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愛紗
愛紗
母ちゃんの言葉が嬉しくて
見ているだけで幸せな気持ちになった
二人は高校の同級生で
母ちゃんは一年間、父ちゃんに片思いしていた
卒業と同時に父ちゃんは上京し
会うことも連絡を取り合うこともなかったけど
父ちゃんがSNSで母ちゃんを見つけてメールを送信
二人で合う約束をして
やっと運命の人と再会することができた
再会して好きだった頃の気持ちが甦って
母ちゃんは凄く幸せを感じているみたいだった
母ちゃんの笑顔が眩しく輝いて見えた
本当に嬉しくてたまらなくて
本棚にあった卒業アルバムを何度も見返した
笑顔を見せる父ちゃんと母ちゃんの写真
二人のツーショットはないし
アルバムには母ちゃんが恋をしていた証拠もない
でも母ちゃんは父ちゃんのことを想っていて
卒業式の後に勇気を出して書いて貰ったメッセージを
ずっと大切にしていた
あいちゃんへ お元気で。 中崎丈太郎
父ちゃんがどう思っていたかはわからないけど
いずれ二人は付き合うことになる
そしていつか結婚して
二人の間に俺が生まれる
丈太郎
明日夢
明日夢
丈太郎
まただ
この前は話してくれたのに
今日は話してくれない
明日夢
明日夢
丈太郎
明日夢
丈太郎
明日夢
明日夢
明日夢
明日夢
違う……
こんなことが言いたいんじゃない
父ちゃんのこと責めるつもりなんてなかったのに
どうしてこんな言葉しか出てこないんだろう……
こんな責めるような言葉ばかり……
でも止められなかった
今までのいろんな気持ちがどんどん溢れ
言葉となって父ちゃんに突き刺さっていく
明日夢
明日夢
明日夢
明日夢
丈太郎
明日夢
丈太郎
明日夢
丈太郎
苦しかった
苦しくて苦しくてたまらなくなって
丈太郎
そのまま家を飛び出した
愛紗
愛紗
母ちゃんの笑顔が頭に浮かぶ
本当に幸せそうだった
運命の人に巡り会えて
この先に待っているのは幸せな未来だけ
でも本当にそうなの?
母ちゃんは本当に幸せだった?
それを聞きたくても
未来の母ちゃんは答えてくれない
さっきまで感じていた幸せな気持ちが
薄れていく気がして怖くなった
明日夢
じいちゃん
じいちゃん
向かったのは直ぐ隣のじいちゃんの家
時間的に友達に頼ることはできないし
駅前のスーパーはもう閉まっている
こんな時間に行けば警察に補導される可能性もあるし
近所の公園も今の時間に一人でいるのは危険だ
だからじいちゃんのところに来た
じいちゃんに話を聞いて貰いたかった
こんな悩みを打ち明けられるのも
じいちゃんだけだから
明日夢
じいちゃん
明日夢
明日夢
じいちゃん
明日夢
明日夢
じいちゃん
じいちゃん
じいちゃんが鍵を閉めに玄関へと向かう
再びこの地下室に戻ってくるまでわずか数十秒
そのわずかな時間も不安に押し潰されそうになる
じいちゃん
明日夢
じいちゃんが戻ってきて少しほっとしたけど
それでもまだ不安な気持ちが拭えなかった