テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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YOLO!!

第16話 - 凶報

152

2025年03月08日

#冬彰

#司類

#田舎

#都会

あかまる🍓🐾໊

類

ねぇねぇ、戸建てかマンションどっちがよかて思う？

彰人

え、唐突になんですか？

司

上京したら、類と同棲しようて思うてな。

彰人

同棲？！

類

ルームシェアみたいなもんばい。

冬弥

も、もうそこまで考えてるんですか？

司

母さんたちとも相談中や。

類

僕ん両親は司くんなら良かって言うて思うけどね。

彰人

すげぇ…なんか、トントン拍子に進んでません？

司

ああ。オレが腹括ってからは、トントン進みなすな。

類

金銭面とか色々、考ゆることはまだまだ多かけどねぇ

冬弥

やっぱり…すごいですね、先輩達は。

彰人

にしても、卒業したら上京ですか…

彰人

…少なくとも、1年は会えなくなりますね。

類

そうやなぁ……

司

…寂しかね。

冬弥

はい……すごく、寂しいです、

彰人

…

学校

彰人

(まだ先のことなのは分かってるけど…それでも、来年の今頃にはもう…)

彰人

(そう思うと…やっぱ、ちょっと寂しいもんだな)

彰人

(あの人たちはあの人たちなりに、一緒に居られる方法を探して…それを実現しようとしてる、)

彰人

(オレもやっぱり、そろそろ考えなきゃいけねぇのかな)

彰人

(上京…するか…)

彰人

(けど…)

彰人

(上京するにしても…今の状態の親父と母さんを置いていくわけにはいかねぇしな、)

彰人

(絵名が残るにしても…絵名だけに任せるのも憚られるし…)

彰人

(オレだけが幸せになろうとすんのも…良くねぇだろ、)

彰人

…

冬弥

(来年の今頃には、もう…先輩達はいない…)

冬弥

(もう……もしかしたら、一生会えないかもしれない、)

冬弥

(嫌……だな、)

冬弥

(駄目だ。応援しなきゃいけないのに…「行かないで欲しい」だなんて言って、困らせるわけにはいかないだろう。)

冬弥

(でも…やっぱり、嫌…だな、)

冬弥

(俺も上京するか…いや、けど…やっぱり、1番安全なのはここだ。)

冬弥

(…ちゃんと笑顔で見送れるだろうか、)

図書室

冬弥

返却期限は来週の月曜日です。

生徒

ありがとうございます。

冬弥

(あと10分か。)

冬弥

(次に人が来るまで…続きでも読むか)

もうすぐ読み終えるこの小説は、よくある青春恋愛ものだ。

冬弥

(普段読まないジャンルだが、案外面白いものだな。)

主人公が恋をしているのは、幼なじみの少年。

冬弥

(この少年…どことなく、彰人に似ているんだよな、)

冬弥

(だから親近感が湧いて面白いと感じるのだろうか…)

類

珍しかもん読んどるねぇ

冬弥

？！

類

当番かい？ご苦労さま。

冬弥

類先輩…！

冬弥

本ば借りぎゃ来たんですか？

類

うん。読みたか本があってねぇ

類

これお願いしてよかかい？

冬弥

はい、お預かりします。

冬弥

(これは……シェアハウスについてのエッセイ本か、)

冬弥

(この本、どういう人が借りるんだろうと思っていたが…)

類

……寂しかねぇ

冬弥

！

類

自分で決めたことなんに…どうにも、寂しゅうてしょんなかばい。

類

まぁ、まだ先んことなんやけどね。

冬弥

……でも、1年ですよ、

冬弥

1年なんて…あっという間です、

類

そうやなぁ

冬弥

(本当は…寂しいし、嫌だ。行かないでほしい…)

冬弥

(でもそれは、先輩方の邪魔になる。だから絶対、口にも、顔にも出しちゃ駄目だ。)

冬弥

返却期限は来週の月曜日です。

類

うん、ありがとうね。

冬弥

上京しても…偶に、手紙を送ってもいいですか？

類

もちろんばい！偶にとは言わず、毎日でんよかばい。

冬弥

ま、毎日はさすがに先輩方に迷惑では…

類

僕らが君からん手紙ば、迷惑やて思うわけなかろう？

類

なんも迷惑やなかばい。

冬弥

…

類

やけんね、言いたかことは言うてよかばい。

類

僕らに遠慮なんかせんでよかたい。迷惑なんて思わんけん。

類

寂しかかい？

冬弥

寂しい…に決まってます、

冬弥

もう簡単には会えない、遠い所へ行ってしまうのに…寂しくないはずないです…

冬弥

……

冬弥

……………行かないで下さい、

類

…

冬弥

(あっ、マズイ。つい口から…訂正しなきゃ、応援するって、)

冬弥

すみません、最後のは…！

類

ふふっ、嬉しかね。

冬弥

えっ…

類

本当は言うて欲しかったったい。

冬弥

言って…良かったんですか？でも、先輩方の邪魔に…

類

あんなに一緒におったんに、あっさり送り出さるる方が寂しか。

冬弥

…

類

司くんと一緒におらるる方法は見付けたけど…君らとも一緒におらるる方法は無かとやろうか、

冬弥

俺も…

類

…なんてね。

類

昼休みが終わるね。そろそろ戻るばい。

冬弥

あ…はい。

冬弥

(俺とも一緒に…って、良いのだろうか…)

冬弥

(俺も上京すればきっと…一緒にいられる、)

冬弥

(でも…本当に、俺があの人たちと一緒に居てもいいのか…)

放課後バス

司

む、冬弥1人か？

冬弥

はい。彰人は先生から呼び出しがあるらしくて。

冬弥

司先輩もおひとりですか？

司

ああ、類はまだ図書室や。調べ物らしい。

冬弥

あぁ…お昼休みにも来られましたよ。

司

あぁ、聞いたったい。

司

言うたっちゃ1年やけんな。これから忙しゅうなりそうや。

冬弥

(あ…)

冬弥

(そうか…あと1年は一緒にいられると思ったが、先輩方は忙しいから…)

冬弥

(今までみたいには…もう…)

司

そぎゃん寂しそうな顔ばせんでくれ。オレだって寂しか。

冬弥

寂しそう…ですか？

司

冬弥は案外分かりやすかぞ。

冬弥

えっ、そうですか？

司

あぁ。何年一緒におったて思うとるったい。分かるに決まっとる。

司

ばってん、冬弥は口に出さんけんな。

冬弥

…

冬弥

(口に出して…否定されたり、拒絶されるのが怖いから、)

冬弥

(先輩方はそんな事しないと、頭では分かっているが…)

司

オレは冬弥とも一緒にいたいんだがなぁ…

司

欲ば言うなら、みんな一緒に…って思う。

司

そぎゃんのは、冬弥と彰人の気持ち次第やけどな。

冬弥

…

冬弥

(俺も出来るなら、みんなと一緒にいたい)

冬弥

(先輩方とも、彰人とも…"ずっと"なんて、無理かもしれないけど、)

冬弥

(それでも、まだ…)

冬弥

俺も、一緒にいたいと…思って、いいですか…？

司

あぁ、もちろん！いかんなんて、言うわけなかろう？

司

むしろ嬉しか！

冬弥

(この人たちは…ずっと、俺のことを否定しないでくれる…)

冬弥

(ずっと…温かいまま…)

8年前

初めて出会ったのは、小学3年生の秋頃だった。

冬弥

(手紙…もう、彰人に届いてるかな、)

冬弥

(あ、タガメ……)

冬弥

(何回教えても、彰人がゲンゴロウと間違えるんだよな…)

冬弥

(そんなに似てるかな…？)

類

元気なタガメしゃんやなあ

冬弥

！？

類

虫、好きなんかい？

冬弥

えっと…

冬弥

そこまで…特別好きというわけでは、

冬弥

(ならなんで見てるんだ…って、言われるかな、)

類

ふふ、そうなんや。田んぼって見るん楽しかもんねぇ。

冬弥

は…はい、

冬弥

(何も言われなかった…)

類

司くん、いつまでそけおるったい？話しかけようって言うたとは君やろう？

冬弥

？

司

タガメって言うたろ！聞こえたったい！

類

飛ぶ気はなさそうやけん大丈夫ばい。

司

見た目が無理や！！

類

しょんなかねぇ

冬弥

(この人たちも…俺と同じくらいなのかな、)

類

ごめんね。あの子虫が苦手なんや。

冬弥

い、いえ…

類

僕は神代類。君は？

冬弥

青柳冬弥…です。

類

冬弥くんね。

司

冬弥って言うんか！オレは天馬司や！

司

良かったら、一緒に遊ばんね？

冬弥

えっ…俺ですか？

司

ずっと話しかけてみたかったんや！友達になってくれんか？

冬弥

友達…い、いいんですか？

司

もちろんばい！

冬弥

じゃあ、えっと…お、お願いします。

司

よし！なら今日から友達ばい！

類

あっ

ぶ〜んっ

冬弥

あ、タガメ…

司

ギャアアアアアアア？！？！？

類

あっ、司くん待って！

冬弥

(走って行ってしまった…)

類

相変わらず逃げ足が速かねぇ…

類

冬弥くん、追いかくるばい。行こう。

冬弥

えっ、えっと…

類

多分向こうやて思うけん。走るる？

冬弥

えっと…は、はい！

冬弥

(あの時の司先輩、本当に足が速かった…)

司

どぎゃんした？

冬弥

あ…いえ。少し懐かしいことを思い出して。

冬弥

初めて会うた時、タガメに追いかけられた司先輩はほんなこつ足が速かったなと…

司

なっ、いつん話や！？そら忘れてよかぞ！

冬弥

大切な思い出やけん、忘れられません。

司

出来ればむしゃんよかところだけ覚えとって欲しか…

冬弥

ふふっ

類

冬弥くん！司くん！

冬弥

あ、類先輩！

司

おぉ、そぎゃんもだえてどぎゃんしたんや？

※もだえて…急いで

類

今…そこでたまたま、彰人くんに会うたんやけど、

冬弥

彰人に何かあったんですか？！

類

お父さんが……自殺未遂したって、

冬弥

……え？

司

何っ？！

類

お母さんが車で迎えぎゃ来て…そんまま、都会の病院に行ったばい。

冬弥

自殺…未遂…？

冬弥

(そういえば彰人、ここに来たのは父の療養のためって…)

司

彰人は……どぎゃん様子やった？

類

……冷静やったばい。

司

そうか…

冬弥

(彰人のお父さんが、自殺未遂を…)

冬弥

(彰人は…大丈夫だろうか…いや、家族がそんな状態なんだ。大丈夫なわけない。)

冬弥

(俺に出来ることは少ないかもしれないが…俺は、彰人を支えないと。)

冬弥

(昔、彰人が俺を支えてくれたみたいに…)

病院

絵名

…………あのバカ、

母

………っ

彰人

母さん！手…血出てる、

母

あぁ……ごめんね……

絵名

お母さん……

彰人

(自殺未遂…)

彰人

(正直…いつかやると思ってた、)

彰人

(いつも「死にたい」って…「消えたい」って言ってたから、)

彰人

(やっぱり…家族がこんな状態なのに、上京なんか出来ねぇ)

彰人

(オレは1人になってもいい。今はとにかく、オレが母さん達を支えないと。)

冬弥の家

冬弥

(彰人、大丈夫だろうか…心配だ…)

冬弥

(都会の方の病院に行ったのなら、しばらくは会えないかもしれないな…)

冬弥

ただいま。

冬弥の祖母

冬弥！！

冬弥

なんかあったと？

冬弥の祖母

昼頃……連絡が来たんやけど…

冬弥

……えっ？

冬弥

母さんが……亡くなった？

この作品はいかがでしたか？

152

5件

面白いです！続き楽しみにしてます！

相変わらずこの4人は尊い…😌💓 あと、イラスト投稿しました〜🙌✨

一気に物語が動き出した………！というか、もう同棲って言っちゃってるじゃん……大好きじゃん……

あかまる🍓🐾໊

プロフィール

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