとつは大量の人間を一気に眷属化するやり方
銀木犀
特定の人を眷属化するには自分の血をどこかに付ければいい
銀木犀
そこから血に眷属の情報が入っていって眷属化する
銀木犀
ちなみにこれは1番効率のいい方法
不葉
その眷属に強さ…みたいなのは無いの?
銀木犀
……あるにはあるよ
銀木犀
今のやり方は1番眷属化が早く終わる
銀木犀
強い眷属を作りたいならまず強い個体を見つける
銀木犀
そして…
銀木犀
その力を上回る血を体内に入れる
銀木犀
要はその強い個体の特徴を残しつつ眷属化で強化される
銀木犀
って感じ
銀木犀
まぁ半々だから忌み子として扱われる可能性があってやらないけど
銀木犀
1番いい効率は眷属化の術を使うこと
銀木犀
術で魂に眷属化の情報を無理やり入れる
銀木犀
それを使っても私達みたいな強さは手に入れられないし
銀木犀
私みたいな寿命も手に入らないけど
銀木犀
ちょっとだけ吸血鬼になれるって感じかな
銀木犀
私の国の住民にはそれを施していてね
銀木犀
普通の人間に比べて寿命が多い
銀木犀
だから「死から離れた国」って名前がついているの
不葉
…銀木犀はさ
不葉
特定の人物を眷属化する方法で
不葉
誰かを眷属にしたことある?
銀木犀
……無いよ
銀木犀
生憎この世界には私の目を留まる人物は居なかったからね
不葉
…ふ〜ん
不葉
次は?
銀木犀
「世界から愛された国」なんだけどね…
銀木犀
ここの主は「アシッド教」っていう宗教だね
銀木犀
教祖代理と友人だけど無愛想な子だよ
銀木犀
でも、私の世界にいちばん詳しい
不葉
不思議な人だね
銀木犀
分かる、私も同意見
不葉
最後の国は?
銀木犀
あぁ…
銀木犀
「人間の国」は全ての大陸に属さない人間がいる国だね
銀木犀
どういう感じなのか私も知らないんだよね…
銀木犀
王様と会ったこともないし
不葉
へぇ…
銀木犀
まぁざっとこんな感じかな
銀木犀
他にも細々とした大陸はあるけど大きい大陸はこれだけかな
銀木犀
今後どうなるのか知らないけど
不葉
楽観主義なのか見捨ててるのかどっちだそれ…
銀木犀
ん〜不葉の想像に任せるよ
銀木犀
お水貰ってもいい?
不葉
あ、いいよ
不葉
長話させてごめんね
不葉
凄く楽しかった
銀木犀
…なら、良かった
銀木犀
(え〜っとお水お水…)
…神祖様?
銀木犀
…?
神祖様ですよね!?
銀木犀
…あ!
銀木犀
君、誠実なメイドちゃん?
嬉しい覚え方をされていますね…
はい、そのメイドです
お水ですか?
銀木犀
あ、うん
お持ちしますよ
銀木犀
え、ほんと?
はい!
銀木犀
じゃあ…お願いしようかな
少々お待ちください
銀木犀
(やっぱり真面目に働く子だな〜)
銀木犀
(こういう人材はレア素材…)
神祖様、どうぞ
銀木犀
あ、ありがと
銀木犀
…ねぇお姉さん
はい、なんでしょう?
銀木犀
お姉さんは何の花を司っているの?
……私ですか?
銀木犀
うん、君
……
ユキノシタ、という花をご存知ですか?
私はそれを司っている
雪華
雪華と申すものでございます
雪華
自己紹介が遅れ、申し訳ありません
銀木犀
いや、大丈夫
銀木犀
引き止めてごめんね
銀木犀
お水、ありがとう
雪華
いえ、それでは…
銀木犀
(……ユキノシタ)
銀木犀
(花言葉は…)
銀木犀
深い愛情…ね
第10話・「不滅」の加護