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言霊アプリ

12 - 十二日目 もっと”あなた”を知りたい

♥

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2023年11月07日

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ソウマさんと会ってから数日過ぎた

その数日の間私は言霊アプリを起動するだけして会話を交わすことは無かった

理由をつけるなら事情を知ってしまったからどう接していいか分からなくなってしまったのだ

今まで私の中でソウマさんの妹の存在を

『言霊アプリのAI』と解釈してたのだ

それを数日前にそれはAIではなく人間の魂だと告げられて

『はい、そうですか』と納得して直ぐに実行できるかと問われれば私は無理だ

あの場では確かにいけると宣言した

実際妹さんを解放してあげたいのは心からの願いだしそれは今も変わらない

けど、そんなにフランクに接することができなくなってしまった

今まで話していた相手が人の魂でその背景には他人では共感できないほど重たい過去

事情を知ってしまったことによる気まずい心持ちのせいで

接し方を忘れてしまったのだ

今まで通りに接すればいいのにそれが出来ない

脳裏にあの兄妹の話がチラついて勝手に気まずくなって

そんなのが毎日ずっとグルグルと頭の中を巡る

救いたい気持ちに対して、変な優しさのようなものが邪魔してくる

その度に自分に対して疑惑を抱く

『彼女を救いたいという思いは偽りではないか?』と

操り人形である私は優しさに触れて生きては来てない

だから初めて他者に『優しく』することで自分の欲を満たしたいだけ

そう……『誰かに対して優しくしてる自分が好き』という現象

いわゆる自分に酔いたいのだと思う…

そんな自己嫌悪を抱いてしまい話したくても話せない

どうやって私は彼女と接すればいいんだろう

『普通の友達』てなんなの…

考え込めばその分だけ沼にハマり落ちてく

そしてハマればそこから抜け出せない

私は…私は………

私はどうしたいの?

一人悩み思考を巡らせているとスマホから通知が飛んでくる

その通知を確認すると『言霊アプリ』から飛ばされており

通知の内容が『お話しよ?』だった

そうだ……

それでいいんだ…

何も難しく考えなくていいんだ

彼女の過去がなんだかんだ考え込んでも

そんなのはただの杞憂に過ぎない

私が話してるのは言霊アプリのAIでもなく

ソウマさんの妹でもなく

”私にできた初めての友達”なんだ

無責任かもしれないが難しいことはソウマさんが何とかしてくれる

私は私でやることできることがある

ただシンプルに日常的な会話をするだけ

それだけでいいんだから

”彼女”の無垢な一言がアヤメの曇った心を晴らして新たな一歩を踏み出す

アヤメ

久しぶり

???

『私あなたを待ってた』

???

『今まで何してたの?』

アヤメ

ちょっと考えごとしてた

???

『もう考え事ないの?』

アヤメ

もう大丈夫だよ

???

『じゃあ私から質問していい?』

アヤメ

もちろんいいよ

???

『あなたのお名前知りたい』

アヤメ

私の名前?

???

『そう。あなたのお名前』

アヤメ

私はアヤメっていうの

???

『アヤメ……』

???

???

『アヤメちゃん!』

???

『これが私の初めてのお友達の名前!』

アヤメ

そうあなたの初めてのお友達の名前

アヤメ

そして私もあなたが初めてのお友達

アヤメ

アヤメ

じゃあ次は私からの質問

???

『うん』

アヤメ

あなたのお名前知りたいな

???

『私の名前?』

???

『私は……』

???

???

『私ってなんだっけ………』

この子自分が誰かも分からなくなってる…

もしかして相当長い時間アプリと同化してるから

彼女自身の意思も失われてきてるんじゃ…

???

『それより、私はあなたをいっぱい知りたい!』

???

『あなたがどんな人かを私は知りたい』

???

『それじゃあダメ?』

アヤメ

それでもいいけど、今日はこれまでね

アヤメ

また明日お話しようね

???

『うん!』

???

『それまでに質問考えておく!』

そう返答しその日は言霊アプリを閉じて、開くことはなかった

その後疑問に感じたことをソウマに連絡することにした

アヤメ

アヤメ

今大丈夫?

ソウマ

問題ないよ

ソウマ

なにか進展あった?

アヤメ

とりあえず感じたことを教えるね

アヤメ

まず、彼女は自分か何者か分からないみたい

ソウマ

人だったこともか?

アヤメ

恐らく…

ソウマ

そうか……

ソウマ

記憶を無くしてるのか…

アヤメ

私の予想だとアプリとリンクしてる時間が長いから

アヤメ

彼女の意思は徐々に薄れてるんじゃないかと思ってるの

ソウマ

もしそうだとしたら…

アヤメ

時間が無いかもしれない

アヤメ

もしかすると明日にでも無くなる可能性もある

ソウマ

まずいな…

アヤメ

それともう1つ

アヤメ

彼女は自分よりも他者を知りたいみたい

ソウマ

ソウマ

なるほど…

ソウマ

多分それは君に興味があるからだね

ソウマ

無意識なのかもしれないが彼女は今まで『言霊アプリ』として使われてきた

ソウマ

なのに君はそうではなく”友達”広くとるなら話し相手として接した

ソウマ

だから君に興味が湧いたんだと思う

アヤメ

そっか

ソウマ

今はとにかく妹の質問に答えて

ソウマ

その合間合間に質問を織り交ぜていこう

アヤメ

了解

ソウマ

頼んだよ

アヤメ

うん

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