「 その命の代わりに致死量の愛を。 」

ｷｷ ｰ ｯ ﾄﾞﾝ ｯ

人が轢かれたぞ！

誰か！救急車を！！

凄い出血、、

助かる訳ねぇだろ！

誰か、助けて、、

手術室を見に行くなんて 私にはどうしても出来なかった

世界で１番愛してた人

有本 律

今日、デート帰りに事故に巻き込まれた

私を庇ったから

病院の廊下に独り、泣き崩れた。

嗚呼、助からなかったんだな。

そう医師を纏う空気で分かってしまった

彼が死んだのは私のせいなのだから

謝らないで欲しい

他人の為に努力する医師は凄いと思う

人の最期を多く見るだろう

それなのに毎回謝ってると思うと 胸が痛んだ、

愛してた人が死んだ日の夕日は 皮肉な程、綺麗だった

突っ込んで来る車に気付かなかった 私を庇ったりっくん。

私のせいで死んでいった

ごめん

その言葉は彼には届かないまま 空に熔けていった。

空気を読めない冷たい冬の風が 頬を撫でた

知らない男の人だった

ただ同い年くらいだなぁって思っただけ

綺麗だと思った

初対面だったけど、 この人にピッタリだとさえ思った

極度の人見知りの私からすれば、 かなり気さくな人だった

纏う空気がホンワカしていた

有本 律

彼は私の最初で最後の運命の人、

そう思ってた