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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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涌井 明里

…さむ……

明里は着けているマフラーを口元まで上げた。

通学路には雪が積もっている。

涌井 明里

(ホワイトバレンタインだなぁ…)

明里は多くのカップケーキが入った紙袋を片手に学校へ向かっていった。

涌井 明里

(凌くんのカップケーキだけ手紙つけたんだよね)

涌井 明里

(手紙なんて重かったかな…大丈夫だよね)

涌井 明里

(先に凌くんだけ渡しておこうかな)

明里は凌の靴箱へ向かう。

そのロッカーの前に女の子たちが集っていた。

女の子

えー入れちゃうー?w

女の子

入れちゃお入れちゃお!

女の子たちは下駄箱を開けた。

ザザザザッ!

涌井 明里

女の子

きゃ!

女の子

う、うそ!

凌のロッカーから大量のチョコが出てきた。

涌井 明里

(うそでしょ…)

涌井 明里

(ライバルがこんなにぃ……)

涌井 明里

はぁ……

涌井 明里

(あんな大量なチョコ、去年も受け取ったのかな)

涌井 明里

(私のカップケーキなんていらないんじゃ…)

倉見 修也

あっかりん!!

後ろから修也がニコニコして走ってくる。

涌井 明里

倉見くん!おはよう

倉見 修也

うふふ!おはよ♡

涌井 明里

…上機嫌だね

倉見 修也

うん!

倉見 修也

10個はもらう!目標!

涌井 明里

目標とかあるんだ……

倉見 修也

それでそれで???

修也の目はキラキラと輝く。

涌井 明里

ふふっ

涌井 明里

うん。あるよカップケーキ

倉見 修也

カップケーキ!?まじ!?

修也が嬉しそうに明里にグイグイと近寄ってくる。

涌井 明里

ちょ、ちょっとまって

涌井 明里

今出すから__

明里は紙袋から1つのカップケーキの入った袋を取り出した。

倉見 修也

おー!!すげぇ!

修也は目をキラキラさせた様子でそのカップケーキを手に取る。

涌井 明里

あっ…

涌井 明里

(やば……)

涌井 明里

(そのカップケーキ、凌くんのだ……!)

涌井 明里

(手紙入ってるのにどうしよう!!!)

涌井 明里

く、倉見くん……

倉見 修也

…ん?

涌井 明里

やっぱ返してくれないかな?

倉見 修也

えーなんで

倉見 修也

やだやだ!

涌井 明里

え、えー…

涌井 明里

(その手紙を読まれたら、私と凌くんが付き合ってることがバレちゃうよ…)

涌井 明里

とりあえず、返して!

明里は修也からカップケーキを奪おうと手を伸ばす。

倉見 修也

どうしたのさ!

修也はスッと明里の手を避けた。

涌井 明里

もー!

倉見 修也

……ん?

倉見 修也

何この手紙___

涌井 明里

あっ

カッと明里の顔は赤くなる。

涌井 明里

ダメ……っ!

桐山 凌

おい

後ろから凌が修也の持つカップケーキを取り上げた。

倉見 修也

うぉ!びっくりしたー!

涌井 明里

凌くん…

倉見 修也

俺のカップケーキ返せよー

桐山 凌

うっせー

涌井 明里

倉見くんはこっちだよ!

明里はもう1つカップケーキを紙袋から取り出した。

倉見 修也

うぉお!

倉見 修也

サンキュー!

倉見 修也

サイコー!

涌井 明里

(単純な人だ…)

修也はスキップしながら走っていってしまった。

涌井 明里

ありがと、凌くん

桐山 凌

……おう

凌の顔は少し緩んでいる。

涌井 明里

…?

涌井 明里

どうしたの?

桐山 凌

……

桐山 凌

これ、俺へのカップケーキ?

涌井 明里

うん!

桐山 凌

めっちゃ嬉し__

女の子

キャー!桐山くんいた!!

涌井 明里

桐山 凌

大勢の女の子たちがチョコを片手に走ってくる。

涌井 明里

うそ…

桐山 凌

悪い明里

桐山 凌

次の休み、体育館裏で

涌井 明里

う、うん…

凌は女子から逃げるように走っていってしまった。

涌井 明里

(大変な人だ…)

ー休み時間ー

涌井 明里

ごめんっ、おまたせ

桐山 凌

おうー

桐山 凌

手紙、読んだ

明里の顔は赤く染まる。

涌井 明里

あ、ありがとう……

桐山 凌

俺の方がありがとう

桐山 凌

めっちゃ嬉しかった

涌井 明里

(いつもありがとう的なことしか書いてないけどね…)

涌井 明里

……

「中学の時は女子からのバレンタイン、全部貰ったって聞いたよー?」__

涌井 明里

…でも凌くん

涌井 明里

私以外の女の子からもバレンタイン貰うんだよね

桐山 凌

……は?

涌井 明里

中学の時、貰ったって__

桐山 凌

はぁ

桐山 凌

中学は中学だろ

桐山 凌

せっかく作ってくれたんだし

チクッ……

涌井 明里

……

桐山 凌

でも今年は絶対貰わない

桐山 凌

明里から貰えたんだから

涌井 明里

…っ

桐山 凌

本命から貰えればそれでいい

桐山 凌

違うやつのチョコを100万個貰ったとしても適わねーよ

涌井 明里

…うっ

桐山 凌

……え?

明里の目からは涙が溢れてきていた。

涌井 明里

うぅ…

桐山 凌

なななな、なんで泣いてんだよ!?

私は凌くんのことが好きな人の1人

大勢の中の1人

そう思ってた

でも__

涌井 明里

(私は凌くんの特別だ)

涌井 明里

嬉しいの……

桐山 凌

…なにがだよ?

涌井 明里

付き合って心の距離が近づいても

涌井 明里

体の距離は縮まらない一方だったから__

桐山 凌

……

凌はムッとした様子で明里のことをギュッと抱きしめた。

涌井 明里

……っ!?!?

桐山 凌

俺は明里が好きだ

桐山 凌

これでも体の距離が離れてるって言えるのか?

涌井 明里

…い、言えないです……

桐山 凌

ならいい

凌は抱きしめる力を強くした。

涌井 明里

……っ

涌井 明里

凌くん、苦しいよ

桐山 凌

カップケーキ食べてわかった

桐山 凌

………陸と作ったんだろ

涌井 明里

桐山 凌

中学の時、何度か食べたことがあるんだよ

桐山 凌

同じ味だった

桐山 凌

腹立つわ

涌井 明里

……

涌井 明里

ごめ、__

桐山 凌

謝んなよ

桐山 凌

俺のために作ってくれたんだろ

桐山 凌

やましいことなんかねーよ

涌井 明里

……

桐山 凌

俺はただ陸に腹立っているだけだよ

涌井 明里

……水木くんは親切で__

桐山 凌

俺への嫌がらせに決まってんだろバーカ

涌井 明里

えっ!?

関 千紘

練習おわりー

水木 陸

ふぅ…

陸は息を切らして壁にもたれついて腰を下ろした。

ピコン、とスマホが鳴る。

水木 陸

……ん

水木 陸

(凌から…珍しいな)

「お前やり方が卑怯なんだよ」

水木 陸

ふっ

水木 陸

(嫌がらせ、伝わったかな)

水木 陸

(涌井さんが作ったカップケーキの味が俺がいつも作ってたカップケーキの味と一緒だったら……)

水木 陸

(そりゃもう焦るだろうな、あいつ)

水木 陸

(「俺だって正々堂々と勝負するって決めたから」…)

水木 陸

(送信っと)

ピコン

「明里はもう俺のものだから」

水木 陸

……

水木 陸

はぁあああっ!?!?

柳家 克樹

うっせええええええええ!!!

関 千紘

お前もうるさいわ

水木 陸

(これって付き合った…ってこと!?)

陸はため息をついて俯いた。

水木 陸

結構ショックなんですけど……
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