テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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YOLO!!

第15話 - 昔日の断片

131

2025年03月06日

#冬彰

#司類

#田舎

#都会

あかまる🍓🐾໊

それは小学1年生の夏だった。

彰人

ちょっと遊びに行ってくる！

母

あんまり遠くに行っちゃダメだからね。あと、山には入らないこと！

彰人

分かってるって。

彰人

行ってきまーす！

母

行ってらっしゃい。気を付けてね〜！

夏休みに、母の実家へ遊びに来ていた。

彰人

…ここ、本当に何も無いな…

彰人

公園もあるように見えないし…せめて空き地とか…

その時、蹲って田んぼを覗いている少年を見付けた。

子供を見付けたのが嬉しくて、すぐに話しかけに行った。

彰人

何見てんの？

冬弥

？！

その少年が…冬弥だった。

彰人

なんかいる？……あ、アメンボだ！

冬弥

…

彰人

(困ってる…？急に話しかけたからか、)

彰人

オレ、東雲彰人。今婆ちゃん家に泊まりに来てるんだ。

冬弥

…青柳冬弥、

冬弥

俺も…祖母の家に泊まらせてもらってる。

彰人

へぇ、一緒じゃん！

彰人

ここ、遊ぶ所とか何にも無いな。冬弥は何してたんだ？

冬弥

田んぼを…見てた。

彰人

田んぼかぁ、面白い？

冬弥

…分からない。

彰人

ふぅん？じゃあ何で見てんの？

冬弥

…分からない、

彰人

へぇ…

彰人

……じゃあさ、家来いよ。婆ちゃん家にトランプとかあったぞ！

冬弥

家…行っていいのか？

彰人

田んぼばっか見てても、面白いかどうか分からないんだろ？だったら家来て遊ぶ方が、楽しいと思うぞ！

彰人

婆ちゃんも友達ならいいって言うだろうし。

冬弥

えっ……と、友達？

彰人

うん。嫌だったか？

冬弥

い…嫌じゃない！

冬弥

嬉しい…

彰人

じゃあ行こうぜ！

冬弥

…うん。

冬弥と仲良くなったのは、その時からだ。

彰人

じゃあ…こっち！

絵名

あっ！何で分かるのよ！

彰人

絵名はすぐ顔に出てるんだよ

絵名

もー！

彰人

それにしても、冬弥ババ抜き強いな！

冬弥

ただ運が良かっただけだと思う。

母

ふふっ、みんなジュース飲む？

絵名

飲む！ありがとう！

彰人

ありがと

冬弥

あの…俺までいただいていいんですか？

母

もちろん！遠慮しないで。あとでスイカも切ってくるからね。

冬弥

あ…ありがとうございます！

絵名

ねぇねぇ、ババ抜きもう1回やるわよ！

彰人

またか？そろそろ違うのやろーぜ

絵名

負けっぱなしは嫌なの！

彰人

何回やっても同じだって

絵名

はぁ？何それ！

彰人

冬弥ぁ、絵名がしつこい〜

冬弥

えっと…

母

こらこら、冬弥くんを巻き込まないの。

彰人

だって絵名がしつこいんだもん

絵名

彰人が生意気なの！

彰人

はぁ？絵名がうるさいだけだろ！

母

すぐ喧嘩しないの。次は冬弥くんがやりたい遊びにすれば？

冬弥

えっ、俺の…ですか？

彰人

たしかに。トランプ以外でもいいぞ

絵名

トランプ以外だと…あっ、おままごととか？

彰人

オレお前の子供役とか嫌だからな

絵名

え〜？彰人と冬弥くんなら彰人が子供でしょ！

彰人

なんでだよ！というか、冬弥がやりたいことって言ってるだろ！

絵名

例えばで言っただけだし！

母

あらあら…ごめんね、冬弥くん。いつもこんな感じなのよ。

冬弥

いえ…

冬弥

…賑やかで羨ましいです。

母

あら…冬弥くんは一人っ子？

冬弥

いえ、兄が2人…でも、少し歳が離れています。

母

そうなの…じゃあ、こんな風に喧嘩になることもなさそうね。

冬弥

そうですね…

彰人

へぇ、冬弥お兄ちゃんいんの？いいな〜

冬弥

いい…だろうか？

彰人

お兄ちゃんならいつでもサッカーしてくれるんじゃねぇの？

絵名

なに、私が嫌なわけ？

彰人

嫌とは言ってねぇだろ。

冬弥

サッカーか…やった事ないな。

冬弥

というか…兄と遊んだことは無いんだ。話したこともあまりないし、

彰人

え？…仲悪いってこと？

冬弥

話すと…父が、嫌がるんだ、

彰人

父さんが…？

絵名

冬弥くんが喋ると、お父さんが嫌がるの？

冬弥

…はい。理由は…分かりません。

彰人

ふぅん…

母

…冬弥くんは、ここに住んでるの？

冬弥

あ…いえ。父と母の仕事が忙しいので、祖父母の家に預けられています。

母

そう…良かったら、お夕飯も食べていかない？

冬弥

え…いえ、そこまでお世話になるわけには…

彰人

いいじゃん、一緒に食べようぜ。

冬弥

でも…

母

遠慮しなくていいのよ。それと、あとで冬弥くんの祖父母さんにも挨拶させてくれる？

冬弥

あ…はい、分かりました。

彰人の部屋

彰人

(…なんか、急に懐かしいこと思い出しちまったな)

冬弥

彰人？

彰人

いや…お前、変わってないと思ってたけど、だいぶ変わったな。

彰人

初めて会った時に比べたら、だいぶ表情も動くようになったし。

冬弥

それは…彰人達のお陰だ。

冬弥

彰人は変わっていないな。ずっと…明るくて優しいままだ。

彰人

ガキっぽいの間違いじゃねぇの？

冬弥

ふふ、そんなことない。

冬弥

あ…でも、カッコイイから可愛いには変わったな。

彰人

あ！またその話かよ！

彰人

ったく、いつまでイジる気だ…？

冬弥

そんなつもりは無いぞ。ただそう思うだけだ。

彰人

可愛いは納得いかね〜〜…

冬弥

…彰人には、本当に感謝してもしきれない。

冬弥

あの時、声をかけてくれてありがとう。友達だと言ってくれて…本当に嬉しかった。

彰人

…こっちこそ。

彰人

お前がいたから、小学生の夏休みは毎年楽しみだったよ。

冬弥

！一緒だな。

絵名

彰人〜、ご飯！

彰人

あぁ、はいはい。

彰人

冬弥も食ってくだろ？

冬弥

あぁ、ありがたく戴く。

彰人

(こう思うと、だいぶ遠慮もしなくなったな。相変わらず礼儀は正しいけど。)

瑞希

あ、お邪魔してま〜す

彰人

あれ、暁山もいんのか。

瑞希

帰ろうと思ったんだけどねぇ…絵名と絵名のお母さんが、「食べていきなさい」って。

彰人

あぁ…

絵名

冬弥くんが来るからって、今日は多めに作ってたしね。

母

あら、冬弥くん久しぶり！最近なんのお構いも出来てなくてごめんね。

冬弥

い、いえ！お気になさらないでください。

彰人

(母さん、今日は元気そうだな)

母

背も伸びたわねぇ！彰人、抜かされちゃったんじゃない？

彰人

あの時はチビだったのにな。

冬弥

毎日たくさん食べて、たくさん寝ましたから。

母

ふふ、そうなのね。今日もたくさん作ったから、好きなだけ食べて！

冬弥

はい、ありがとうございます。

彰人

(親父は…相変わらず部屋から出てこねぇのか。)

彰人

(母さんも…今日は元気な方だけど、酷い日は布団から出られないんだもんな、)

瑞希

彰人くんとお母さん、結構似てるね。

彰人

そうか？まぁ、よく言われるけど。

冬弥

ふわふわな髪と垂れ目がそっくりだと思う。

瑞希

たしかに！絵名はお父さん似？

絵名

ちょっと嫌だけど、よく言われる。

彰人

絵名は絶対親父似だろ。陰険なところとか。

絵名

はぁ？！私は陰険じゃないし！

瑞希

あははっ、賑やかだね。

冬弥

あぁ、いつも賑やかなんだ。2人とも本当に仲が良くてな。

彰人

いや、これのどこがだよ。

絵名

げ、にんじん入ってる…

彰人

あっ！お前、なにオレの皿入れてんだよ！自分で食え！

絵名

彰人は食べれるんだからいいでしょ！

彰人

我慢して食ってんの！お前もちょっとは頑張って食えよ！

絵名

嫌！

瑞希

ふふ、本当に仲良しだね。

冬弥

あの、良ければ俺が食べますが…

絵名

えっ、本当？

彰人

こら！冬弥に食わせようとすんな！

絵名

本人がいいって言ってるからいいでしょ！

瑞希

しょうがないな〜。絵名、ボクが食べてあげるよ。

絵名

えっ、いいの？

瑞希

苦手なんでしょ？ボクはにんじん食べられるから大丈夫！

絵名

ごめん…じゃあお願いしていい？

彰人

暁山も、あんまり甘やかさなくていいからな。

瑞希

彰人くん厳しいね〜

絵名

そういえば、彰人はあの猫かぶりやめたの？

彰人

は？

絵名

ほら、瑞希の前でさ「姉がお世話になりました」〜とかやってたじゃん。

彰人

お前、あれで毎回キモいって言ってくんのやめろよ。慣れろ

絵名

あれはちょっとキモいでしょ

彰人

はぁ？初対面の人に愛想良くすんのは普通だろうが。

彰人

暁山は同い歳だって言うし、必要ないって判断したからやめたんだよ。

絵名

ふぅん

彰人

つか、それを言うならお前だって…

彰人

…って、冬弥？なんか顔色悪くね？

絵名

えっ、大丈夫？！

冬弥

あ…い、いえ！何でもありません。

冬弥

すみません…少し、お手洗いを借りてもいいですか？

絵名

もちろんいいけど…大丈夫？

冬弥

はい、大丈夫です。すみません…

彰人

絵名、料理になんか盛った？

絵名

盛るわけないでしょ。しかも何で私なのよ。

彰人

お前しかいねぇだろうが。

瑞希

…

彰人

冬弥、本当に大丈夫か？

冬弥

あぁ、急にすまなかった。

瑞希

ボクがちゃんと冬弥くん送り届けるから、大丈夫だよ！

絵名

よろしくね、瑞希。

彰人

悪いけど頼むわ。

瑞希

任せて！

冬弥

すまない、暁山。

瑞希

いいよ、気にしないで！

瑞希

ご馳走様でした。絵名、彰人くん。またね〜

絵名

うん、またね！

彰人

冬弥、また明日。

冬弥

あぁ、また明日。

夜

瑞希

うわ〜、相変わらず真っ暗だねぇ…

冬弥

暁山こそ心配だ。夜道は危ないし、やはり俺が送ろう。

瑞希

あははっ、大丈夫だよ。一応4年ここに住んでるし。

瑞希

…冬弥くんと話すのって、ほぼ初めてかな？

冬弥

そう…だな。

瑞希

なんか…本当にごめんね。避けるみたいになっちゃっててさ。

冬弥

いいや、気にしてない。事情が事情だろうし。

瑞希

事情か…

瑞希

…冬弥くんにもあるんじゃないの？何か、簡単に人には言えないような事情。

冬弥

！？

冬弥

…………何故、

瑞希

何となくだよ。ボクも…簡単に人には言えない事情、あるからさ。

瑞希

冬弥くんと同じとは言えないけど、多分…ちょっとは、似てるのかなって。

冬弥

…そうか、

瑞希

あ、別に話さなくていいからね。無理に聞こうなんて全く思ってないし。

瑞希

ただ…ちょっと、似てるかもって…言い方悪いけど、仲間見付けたみたいで、嬉しくてさ、

瑞希

ごめんね、勝手に仲間とか思って…

冬弥

いいや…構わない。

冬弥

暁山の事情は知らないが…それは、出生に関係あるか？

瑞希

出生………そうだね、そうかも。

冬弥

そうか……なら、少しは似た者同士なのかもしれない。

瑞希

…そっか。

瑞希

ボクは同情とか、可哀想って言われるの嫌だからさ。だから、本当はこういう風には言いたくないんだけど…

瑞希

もし…その事について、逃げる場所が必要なら…いつでも、ボクを逃げ道にしてくれていいからね。

冬弥

逃げ道…

瑞希

偉そうに言ってごめんね。上手く伝えられないんだけど…

冬弥

いいや…ありがとう。気持ちは十分伝わった。

冬弥

そう言ってもらえるのは…心強いと思う。

瑞希

…なら、良かった。

瑞希

あ、冬弥くんの家ってここだよね？

冬弥

あぁ、わざわざありがとう。

瑞希

いいよ〜。じゃ、ボクはもう少し先だから。

冬弥

あ…暁山！

瑞希

ん？

冬弥

俺に出来ることは無いかもしれないが…必要なら、俺も…その逃げ道にしてほしい。

瑞希

…ふふ、ありがとう。

瑞希

じゃあ、その時はお互い様ってことで。

冬弥

あぁ。

瑞希

…ありがとね。

冬弥

俺の方こそ。

YOLO!!

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にんじんトーク（笑）してた時、冬弥が全く会話に入ってなかったから（最初の『俺が食べますか？』くらい）その時にいろいろ考えてしまったのかな… 人と会話するのをやめたら途端に嫌なことを考え出してしまう事ってあるからなー

あかまる🍓🐾໊

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